これだけは身につけよう。ビジネス文書の基本
トラブル回避の基礎知識2
「印章」「印影」「印鑑」「実印」「認印」
前回は、「署名」と「記名」と「押印」について書いてみましたが、大事なことは「押印の有無より、そこに名前を書いた者が、本当に約束したことを確認しあって名前を書いたかどうか」でした。
今回は、その契約の当事者同士が、お互いの面前で住所や氏名を書いた後に、その後ろの方に押す㊞について考えてみましょう。
「印章」⇒日本では、署名より押印を重視する傾向があることは、前回も書きましたが、この押印に使うのが印章です。木材・石材・象牙・金属・プラスチックなどに文字を刻み、普通ハンコと呼んでいるものが印章です。
「印影」⇒印章によって押したハンの跡のことになります。
「印鑑」⇒簡単に言うと、官公庁や金融機関等にあらかじめ届けた「印影」のことです。
「実印」⇒印鑑のうち、あらかじめ市区町村長に登録を行い、印鑑証明書の交付が受けられる印鑑を実印といいます。実印はひとり一個しか登録出来ません。
「認印」⇒実印以外のものを認印といいます。認印は何個持っていてもかまいません。
今回、なぜ回りくどい説明をしたのかと言いますと、基本的なことをきちんと理解してトラブルを回避してほしいからです。
ここからが重要なのですが、契約に当たっては、当事者本人が押印したのなら、実印で押印したものも認印で押印したものも法律上の効力は同じです。実印は印鑑証明書を添付することにより、公的に本人が押印したものであるとその場で証明がなされますから、一般的に実印の押印を要求されているのですが、べつに認印で押印しても効力に変わりはないのです。
よく、認印を安易に取扱い、いわゆる三文判などといって粗末にしますが、安易に契約に使用したり他人から盗用されたりすれば、大きなトラブルになりかねませんから要注意です。
次回は「訂正印」「捨印」「割印」「契印」について