逃げたくなる心からの回復
毎月11日はストレスマネジメントの日
能登半島地震沖の災害復興が行われている中,今年もすでに豪雨災害被害が生じ,今日も九州地方に警戒情報が発せられています。
毎年,7月になると2018年の西日本豪雨災害でのこころのケアを思い出します。
2018年(平成30年),6月下旬から7月上旬にかけて,台風7号および梅雨前線等の影響によって,西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で集中豪雨が発生しました。
気象庁は「平成30年7月豪雨」と名づけています。
当時,私は県の要請を受けて職場の同僚と共に被災地である広島県三原市に入りました。
避難所で生活する子ども達の心のケアにあたることが任務です。
避難所で交流した子どもは,比較的元気に見えました。
しかし,一人ひとりから表現されるふとした一言や思わぬ行動から,子ども達が言葉で言い表しようのない体験をしたことが察せられました。
例えば…
土石流の被害にあったある小学生。
話しを聞いてやって欲しいと職員につれられてきました。
でも,一言もしゃべりません。
しばらくジーっと待っていると,「‥‥ゴーっと音がしとった」と一言。
私の心に想像しがたい怖さが伝わってきました。
避難所で生活していた女児。
私はサルのパペット『ウッキー君』と一緒に小学校低学年の女児と交流していました。
最初,女児はウッキー君の頭をなでたり,頬ずりをしたり。
まるでお母さんのようにかわいがってくれました。
でも,次第に乱暴に扱うようになり,「最後に一発殴らせろ!」と別れ際にパペットを叩いたのです。
土砂災害で家を失った男児。
子どもの様子が気にかかり,お母さんがお話してくれました。
「子どもが『どうして家がこんなになってしまったの?』と聞くので,山が崩れたからよと答えたら,『僕が聞きたいんはそういうんじゃない』と言って大泣きしました。もう抱きしめてあげることしかできませんでした」と。
「なぜ,こんなことが起こったのか!」
小学生も,女児も,男児も,そして大人である私たちも…。
人智を越えた自然の猛威,豪雨災害。
体験した恐怖や不安,怒りや悲しみ,悔しさを,自分独りの心では受け止めることなど到底できないことでしょう。
「一発殴らせろ!」とパペットを殴った女児。
<悔しいね>という言葉しかかけられなかった私は,心で女児を抱きしめました。
弊社は,会社や組織のメンタルヘスル対策と大人の心理カウンセリングとともに,子どもの心の問題についてのご相談も承っています。
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