「自分史」を書き換えることによって自分を変える
「うつとは何か3~うつは誰でもなり得る」について、エフエムいみず(79.3MHz) の私の番組、「心に元気を!大人のメンタルヘルス」(11月16日水曜)で話しています。
今回は、うつの出現率についてです。
うつに対する私の基本的な考え方は、「うつは誰でもなり得る。だから、うつになっても特に驚かない。逆に、うつの経験を今後の自分の人生にどう生かすかを考える。」ですが、それにもあるように、うつの出現
率は実は非常に高いのです。
統計的には、一生のうちに、7人に1人、特に女性は男性の2倍以上、4人に1人はうつになるといわれて
います。このうつの出現割合は、他の心の病気に比べて圧倒的に高いものです。
更に、実際にはうつの出現割合はもっと高いかもしれません。何故なら、うつになってもうつと自覚していない人がいたり、自覚していても一人で我慢していて医療機関等を利用しないなど、統計に表れていない人
がかなりいると考えられるからです。
ところで、女性がうつになりやすい理由として、次の4点が挙げられています。一つには女性ホルモンの影響、二つには出産の影響、三つには女性がよりストレスを受けやすい社会環境(仕事プラス家事の負担など)、それに四つには、男性優位社会での性差別による「条件づけられた孤立・無力感」というものです。
しかし、統計上の大きな男女差も、本当はもっと小さいかも知れません。つまり、男性も本当はもっとうつになっているのに、いろいろな理由からそれを表沙汰にしないで我慢しているだけなのかも知れません。(例えば、うつを知られるのは自分の弱みを見せることと考えるなど。)
なお、うつについて特徴的なのは、人種や社会的地位・収入・学歴に関係なく誰でもなり得るということです。
私は自分自身がうつになったことから、うつについて興味を持つようになり、米国デンバー大学大学院
カウンセリング心理学博士課程での博士論文は、「心理学者の間でのうつについて」にしました。
そして300人余りの心理学者からの質問紙への回答から分かったことは、心理学者の方が一般の人に比べてうつになりやすい、ということでした。
また、更に10人位の心理学者に詳しく面接して分かったことは、20年や30年といった長年うつのカウンセリングに当たっていても、自身のうつについては気がつかなかったか予想もしていなかったと答えた心理学者が大部分だった、ということです。
言い換えれば、いくらうつについての専門の勉強をしても、うつになる時はなる、ということです。更に
いえば、うつと学問的な業績とは直接関係ない、ということです。
実際、歴史上や現在の有名人を見ても、うつになった人はたくさんいます。このことも、うつは決ずしも否定的な要因として働くとは限らない事の証拠と言えます。逆に、これらの人々はうつになったからこそ各分野で著名な貢献ができたのかもしれません。
・世界の有名人(歴史上の人物も含む)でうつ病になった人の例
リンカーン(米国大統領)
ウィンストン・チャーチル(英国首相)
ニュートン(科学者)
モーツアルト(作曲家)
チャイコフスキー(作曲家)
ジョン・レノン(ビートルズ)
ハリソン・フォード(俳優)
ブルック・シールズ(女優)
黒沢 明(映画監督) 等々
以上、うつは誰でもなり得るものであり、ですからうつになったからと言って特にびっくりする必要もないし、
またうつはいい意味での転機になり得る、ということです。
更に詳しい内容はエフエムいみずのインターネットラジオで聴くことができます。
インターネットで聴くには、次にアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/fmimizu/ バックナンバー第25回
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○講演のお知らせ:
来る11月26日(土)午後1時30分~3時30分の間、高岡市ふれあい福祉センター(高岡市博労本町4番1号)で、高岡市うつ・自殺予防講演会(高岡市主催)があり、私が、「心の問題を通じて更に成長する」という題で講演します。
興味のある方は、高岡市役所健康増進課(0766-20-1346)か社会福祉課(0766-20-1369)へお問い合わせください。
うつ心理相談センター
心理学博士(PhD University of Denver USA)
村田 晃