「希望を持つ」ことの心理学的意味について
「連休中の憂鬱(ホリディブルース)」については前回お話ししたばかりですが、連休が明けたら
明けたで、「連休後の憂鬱(ポストホリディブルース)」が待っています。
その最たるものがいわゆる「五月病」でしょう。
実は「五月病」といっても正式な医学用語ではありません。
元々は、大学に入った新入生が、入学後1か月位した五月のこの頃に落ち込む現象を指して
名づけられたもののようです。
しかし、別に大学新入生ではなくても、この時期に気分が落ち込むことを経験するのは意外と
よくあることかもしれません。だからこそ、「五月病」という名前も定着したのではと思います。
何れにせよ、五月の連休明けに気分が落ち込むとすれば、幾つかの原因が考えられます。
私自身は次の三つを考えます。
一つ目の「五月病」の原因は、4月の入学・入社などの色々な転機となる出来事が、五月の連休を
挟んで一段落したことから心身の疲れがどっと出たことです。
そうだとすれば、これを機会に心も体もよく休むということが解決策となります。
その中で、私は食事に注意することも重要と考えます。
というのは、最近のニュースで、野菜や大豆食品、果物、海藻などをよく取る「健康的な日本食
パターン」の人は、そうでない人に比べ、うつ症状の頻度が半分以下だったとする国立国際医療
研究センターの研究結果を知ったからです。伝統的な日本食の良さはもっと認識されてもいいと
思います。
二つ目の「五月病」の原因は、当初の理想と直面した現実の差からくる気分の落ち込みです。
入学・入社など新しい環境に入った当初は誰でもそうでしょうけど、理想や希望に燃えていた
はずです。それがいろいろな現実の場面に直面して、なかなか自分の思い通りにはいかないこと
を多く経験したと思います。とすれば、気分が落ち込むのはある意味で当たり前といえます。
ではどうするかというと、現実は現実として受け入れるのが一番いいと思います。
その理由は、世の中の出来事は自分の力でどうしようも無いことが沢山あるからです。
言い換えれば、自分がコントロールできないことに一喜一憂するのはいたずらにイライラ感
を募らせるだけで無駄だと思います。
それよりは、自分の力が及ばない現実を「しょうがない」といさぎよく受け入れるのは心の健康
のためにも良いことだと思います。
三つ目の「五月病」の原因は、目標喪失感です。
受験勉強の末にうまく大学に入学できた、あるいは就職が難しい中で無事就職できた場合
当初は目標の達成感に浸るはずです。でもしばらくすると、目先の目標を無くしたことから、
虚脱感や喪失感に囚われても不思議はありません。
ではどうするかというと、話は簡単で、新しい目標を持てばいいと思います。
この目標を持つ場合、考え方としては、当面の目標である短期目標の他に、中期・長期の目標も
併せ持ったほうがいいと思います。
理由は、目先の短期目標だけだと、その目標を達成した場合また喪失感に囚われることが考え
られるからです。
それよりも、自分の人生において自分が本当に何をやりたいかを最終の目標とする長期目標を
立て、それに近づくための中期目標も立てるのが、一時的な目標喪失感に囚われることなく
継続して目標に向えるからです。
ちなみに、人生で自分が何をやりたいかを見つけ出す長期目標というのは、ことが大きいだけに
すぐには見つからなくて当たり前だと思います。
大事なのは、その長期目標を考え続けることだと思います。そうすれば、答えがすぐにでなくても
目標喪失感にはとらわれないと思います。
最後に、いわゆる「五月病」にかかったらかかったで、それは今まで忙しくしてきた自分を振り返る
いい機会ととらえ、前向きに利用すればいいと思います。
なお、更に詳しい内容はエフエムいみずのインターネットラジオで聴くことができます。
インターネットで聴くには、次にアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/fmimizu/
心理学博士(PhD University of Denver USA)
村田 晃