こころに寄り添う「絆のワーク」
この春,卒業,退職,転勤,転職など転機を迎える方にお祝い申し上げます。
4月からの新しい日々がはじまるのを前に,いつもの3月とは違う特別な毎日をお過ごしではないでしょうか?
私も,転機となる3月を何度か過ごしましたが,楽しみに満ちた気持ちと共に,どこかもの悲しさのある沈んだ気持ちになったことを思い出します。
転機のストレスと心理カウンセリング
ストレスになる出来事をストレッサーと言いますが,ストレッサーには,仕事の忙しさや人間関係,花粉症や工事の音がうるさかったり,といった日常的な出来事が大半です。しかし,ストレッサーにはトラウマティックな出来事もあります。
地震や津波などに被災したり,事件や事故などの被害に遭ったり,大切な人を喪失してしまったり,といった生命に関わるような強いストレス体験となる出来事のことです。
もうすぐ東日本大震災から12年を迎えますね。
転機を迎えるこの3月。
これまでの日々が終わり,4月から新しい生活を始める方の中には喪失体験にも通じる強いストレスを受けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
何か新しいことに挑戦しようと決断をして退職や転職をし,胸を躍らせワクワクするような期待と大丈夫だろうかという不安の両面だけでなく,むしろそれ以上に言い表せないような沈んだ憂うつな気持ちが湧いてくることがあるかもしれません。
転機のストレスは,自分のアイデンティティに関わるストレスです。
私は,アイデンティティに関わるストレスを,自分の在り方が変わる体験であり,いわばそれまでの自分の死,喪失体験に通じると考えています。
このような時に心が沈むのはむしろ健康的で,レジリエントなマインドです。
心理カウンセリングでは死と再生をセットに捉えます。沈んだマインドからは新しい自分が生み出されてくるものだと考えているのです。
大切にして欲しいと思います。
しかし,ストレスの扱い方によっては,自分らしさが奪われてしまい悪いストレス(ディストレス)になってしまうかもしれません。また,強いストレスであるにも関わらず自分一人で乗り越えることができると思ってしまうのは,未成熟な万能感であり,心身の健康において好ましいものではありません。
アイデンティティに関わるストレスは,自分に合った適切な対処法と信頼できる存在からのサポートを得ることによって「ユーストレス」にすることができるものだと思っています。
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