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情報医学・情報医療という新しいアプローチ

一瀬ひでし

一瀬ひでし

テーマ:心理カウンセリング メンタルヘルス対策

日本ストレスマネジメント学会日本ストレスマネジメント学会学術大会で,国立精神・神経医療研究センター 本田学先生による情報医学・情報医療という医学の新しいアプローチの研修会に参加しました。

私なりに理解した内容を書いてみたいと思います。

情報医学とは

情報医学などというと,バーチャル・リアリティやAIなどを駆使した医学をイメージされるかもしれませんが,そうした概念ではありません。
脳の情報処理というはたらきの視点から精神疾患の解明や治療を行おうとするものです。

私たちは病気になった時に薬を飲みますが,薬自体が病気をなくすわけではありません。
薬は脳の情報処理の過程に影響を及ぼし症状を改善しています。
例えば,脳は病原体や症状に働きかけるために,免疫システムの発動やタンパク質を合成させようと神経伝達物質やホルモンなどを使って情報伝達しているわけです。

うつ病や不安障害などに有効性が認められている薬がありますが,認知行動療法や動作法などの心理療法にも有効性が認められています。
情報医学・情報医療では,薬などの物質が脳に与える情報処理の影響と,心理療法による脳のはたらきが同じ情報処理をしていると考えるのです。

ところで,物質が脳にどのような影響を与えるかについては,色々なことが分かっています。
なくてはならない必須栄養素,あってはならない毒物などがありますし,花粉や公害物質など,あったとしてもある程度までなら身体が適応するようになる物質もあります。

情報も脳や身体に影響を与えています。

ここでいう情報とは,インターネットなどで得る情報といった類でなく,そうした情報も含めて自然環境や生活環境の中で,視覚,聴覚,味覚,臭覚,触覚などを通して脳へ入力される幅広い情報です。
連日,猛暑が続きますが,この暑さの感覚はまさに情報です。

自然環境や生活環境からの情報の脳への影響については,色々な研究が行われています。

例えば,温度や音,重力などの五感から入力される情報を極端に制限すると数分のうちに幻覚妄想が生じ,数十分のうちに錯乱状態になってしまうそうです。

幼少期にネグレクトなどの虐待を受け,親子間のコミュニケーション情報が制限されてしまった場合,オキシトシンやバソプレッシンなどの,社会性の形成に関連の深い神経伝達物質が減少することが知られています。

特別な環境でなくても,街を歩いているだけで,人々の喧騒や電車や自動車の騒音,街のネオンの明かり,飲食店からの匂いなど,知らず知らずのうちに膨大な量の情報が脳に入力されています。
しかし,情報の影響は物質の影響程わかっていません。
本田先生は,なくてはならない必須な情報,あってはならない情報,多少我慢すれば適応できる情報などを,これから研究で明らかにしていくことが重要だと指摘されました。

人類の「本来」の姿を創造する情報が得られる環境がある。

私たち現代人が生活している都市化された情報環境は,「本来」の環境とズレており,ズレによって引き起こされる環境ストレスの中で「適応」しながら生活しているのです。
「本来」の情報環境はストレスを生み出す環境ではなく,環境ストレスと脳機能の慢性的な失調が心の健康にネガティブな影響を及ぼしているのではないかと,本田先生は警鐘を鳴らしています。

情報環境のことを考えると,心の不調を訴える人が増えてきていることも頷けます。

ところで人類の「本来」の情報環境とはどういう環境なのでしょう?
本田先生は,地球上のある場所を紹介しました。
いったいどこなのか,興味深いですね。

続きは,次回に書きたいと思います。

先にお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
☞ 人類「本来」の姿を創造する情報が得られる環境とは?

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一瀬ひでし
専門家

一瀬ひでし(心理カウンセラー)

Eustress株式会社

かけがえのない人生を豊かに生きる上でストレスは必ずしも悪ではありません。心理カウンセリングや各地でのストレスマネジメント支援の豊富な経験を生かし、個人や家族,会社や組織の心の健康をサポートいたします。

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