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「やさしいのに苦しい」のはなぜ? 母性と父性、グレートマザー心理を考える グレートマザー・シリーズ④

一瀬英史

一瀬英史

テーマ:心理カウンセリング メンタルヘルス対策

5月には母の日、6月には父の日があります。

母の日や父の日の季節になると、「母親らしさ」「父親らしさ」について考える方も多いのではないでしょうか。
今回は、この季節に合わせて「母性」と「父性」をテーマにしたコラムをお届けします。

母性と父性を理解することがグレートマザーからの解放につながる

みなさんは、「母性」や「父性」という言葉を使うことがあるでしょうか。
心理カウンセリングでは、「母性が強すぎる」「この家族には父性が弱い」といった表現を耳にすることがあります。

また、こうした性質は家族だけでなく、組織にも見ることができます。
たとえば、「母性的な上司」「父性機能の弱い会社」などと言われることがあります。

これまで3回に渡り、『グレートマザー』をテーマに以下のコラムを書いてきました。

仲良し家族・空気を読む職場
みんなで頑張る学校に潜む心理的病理 ― グレートマザーとメンタル不調の関係①

仲良し家族なのに苦しいのはなぜ?
愛という名のもとに潜むグレートマザー②

職場が息苦しい理由とは?
空気を読む文化とメンタル不調の心理構造 ― 組織に潜むグレートマザー心理③

グレートマザーの問題から解放されていくためには、母性と父性を理解することが重要になります。
今回は、その理解の入り口として、まず「女性性」と「男性性」という考え方から紹介していきたいと思います。

母性・父性は「男女の役割」の話ではない

まず、大切な前提があります。

心理学でいう「女性性」と「男性性」は、実際の性別とは一致しません。
女性の中にも男性性があり、男性の中にも女性性があります。

母性と父性についても同じです。

多くの方は、「母性は女性のもの」「父性は男性のもの」というイメージを持っているかもしれません。
しかし、実際には、女性が強い父性を発揮することもあれば、男性が深い母性を担うこともあります。
深層心理学では、一人の人間の中に、女性性と男性性、母性と父性の両方が存在していると考えます。

これはとても大切な視点です。
ここを混同してしまうと、家族や個人、さらには会社や学校におけるグレートマザーの問題を、適切に理解できなくなってしまうからです。

心理学でいう「女性性」と「男性性」とは何か?

あなたは、どのような人に「女らしさ」や「男らしさ」を感じるでしょうか。
あるいは、「女らしさ」「男らしさ」という言葉そのものに、違和感や嫌悪感を抱く方もいるかもしれません。

心理カウンセリングの中でも、「女性性」「男性性」という言葉を使うことがあります。
ただし、それは一般的にイメージされる性別役割とは少し異なります。

心理学において女性性とは、「つなぐ力」を持つ性質です。
人と人をつなぎ、包み込み、共に感じ合い、その関係を保とうとする力です。

一方、男性性とは、「切る力」を持つ性質です。
境界を引き、分け、離し、対象を客観的に見る力です。

私たちは、生まれるまで母親とつながった一体の状態にあります。
そこから“切れる”ことで、この世界の中に「わたし」という存在として生まれてきます。
そして、養育者とのつながりの中で育ちながら、少しずつ自分を客観視し、他者と適切な距離を取り、自立へ向かっていきます。

つまり、人が成長していく過程には、「つながる力」と「切る力」の両方が必要なのです。

母性は育てる力、父性は方向性をつくる力

母性とは、女性性の「つなぐ力」に、
・育てる
・与える
・満たす
・守る
・維持する

といった働きが加わったものです。

安心感を与え、安全基地となり、生命を支える働きとも言えるでしょう。
赤ちゃんに母乳を与える母親の姿を思い浮かべると、イメージしやすいかもしれません。

一方、父性とは、男性性の「切る力」に、
・方向性を示す
・秩序を与える
・境界を引く
・現実を見つめる
・禁止や許可を与える

といった働きが加わったものです。
たとえば、「それはしてはいけない」「ここまでにしよう」と制限を与えることも、父性の大切な働きです。

なぜ「優しいのに苦しい」が起きるのか? グレートマザーの問題

グレートマザーとは、私たちの無意識の深層に存在する、母性的な元型的働きのことです。
それは本来…
○ 包み込む
○ 守る
○ 育てる

という、生命を支える重要な力です。
しかし同時に…
●呑み込む
●離さない
●成長を止める

という側面も持っています。
たとえば…
・「みんな仲良く」
・「空気を読んで」
・「波風を立てないように」

という雰囲気が強すぎると、安心感が生まれる一方で、自分の本音を言えなくなることがあります。

これは、“つながり”を重視する母性が強く働く一方で、
・「違っていても良い」
・「境界を持って良い」

という父性が弱くなっている状態とも考えられます。

過干渉、共依存、ひきこもり、過剰適応、いじめ、パワハラなど、現代のさまざまな心理的問題の背景には、このグレートマザーの負の側面が関係していることがあります。

問題になるのは、母性そのものではありません。
母性が過剰に強まり、そこに父性が働かなくなった時、私たちはグレートマザーの負の側面に巻き込まれてしまうのです。

グレートマザーの問題から解放されるためには、母性と父性のバランスを見つめ直すことが、大切な道しるべになるのではないかと思います。

引き続き、このテーマについて書いていきたいと思います。


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当社は、毎月11日を「ストレスマネジメントの日」として、心の健康に役立つ心理学のトピックを発信しています。

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一瀬英史
専門家

一瀬英史(心理カウンセラー)

Eustress株式会社

かけがえのない人生を豊かに生きる上でストレスは必ずしも悪ではありません。心理カウンセリングや各地でのストレスマネジメント支援の豊富な経験を生かし、個人や家族,会社や組織の心の健康をサポートいたします。

一瀬英史プロは山梨日日新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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