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入澤和志郎

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入澤和志郎(いりさわわしろう) / 葬儀

有限会社 風車

コラム

天候急変で順延の海洋葬 母子3人 湾内クルージング 南極観測船しらせ

2017年9月20日 公開 / 2021年2月26日更新

テーマ:海洋散骨

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

今回の海洋散骨のご依頼者は、昨年秋に若くして病に倒れお亡くなりになった方の奥様。乗船者はその奥様と二人の娘さん。
事前に幾度となく日程調整や散骨葬の詳細など打ち合せを重ねながら、海洋状況など気に掛けておりましたが、今回は急な天候不良により二日掛かりの散骨葬となりました。

乗船されるご依頼者様は海洋葬前日に来県、酒田のホテルに前泊されていましが、翌散骨当日は早朝から天気が急変し風波が強くなり、マリーナに引き返す僚船からの情報によると、外海は白波が立ち始めるどころの話ではなく、もはや危険な状態とか・・・。しまいには竜巻注意報まで発令となる始末・・・。
集合場所のマリーナに立つ若い母親と二人の娘さん、何かしら予想されていた様子で笑顔の中にも不安そうな表情も見れました。挨拶もそこそこに本日の海洋状況を説明し、安全の為に本日の海洋散骨は中止とさせて頂きました。
スケジュールを伺いました所、明日でも可能との事でしたので翌日に順延となりましたが、さて、そうなると今日はどうしましょうか?加茂水族館でも、と提案したところ、昨日のうちに既に見学済みとのこと・・・。
いかにこの空き時間を埋めようかと必死に考え、ふと、ひらめいたのが昨日より酒田、古湊埠頭に入港しております海上自衛隊の砕氷艦「2代目しらせ」(南極観測船)の洋上からの見学。
雨は降らず湾内でしたら、さほどの波風も受けず安全と判断。

「いかがでしょうか?せっかくですので湾内クルージングは?」
「南極観測船しらせが着岸しております。海からの見学は?」

二つ返事で 「行きたい! 見たい! お願いします! 時間は一杯あります!」
娘さんから大きな声で大変ありがたい助け船もあり、お母さんからも笑顔で 「お願い出来ますか」 と、了解を得ました。

乗船時の注意やライフジャケットの着用などを説明して、いざ、出港! 皆さんプレジャーボート船は初めての経験との事で多少心配もありました。
白灯台を過ぎる辺りからいつもとは確かに違う風波もあり、慌てて帰る僚船の姿もありました。ご依頼者様みなさんの体調を気にしながらの湾内クルージングでしたが、私共の心配をよそに、娘さん達の元気な笑い声、お母様の溢れんばかりの笑顔、正直救われた心境でした。そうこうしてるうちに埠頭に着岸するオレンジ色の船体、大きな南極観測船しらせが見えてきました。

近くには海上保安庁の特殊警備船つるぎがアンカーを降ろし辺りを警戒しております。
しらせ船上では一般公開により酒田市民が多数乗り込みデッキから手を振る方々、埠頭では催し物、大きな顔をした酒田獅子、多くの出店のテントが張り出て賑わっている様子が洋上からも見受けられます。

大きな船体を見上げるほどに近寄りゆっくりと移動、お母さんはタブレットで動画を撮影、娘さん達はそれぞれのスマホで撮影、笑顔、笑い声の絶えないクルージング。
30分ほどの洋上からの見学を終えてマリーナに戻ります。来る時の波風より一段と強く、波も倍ぐらいに感じます。時々波しぶきをかぶりながらも、皆様終始笑顔で最高の時間を過ごすことが出来ました。
1時間ほどのクルージングの後、明日の天気回復を願い、この日はご契約者と一旦お別れとなりました。

海洋散骨葬 家族・想い出の海水浴場 最高の海洋状況 父とお別れ

昨日とは打って変わって大変穏やかな海洋状況、同じ海とは思えないほど静かな海です。酒田マリーナにてご依頼者の母子3名と合流し、早速散骨ポイント目指して出港となります。
散骨海域は事前にご指定頂いておりました。

