Mybestpro Members

原田誠プロは山形新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

瓦屋根が一番耐久性があるって本当?

原田誠

原田誠

テーマ:快適な生活送れる瓦屋根住宅

日本家屋などによく見られ、伝統的な趣がある瓦屋根。現在では屋根素材もさまざまですが、瓦は見た目の美しさだけではなく、耐久性、耐火性、耐寒性などで優れた性能を持っています。瓦屋根の主な特徴をご紹介していきましょう。

日本における屋根の形と種類

屋根の形と屋根材にはいろいろな種類があるのですが、現在、屋根の形は主に4種類、よく使われる屋根素材も主に4種類に分けられます。そしてその形や種類によって、それぞれ特徴が異なってきます。

近年の代表的な屋根の形とその特徴を下記にご紹介します。

【切妻(きりづま)屋根】
日本の多くの屋根が、この切妻屋根です。2枚の流れ面が屋根の頂上で合わさる、シンプルな三角形の形をしています。

シンプルがゆえに屋根を造る時に使う役物(鬼瓦など)も少なくて済み、新築時やメンテナンス時の費用が安価に抑えられます。

【寄棟(よせむね)屋根】
寄棟屋根は4枚の流れ面が屋根の頂上で合わさっている形です。
形状としては切妻屋根と似ていますが、流れ面4枚で形づくることで、他の屋根形状よりも強固なのが特徴です。

流れ面が多い分継ぎ目が多くなり棟部分の役物の量も増えるので、切妻屋根よりも費用は高くなります。

【片流れ(かたながれ)屋根】
屋根の頂上から一方向だけに流れ面がある形が片流れ屋根です。形としては、切妻屋根を半分だけにした感じと思えばいいでしょう。
片流れ屋根は小さな敷地の建物でも違和感がなく、見た目もモダンな雰囲気なので近年では多く見られます。

費用も安価でメンテナンスが容易、さらに太陽光発電パネルを設置しやすいというのもポイントです。

【陸(ろく・りく)屋根】
陸屋根は傾斜のない水平な形をした屋根で、フラットルーフとも呼ばれます。デザインとしてはスッキリしていて、いわゆる屋上があるタイプです。
建物としてはビルに多いのがこの陸屋根ですが、傾斜がなく落雪を防止できるので、豪雪地方の民家では多く見られます。

ただし傾斜がないだけに水がたまりやすく、雨漏りを起こす可能性もあるので、建物の場所の気候などを考慮し、定期的なメンテナンスをする必要があるでしょう。ちなみに緩やかな傾斜のある「陸屋根風」という造り方もあります。
このタイプの屋根には瓦の設置は出来ません。

屋根材の種類と特徴について

【瓦(陶器瓦)】
・重さ(5段階)/5
・耐久性/50年以上
・価格(1㎡)/約8000円~6万円(瓦の種類や鬼瓦など役物で価格帯に幅があります。)

瓦にも種類はありますが、最も代表的なのが「陶器瓦」と呼ばれる種類で、粘土で形を造って釉薬というガラス質の薬剤を塗り、高温で焼いて造ります。釉薬を塗ることで瓦にツヤが出て、好みの色に仕上げることができます。

ただし、他の屋根材と比べるといちばん重いのでリフォーム時などには建物自体の耐久性に注意が必要となります。

<メリット>
・耐久性が最も高い
・再塗装の必要がない
・遮音性、断熱性、耐火性、耐寒性などに優れている
・破損時に1枚単位で修復できる
・日本古来の美しさがある
・多様な形状があるので和風、ヨーロピアン風などからシンプルな物まで様々な住宅に対応できる

<デメリット>
・費用が高い
・重量が重い
・施工に専門的な技術が必要

【薄型スレート】
・重さ(5段階)/2
・耐久性/約10~30年(メンテナンス次第)
・価格(1㎡)/約3500円~1万6000円

色やデザインが豊富な上に価格も安く軽量で、瓦などと比べると重さは半分以下です。

軽量な分、強度が弱くなるので、10年ほどでひび割れや塗装表面が傷みやすくなります。約10年~15年を目安に、再塗装する必要があります。

<メリット>
・価格が安価
・軽量でシンプル
・デザインやカラーの種類が豊富
・防火性に優れている
・施工しやすいので対応できる職人が多い

<デメリット>
・約10年ごとに再塗装などのメンテナンスが必要
・軽量で薄いために強風などではがれやすい
・耐衝撃性が弱く、荒天や飛来物で割れやすい
・防音性、断熱性などが低い
・水分の滞留でコケや藻が生えやすい
・雪国にはあまり適していない。

