エンゲージリングのリフォーム
ジュエリー修理 指輪編3 『指輪の石合わせ』
前回のジュエリー修理 指輪編は『指輪の変形』、『指輪の爪の修理』でした。
今回は『指輪の石合わせ』を取り上げてみます。
『指輪の石合わせ』
指輪の宝石が外れてなくなった宝石を入れることを『石合わせ』といいます。また劣化した宝石を入れ替えるのも同じです。
『石合わせ』は合わせる宝石の種類や品質等により修理代が異なりますので見積もりを必ず取って下さい。
どんな『石合わせ』が多いのでしょうか?これまでの経験を踏まえて述べてみます。ファッションリングや装飾用に使われる小さなメレ宝石と、センターに使われるメインの宝石に分けて述べます。
先ずはメレ宝石です。最も多いのはメレダイヤです。ファッションリングやセンターの宝石を飾るために使われるのが圧倒的にメレダイヤ多いからだと思います。それでも、ラウンド系のメレダイヤの石合わせは難しくありませせん。品質ごとに様々な直系のメレダイヤが容易に手に入るからです。それに比べファンシーカットのメレダイヤ(テーパ等)はラウンド系より時間がかかる場合が多いです。
ダイヤ以外のメレ宝石もさほど難しくはありません。残っているメレ宝石を見本として、似た様なメレ宝石を捜せば良いだけです。特殊なカットの時はリカットしたりせねばなりませんので高上りになる場合が多いです。
メインの宝石の場合は、どうでしょうか?
ラウンドブリリアントカットのダイヤですと鑑定書で品質が分かれば、ほぼ似た様なダイヤをご用意できます。品質が特定できなくとも刻印の重さから直径を割り出し、後はご予算で色んなご提案が可能です。
ダイヤ以外の宝石の場合は、記憶に頼ってのことですので、同じ様な宝石を入れることは至難の業です。ただメインの宝石が掛けたりして残っていれば似た様な宝石は捜せますし、空枠に合わせて、同じサイズの別な宝石を入れることもあります。
指輪の石合わせではありませんでしたが、過日、トルコ石の素敵なスイング式のイヤリングの石合わせの依頼を受けました。片方に6個入っていて、両方のそれぞれの1個が取れていました。ネット系で形が米形でとても美しかったです。時間がかかりましたが、結局はネット入りの色目がそっくりのルースをリカットして完成しました。とても喜ばれましたが、かなり高価となりました。事前に打ち合わせを十二分に取らせていただけましたので実現したのだと思っています。同じような天然石を捜すことは至難の業です。
何故、石が外れるのでしょうか?
宝石の留める方法と使い方に原因があると思われます。
宝石を留める方法は色んな方法があります。爪、もしくは爪に準ずるもので宝石を留めるのが一般的です。彫り留め、伏せ込み、爪留め、覆輪留め、レール留め、ナナコ留め等々です。
爪を使わずに、宝石に穴を開け、芯を立てて宝石を留める場合もあります。真珠、サンゴ等が多いです。強い接着剤を使いますが、経年劣化でも外れるようにうなります。宝石を回して動くようでしたら、石留めをし直して下さい。
それと宝石を地金に張り付ける場合もあります。この場合も接着剤の経年劣化で宝石が取れますので接着のし直しとなります。
もう一つは使い方です。
普段使いか、お出かけ用かによります。普段使いですとどうしても指輪に負担がかかり、爪の破損、指輪の変形で宝石は外れ、外れたことに気づかず宝石を失くします。また、宝石の破損、劣化に繋がり易いです。それに対し、お出かけ用ですと外れにくく、劣化しにくいです。
何れにしましても宝石の性質を知り、楽しむことが肝心と考えます。
様々な『指輪の石合わせ』がありますので、お困りのことがありましたら、お問い合わせ頂きたいです。次回はジュエリー修理『指輪編のまとめ』を述べてみます。