メジャーリーガーも呼吸でメンタルを整える
季節の分かれ目を迎えています。
お読みいただきありがとうございます。
前回の続きを書き,心理カウンセリングの意味のひとつとしてご理解いただけると幸いです。
YBSラジオ 「ラララ♪モーニング」の中で,コロナ禍によるストレスや鬱についてお話をさせていただきましたが,その中で身体を動かさなくなったことによるストレスについてお話しさせていただきました。
ラジオの中ではこう話しました。
日本には,心身一如という心とからだはひとつ,つながっているという言葉がありますね。
コロナ禍でデスクワークが増えたり,外出が減ったりして,身体を動かす機会が少なくなったという人も多いと思います。
身体を動かさないと硬くなり,凝りが溜まって,それによって動かしにくくなりますね。
身体は心とひとつと考えれば,身体の硬さは心の硬さでもあり,身体の凝りは心の凝り,身体が動かしにくいということは心が動かしにくいということであると私は思っています。
ストレスが溜まって心を良い方向に動かすことができなくなり,うつうつとしてしまう。ゆう鬱な気持ちを動かすことができなくて残ってしまう。まさに心残り(心の凝り)ということもあると思っています。
このコラムでは,身体をつかった心理療法について書いてみようと思います。
本来のわたしを生き使う動作法
身体の健康のために,スポーツやヨーガ,ストレッチなどに取り組んでいらっしゃる方も多いと思いますが,きっと身体とともに心もスッキリし,ストレスが解消するのではないでしょうか。
動作法も身体を使った心身の健康法なのですが,これらとの違いは心理療法であるという点です。
心理療法には,たくさんの種類があります。
催眠療法,精神分析,認知行動療法,箱庭療法,来談者中心療法,論理療法,内観法,家族療法,マインドフル瞑想法・・・。
これはら全て心で心を治療する方法です。イメージや直感的な非言語的なコミュニケーションによる気づきを活用することもありますが,基本的には言語的なやりとりによって取り組んでいく方法です。
動作法は,動作そのものにその人の生き方を見て取り,動作をやりとりしながら生き方に働きかけ,自分の人生を自分で思い通りに使えるようになることを目指したユニークな方法です。
動作法は,臨床心理士第1号である成瀬悟策によって開発された日本生まれの心理療法で,催眠療法から発展してきた方法です。
1965年(昭和40年),脳性マヒで腕が動かない方に催眠をかけたら腕が上がったという現象が発見されました。今でも,脳が何らかの理由でうまく機能しなければ,その脳が制御している部位は動かなくなり,決して動くようにはならないと考えられていますので驚くべき現象です。
その後,身体が不自由な子ども達が,催眠なしでも自分で身体を動かせるようになるための動作訓練という方法が開発され,現在,心理リハビリテーションとして世界で取り組まれています。
この現象について成瀬先生は,身体が動かないのは単に器質的な問題だけではなく,心理的な問題も関係していると考えたそうです。
そして,「脳は身体を動かすための中枢であるが,人の活動は脳が制御しているのではなく,脳の上位にある『わたし』によって制御されている。その『わたし』が身体に働きかけ,刺激することによって脳が活動を始め,『わたし』の活動を制御するのだ」と動作法では考えています。
動作法では,この『わたし』のことを『主体』と呼びますが,主体は『本来のわたし』であり,本来のわたしを取り戻し,求め,生きづいていくために,動作が大いに役立つというわけです。
「動作」を使った心理的な問題への治療アプローチはさらに発展し,今では,心身症や適応障害などのメンタル不調の方,不登校や学校不適応で悩む子ども達,スポーツ選手,災害や事件事故によるトラウマ治療,高齢者の認知症予防,ひきこもり支援,心の健康促進地域支援など,幅広い領域で活用されています。
次回,本来のわたしを生きるために,使えるようになるために,なぜ動作が良いのかについて書いてみようと思います。
つづく
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