地方医療を救う!画像診断支援ネットワーク構築プロジェク
近年、医師偏在や地域医療格差の是正を目的として、全国の医療機関で遠隔画像診断の導入が進んでいる。しかし、その普及状況には都道府県間で大きな差がみられる。まず都市部では、大学病院や基幹病院を中心に高度画像診断設備が整い、放射線科専門医も比較的多く配置されているため、遠隔画像診断は主として夜間・休日読影や業務量平準化を目的に活用されている。東京都、神奈川県、大阪府などでは既に複数の医療機関が共同読影ネットワークを構築し、専門医が不足する医療機関を支援する体制が整いつつある。
一方、地方圏や人口減少が進む道県では、放射線科専門医不足が深刻であり、遠隔画像診断は診療維持のための基盤として不可欠な役割を果たしている。特に北海道、青森、秋田、島根、宮崎、鹿児島などでは、県内の中小病院・離島・過疎地域を中心に利用が拡大しており、CT・MRIの読影を都市部専門医に依頼する体制が一般化している。また、救急医療体制が脆弱な地域ほど、迅速な画像診断によって重症患者の搬送判断が可能になり、医療安全の向上に寄与している。
さらに、都道府県単位で遠隔医療を推進する自治体も増加しており、広島県・徳島県・長崎県などは県主導の医療連携ネットワークを整備している。一方、制度整備やネットワーク構築が遅れ、医療機関が個別に契約する形にとどまる県もあり、地域差の要因となっている。
総じて、都市部は「効率化・品質向上」、地方部は「医療提供体制維持」を目的に活用が進み、遠隔画像診断は地域医療の重要インフラとして今後さらに拡大すると考えられる。



