「希望を持つ」ことの心理学的意味について
「カウンセリングの実際」のその4として、今回はグループ・カウンセリングについて私が米国滞在中に体験
したもののうち、うつの自助(セルフ・ヘルプ)グループについてお話しいたします。
私はデンバー大学大学院(コロラド州)博士課程在学中だった2002年から2010年の間、うつやその他の
精神障害を持つ人による幾つかの自助グループに参加しました。
自助グループはいわゆるピア・カウンセリングと位置付けられるもので、同じ問題を持つ者同士が、専門家の介在なしに互いに気持ちや考えを共有することによって互いに励ましあう、といったものです。
私が参加した自助グループは、情報交換や知識習得中心のものから気持ちの交流中心のものまでいろ
いろありました。
例えば、気持ちの交流中心のあるグループは、毎週一回精神病院の会議室に集まり、一時間半くらい
グループを持ちました。まず最初に、全員でグループの規則を輪読します。例えば、グループ内での話は
他人には口外しないとか、AA(アルコホリック・アノニマス[断酒会])のものに似たようなものだったと思い
ます。
また最初に、それぞれが現在の自分の気分の状態を数字で報告します(例えば、うつで5段階のうちの
3とか―ちなみに5は普通の気分で、1は極端に落ち込んでいて今でも自殺しかねない感じ。ですから3は
かなり落ち込んでいる感じ)。
ちなみに私自身は参加した最初の頃はかなり落ち込んでいて2とか3でしたが、そのうち4とか5になり、
ついには余りグループに行く必要を感じなくなり、行かなくなりましたが。
その後に、それぞれが15分くらいお互いの近況や現在悩んでいることを語り、他のメンバーが助言するとことになります。
このような自助グループに参加して私が感じたことは、同じような経験を共有する人の中で、率直に自分の
状態を話せ、それに対する助言も受けられる利点はあるものの、グループがうまくいくかどうかはそのリーダーや参加者によるところが大きいということです。
例えば、ややもすると誤った医療情報の交換の場になってしまう危険性がありました。(抗精神薬の効果には個人差があるにも関わらず、自分に効いたからといって他人に勧めるとか)。
ですから、もし自助グループに参加しようと考えているのでしたら、まず幾つかのグループに参加して
みて、どれが自分に合っているかを見極めた方がいいと思います。
次回は、いよいよ私自身が米国でグループ・カウンセリングを持った時の経験についてお話ししたします。
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○講演のお知らせ:
来る11月26日(土)午後1時30分~3時30分の間、高岡市ふれあい福祉センター(高岡市博労本町4番1号)で、高岡市うつ・自殺予防講演会(高岡市主催)があり、私が、「心の問題を通じて更に成長する」という題で講演します。
興味のある方は、高岡市役所健康増進課(0766-20-1346)か社会福祉課(0766-20-1369)へお問い合わせください。
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うつ心理相談センター
心理学博士(PhD University of Denver USA)
村田 晃