ポイント移動中も笑顔、会話の絶えない明るいご家族です。このような家族を残して先立ったご主人、さぞかし心残りだったのではと、一人思いながら進路を北へ、波もウネリも無い海況でご指定海域までは一時間程と予想しておりましたが、平均時速40Kmで予定の半分ぐらいの時間で目的の海水浴場沖合に到着です。

海洋散骨

海洋散骨

「あっ!あそこの岩の間であなた達泳ぎ遊んだの! あそこがそうよ!」

海岸を指差すお母さん、その指先を見つめる娘さん。
幼い娘を胸元に抱き締め終始笑顔で何やら語りかけております。
お父さんが元気な頃、山形で暮らし、家族でよく遊びに来た海水浴場を娘さんに教えています。
そうしているうちに、アフトデッキに祭る亡きご主人の遺影と花籠・家族4人で写る写真をセッティング。親子の想い出の海水浴場を望む沖合から海洋散骨のセレモニー、3点鐘から始まりです。

海洋散骨祭壇

海洋葬
船上に般若心経が静かに流れるなか、先様の準備された数々のお供え品、手作りの料理やお菓子など、そして家族で天国のお父さんへの手紙をなど、春巻きの皮でしょうか?巻包んだ中に手紙が添えてある様で、外からもうっすらと文字が透けて見えます。それを娘さん達で大海原へと捧げております。
何かしらを語りかけながら、そっと優しい指先から離れていきます。
大きな籠の中にはお供え物のほかに、かすみ草と小さなひまわりの花束、飲み物などがいっぱい詰まってます。
ご家族皆さんで献酒・献水・献花、そして散骨・花束・かすみ草・・・

海面に静かに流れ広がる乳白色の亡き父の姿・・・
その上を子供達の手で捧げ散りばめた供物・・・そして花びら。
波風も穏やかで今日は一段と綺麗なお花畑が海面に咲いたようで感激の一コマとなりました。
その娘達をじっと見つめるお母さん・・・

散骨

海洋葬

セレモニーもいよいよフィナーレ、海面のお花畑を周回しながら最後のお別れです。
家族抱き合いながら静かに手を合わせ、今新たな航海に出発したお父様を時の経つのも忘れて静かなお見送りとなりました。
そして3点鐘。いつまでも海面に響き渡ります。

全てはこのひとときを体験して頂きたくて。
ご依頼者様とは事前に何度もやり取りさせて頂き入念な事前準備、1週間も前から天候確認したりと私共の判断材料にも色々と御座いましたが、ご依頼者様のこの時の安堵感、満足された表情を見ますと、すべての苦労が吹っ飛びます。
今回は急な天候不良などありましたが、皆様のご理解を頂き無事に海洋葬を執り行う事が出来ました。乗船されたご家族の皆様には本当にありがたく感謝を申し上げます。
そしてご苦労様でした。

2時間ほどのクルージングを終え、体調不良も無く皆さん元気でマリーナに戻りました。
お互いに感謝の言葉を交わして、先様からのご希望を頂きYAMAHIRO号を背にご家族皆さんで記念撮影。
「えっ! 私達も入るのですか?・・いや~すみません」
私共スタッフも交えての記念撮影。本当にありがとうございました。
この度は遠方から山形県酒田市までお越しいただき、また3日間の調整日まで設けて頂いたにも関わらず、嫌な顔一つ見せず終始ご理解たわまり、その上感謝の言葉まで頂き、本当にありがとうございました。

今回も事故無く終始笑顔の中、ご依頼通りの海洋散骨葬を終える事が出来本当にほっとしております。  
この度はYAMAHIRO号ご指名頂き、ありがとうございました。
記念日にも是非、再度のご指名を頂きますようお願い致します。

当社の海洋散骨については・・・こちら


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