【アスファルトシングル】
・重さ(5段階)/1.5
・耐久性/約10年~30年
・価格(1㎡)/約3500円~1万2000円


2007年の建築基準法改正により、一般の住宅やマンションで使用されるようになった屋根材がアスファルトシングルです。素材の厚さが約6㎜で軽量、さらに防水シートが仕上げ材なので防水性の高さが大きな特徴です。

ただしメンテナンスは約10年を目安に、状態を見ながら行う必要があります。

<メリット>
・防水性にとても優れている
・緩衝材が使用されているので防音性が高い
・素材が柔らかく、複雑な曲面などでも対応可能
・施工が簡単なので、場合によってはDIYも可能

<デメリット>
・水を含みやすくコケや藻が生えやすい
・軽量で薄いために強風などではがれやすい
・表面の砂が落ちる
・日本での普及率がまだ低く対応業者が少ない

【金属(ガルバリウム&ジンカリウム鋼板)】
・重さ(5段階)/1
・耐久性/約10年~30年
・価格(1㎡)/約3000円~1万2000円

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%でできた屋根材です。アルミニウムの耐食性と亜鉛の防食性で20年以上サビを防いでくれる特徴を持っています。

ジンカリウム鋼板も素材の構成要素はガルバリウム鋼板とほぼ同じで、表面が砂状の自然石でコーティングされています。天然石を使用しているので、紫外線やサビに強い。

<メリット>
ガルバリウム
・耐久性、耐候性に優れている
・不燃材料で防火性に優れている
・軽量で耐震性にも優れている

ジンカリウム
・ガルバリウムの特性に加えて、自然石の粒のコーティングで防音性、断熱性に優れる
・耐久性が高く再塗装不要

<デメリット>
ガルバリウム
・断熱性が低い
・衝撃に弱くへこみやすい
・遮音性が低く雨音が響きやすい
・一枚単位での交換が出来ない

ジンカリウム
・ガルバリウムと比べると断熱性に劣る
・自然石がはがれ落ちる
・輸入材なので価格が高い
・一枚単位での交換が出来ない

瓦のメリット・デメリットとは?

瓦屋根は主に「粘土系」と「セメント系」に分けられます。陶器瓦を含めた瓦屋根全般のメリットとデメリットを紹介します。

<メリット>
・耐久性やデザイン性が優れている
・瓦1枚単位で、部分的な葺き替えができる
・粘土系は工法と自然素材の性質から断熱性が高く、夏は涼しくて冬は暖かい

<デメリット>
・屋根材の中ではいちばん重い
・台風や地震で瓦が落ちてしまう可能性がある
・瓦を使った施工ができる業者が限られている
*現在は耐震・耐風工法が推奨されているので全日本瓦工事業連盟に加盟の施工業者に依頼すれば問題ありません。
全日本瓦工事業連盟ホームページ 

瓦は、1674年に現在の瓦の元となる桟瓦が発明されたと言われていて、それ以降現在に至るまで受け継がれている日本の大切な伝統です。
近年では瓦屋根も減ってしまいましたが、瓦の美しさや優れた特徴を多くの人に知ってもらい、未来に向けて継承していきたいものです。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

原田誠
専門家

原田誠(職人)

株式会社 原田瓦工業

屋根瓦工事は「丈夫で長持ち」との定評あり。神社仏閣の屋根瓦施工はもちろん、おしゃれな家にピッタリの個性豊かな屋根瓦、ガーデニングに最適な廃瓦リサイクル商品まで、身近な空間に新しい瓦の活用をご提案します

原田誠プロは山形新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

伝統に新しい風を吹き込む「屋根瓦」のプロ

原田誠プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