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セミナー 当事者と共に「不安障害」 を考える (8月8日)のご報告

村田晃

村田晃

テーマ:メンタルヘルス(心の健康)

◎セミナー「当事者と共に学ぶこころの病気」の第4回 −「不安障害」を考える− を、8月8日(土) に
富山市の県民共生センターサンフォルテで開催しました。 
これは、NPO法人ここらいふの今年度のセミナーシリーズの一環です。

参加者は19人で、「不安障害」の当事者や当事者の家族、支援団体の関係者、関心を持つ
一般市民など多岐にわたりました。また、遠く福井市からの参加もありました。

最初に講師の私から、「不安障害」についての概略を次のように紹介しました。

1.「不安障害」とは何か
過剰な不安や心配が持続し、日常生活に支障を及ぼす状態

・種類(主なもの)
社会不安障害(Social Anxiety Disorder (Social Phobia))
パニック障害(Panic Disorder)
分離不安障害(Separation Anxiety Disorder)
広場(閉所)恐怖症(Agoraphobia)
全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder)

強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)
心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder PTSD)

注:国際的な二つの精神疾患診断基準:ICD-10(WHO)とDSM-5(米国精神医学会)による

〇推計患者数
日本: 9.2%(生涯有病率), 5.5%(12ヶ月有病率) 平成18年度厚労省の研究
米国: 18.1% (12ヶ月有病率) 2001-2003年
ヨーロッパ(EU): 14.0% (12ヶ月有病率) 2011年

・ 「不安障害」と「うつ病」と両方持つ人は6割
・ 女性の方が男性の2倍多い

2. 原因
まだ十分には分かっていないが、身体的要因、心理的要因及び社会的要因が相互に関わっていると
考えられている。

身体的要因: 脳神経回路の過活動など脳機能の異常・遺伝子
心理的要因: ストレスなど
社会的要因: 文化・価値観など(例:「対人恐怖症」は日本人に特徴的な恐怖症との位置付け)

なお不安・恐怖自体は、危険を察し回避する反応として人間が生き延びるために必要なもの(進化
心理学の考え方)

3. 「不安障害」に対する対処方法
・薬物療法(抗うつ薬・抗不安薬)
・心理療法(認知療法・行動療法(曝露療法)・マインドフルネス瞑想)
・リラクセーション(腹式深呼吸・ヨガ)
・自助グループ
・カフェインを取らないようにする。
・不安と共に生きる(不安は生きる証→実存心理学の考え方)

参考になるインターネットのサイト:
厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス総合サイト」
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/disease/panic.html
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その後、大部分の時間を参加者での話し合いに当てました。
「不安障害」の当事者からは、職場などで日常抱えている悩みについての率直な表明があり
ました。また、不安障害にどのように対処したかの具体的な体験発表もありました。
    
私の方からは次のようなことを提案しました。
①「不安障害」の背景には文化の影響が考えられるのではないか(日本と欧米との「不安障害」
の患者数の大きな差から)
② 「不安障害」への対応としては、基本的には心的な「耐性」(Resilience)を高めることが重要
ではないか。
③ 「不安」をなくすという発想ではなく、「不安」を抱えながらもとにかく行動してみることが大事でないか。

このセミナーの一部は、以下の動画でご覧いだだけます (11分25秒)。
(なお、この動画の撮影については事前に参加者の了解を得ています。また、この動画は最初にNPO
法人ここらいふのホームページに掲載されたものを了解を得て転載しています。)

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この「当事者と共に学ぶこころの病気」セミナーは以下のように後1回あり、次回は9月12日
(土)に「統合失調症」について考えます。

○日時:9月12日(土) 午前10時~12時 「統合失調症」を考える

○会場:県民共生センターサンフォルテ(富山市港入船町6-7・JR富山駅北口10分)

○受講料:各回1,620円(税込)。 なお、「精神障がい者手帳」所持や「精神障がい年金」
受給の方は、今回受講料は無料となります。これはNPO法人ここらいふの理念の一環
です。 ご利用ください。

○申し込み方法:講師 村田 晃まで、直接電話またはEメールで申し込んでください。
(毎回開催前日まで受付け なお、部屋の定員の関係上、先着20人までとなります)
・電話: 076-471-6860(うつ心理相談センター)
・Eメール: utusodan@yahoo.co.jp

このセミナーについてのご質問も遠慮なく上記にどうぞ。

村田 晃 心理学博士(PhD University of Denver USA) ・臨床心理士
       うつ心理相談センター所長 
〒930-0884 富山市五福末広町1199 津林ビルA202

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村田晃
専門家

村田晃(心理カウンセラー)

うつ心理相談センター

法務省心理技官として25年勤務後、米国の2大学院に15年留学、カウンセリング心理学修士号及び博士号取得。 留学中にうつ病になり精神科病院にも入院。その体験からうつへの関心を強め、以後うつを多面的に研究

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