ヨーロッパの遠隔医療事情

嗣江建栄

嗣江建栄

テーマ:遠隔医療

ヨーロッパでは、遠隔医療(Telemedicine)は地域医療格差の是正と医療効率化を目的に急速に普及している。特に北欧諸国では、早くからICTを活用したオンライン診療や在宅医療支援が進み、国民IDと医療データの連携により診療履歴や処方情報を共有できる体制が整っている。イギリスでは国営医療制度(NHS)が遠隔診療サービスを公式に提供し、初診からフォローアップまでオンラインで完結できる仕組みが確立。フランスやドイツも、医療人材不足の地方を中心に遠隔診療を導入し、保険適用の拡大が進んでいる。一方で、EU全体では各国の法制度やプライバシー保護基準が異なるため、越境診療やデータ共有の統一には課題が残る。今後は「European Health Data Space(EHDS)」構想により、域内共通のデータ利用基盤を整備し、AI診断や予防医療の高度化を推進する動きが強まっている。

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