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グループ・カウンセリングの実際(米国編・前編)~私自身の体験

村田晃

村田晃

テーマ:心理相談・カウンセリング

「カウンセリングの実際」のその3として、今回はグループ・カウンセリングのうち、私が米国滞在中に体験したものについてお話しいたします。

私は計3回15年余に渡り、米国の三つの大学院に留学しました(南イリノイ大学、ウイスコンシン大学、
デンバー大学)。そしてその間各種のグループ・カウンセリングに参加し、また後には自らグループ・カウンセリングを行いました。

私が参加したグループ・カウンセリングのうち、今でも一番記憶に残っているのは、米国の有名な心理学者カール・ロジャース(1902―1987)が晩年住んでいた、カリフォルニア州ラホイヤでの「ラホイヤ・プログラム」です。ロジャースはカウンセリングにおける共感や受容の重要性を説き、現在のカウンセリングの土台を築いたといえる学者です。
ラホイヤ・プログラムは、ロジャースが当時所属していた人間科学センターの主催で行われ、そのためワークショップはロジャースの人間中心的な考え方によって運営されていました。

私はロジャースの生前と死後の二度参加しました。
参加者は全体で30~40名位で、米国各地はもとより、ヨーロッパからも来ていました。日本人の参加者は、最初の時は私だけ、二回目の時は私の他に母親と高校生位の親子が一組でした。

ワークショップは一週間のプログラムで、カリフォルニア大学サンディエゴ校の施設を使って行われました。毎日、朝から夜まで全体グループと数人位の小グループでの集まりが交互にありました。話題は特に決まっておらず、その場その場での各自の思いを述べあったと記憶しています。

その二回目に参加した時です。日本人の母親の人は余り英語がしゃべれませんでしたが、それでも他の参加者は、その彼女の言葉の調子や表情・身振りから何とか彼女の気持ちを理解しようとしていました。終いには、「英語でなくて日本語で話していいから」と周りが言いました。
その時私が感じたことは、「気持ちを伝えるのは必ずしも言葉だけでない、相手を理解するには必ずしも
言葉に頼ることはない」、ということです。

このカウンセリングにおける言葉の重要性については、普通は当然のように考えられています。それは、米国でカウンセリングが一般にトーク・セラピーといわれていることに現れています。
しかし、この日本人の母親と、他の日本語を知らない参加者との間の交流を目の前にして、私は人の気持ちを理解するには言葉は必ずしも必要ではない、と感じました。
ちなみに、人間のコミュニケーションの研究では、身振りや動作などの非言語によるものが実際には80%を占めるといわれており、このことを実証しているといえます。

以上、私がラホイヤ・プログラムに参加して学んだことは、基本的な感情は言葉や国の違いを超えて理解しあえうる、ということでした。

次回は、引き続き私の米国での他のグループ・カウンセリングの参加経験について述べたいと思います。

うつ心理相談センター
心理学博士(PhD University of Denver USA)
村田 晃

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村田晃
専門家

村田晃(心理カウンセラー)

うつ心理相談センター

法務省心理技官として25年勤務後、米国の2大学院に15年留学、カウンセリング心理学修士号及び博士号取得。 留学中にうつ病になり精神科病院にも入院。その体験からうつへの関心を強め、以後うつを多面的に研究

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