「無理するな」と声かけするときの危うさ
5月,ストレスで悩んでいる方も多いかもしれません。
もし,あなたがその人を支えようとするときに「無理しないでね」と声をかけるのであれば,本心や本音で「無理するな」といえるマインドでなければ,その言葉はサポートする言葉になりません。
しかし,「無理しないでね」と言葉で伝えていても,「もう少し頑張ったら」という本音が隠れていることはよくあることです。
言う人が本音を自覚していれば良いのですが,それが無意識に沈んでいると悩んでいるその人を追い込んでしまう態度をとってしまいます。
これもまたよくあることです。
“その人”とは,社員や家族,友人といった他者だけではありません。
自分自身のことでもあります。
どういうことかというと,自分がストレスで悩んでいるときに「新しい環境に移ったのだからストレスフルになるのも仕方がない。無理しないでやろう」と考えてはいるものの,無意識のうちに「なんで頑張れないんだ」,「自分はなんて弱い人間なのだ」,「こんな状態では恥ずかしい」,「周りの人たちは頑張っているのに」と否定的なつぶやきが湧いてきてしまうのです。
無意識のメッセージを意識でなんとかしようとしても難しいものです。
どうしたらいいのでしょう?
無意識のメッセージは身体を通して対話できる
5月に入り,胃腸を壊したり,熱を出したりした方もいらっしゃるかもしれません。
心身症という言葉がありますが,心で表現されない不調が身体の不調として現れる反応です。
無意識に隠れていることを身体が表現しているのです。
仕事に対する頑張り方が,ストレスを高めるほど過剰になっているのか,自分のペースで程よく頑張れているかどうかを表現している身体の部位があります。
肩です。
「肩にかかる」,「肩ひじを張る」,「肩の荷を下ろす」,「肩が軽くなる」...。ストレスを象徴する身体の代表が肩です。
みなさんもストレスで肩が凝り,両肩を上げたり,下げたりして解消しようとすることがあると思いますが,肩の動きは自分の頑張り方が表現されています。
肩を使って応援するメッセージを伝える肩のペアリラクセーションという方法があります。
例えば,“その人”の両肩に「無理しないでね」という思いで手を添えて,手を添えられた人が肩を上げて頑張る,という体験ワークです。
肩を上げるその人は,両肩に手を添えられていることで,自分の両肩を上げている感じがはっきりしてきます。つまり,他者の手によって,自分の活動の様子がはっきりするということです。
サポートしている人は,自分の手を通して“その人”の頑張っている様子がありありと理解できます。
もし,その人が肩を上げる気力もないほどストレスフルな時であったとしても,両肩に添えられた手のぬくもりで,見守られている感じや,つながっている感じがして癒される,という感覚をお互いに共有することができるワークです。
サポート側が,肩を引き上げようとしたり,抑えつけたり,揉んで凝りを解消してあげようとするような関わりは,その人の様子や状態を否定していますから,結果,回復を遅らせてしまいます。
「あなたを真に応援したいのだ」という本音が無意識的に伝わると,本来備わっているその人の健康的なマインドが発動し始めるのです。
やがて自分で頑張ってみようとか,不調を改善しようとしてくるのでしょう。
「無理するな」のメッセージは,ストレスを感じているその人の両肩にただ手を添えるというサポートと同じです。そういうイメージとともに「無理しないでね」という言葉をかけてみてはいかがでしょうか?
身体を通した体験的なワークを取り入れたメンタルヘルス対策セミナーで,良好な職場環境づくりをサポートしています。
問い合わせる