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中国国家中医薬管理局及び中国国家衛生健康委員会医政医管局からの合同派遣者として、中国中医科学院広安門病院救急科の斉文升主任と北京中医病院の劉清泉院長は1月21日昼頃に武漢に到着し、ハイレベルの中医学専門チームの第一陣として、武漢市中医病院、武漢市中西医結合病院及び武漢金銀潭病院中医科の専門家らで構成された湖北省専門家チームとともに、新型コロナウイルス関連肺炎の病因(疾病を起こす原因)属性、病位、病機(病気のメカニズム)進行の特徴等を巡って検討・分析を行い、初期対応プランの原案を策定し、中国国家中医薬管理局に提出した。1月22日深夜には再び北京に戻り、北京の専門家チームと再度検討と分析を行い、初期対応プランを作成、多方面の議論を経て、中国国家中医薬管理局の承認の上、1月23日付の『新型コロナウイルスに感染した肺炎の診療手引き(試行第3版)』内の中医学的治療案として発表された。
1月25日、経過観察が解かれた後、斉文升主任は広安門病院の医療チームに参加し、再び武漢で医療の第一線に立った。
斉文升主任は自身の身の危険を顧みず、2度も武漢の新型肺炎治療の最前線に立ち、臨床の第一線において治療に深く関わった。以下は彼が収集・総括した第一線の臨床資料に豊富な専門的知見を組み込み、深く考察し、作成した新型コロナウイルス関連肺炎に対する中医学的認識である。
2019年12月以降、湖北省武漢市の一部の病院で次々に複数の華南海鮮市場で曝露歴のある原因不明の肺炎症例が見つかった。現在は、すでに一種の新型コロナウイルス感染による急性呼吸器病であることが実証されている。現在までに収集した症例は、華南海鮮市場での曝露歴がない症例の増加を示しており、また、集団発生や武漢訪問歴の無い確定症例が出てきている。更に、中国以外の多くの国や地域で武漢(華南海鮮)市場曝露歴が明確でない確定症例も確認されている。
私は中国国家中医薬管理局からの通知を受け、北京中医病院の劉清泉院長とともに2020年1月21日に武漢に到着した。私たちは武漢金銀潭病院で60名余りの患者に詳細な診察を行った。その中には一般病棟の軽症患者もICUの重篤患者も含まれていた。その後、武漢市中医病院、武漢市中西医結合病院等いくつかの病院で巡回診察を行った。今回の新型肺炎の臨床的特徴、発病プロセス等の情報を収集・整理し、深い考察を加え、私なりに新型コロナウイルス関連肺炎について以下のいくつかの中医学的認識をまとめた。
病因病機及び見立てのポイント
新型コロナウイルス感染による肺炎は、中医学の「天行病」、「疫病」、「寒疫」、「寒湿疫」等の範疇に属すものである。
病因
強い感染力を持つ「ウイルス」。
病機
湿毒、化熱、瘀血/痺証、閉/脱証。
特徴
大部分の患者の初期症状は、微熱または熱無し、午後微熱、喉の乾燥と痛み、だるさ、背中の痛み、乾いた咳で痰は少なく、胸の苦しさと息詰まり、疲れと食欲不振、暗紅舌で舌苔が白く、濡/緩脈。白血球数、リンパ球数が少なく、胸部CTが典型的肺炎とは異なる。感染者数が多いが、病状は軽く、症状が非典型的で、重病患者は相対的に少ない。
病機分析
武漢は今年の冬の気温が例年より高く、どんよりと曇り、雨は降ったが雪は降っていない。患者の舌苔、脈象、症状を加味すると、病因の属性は「湿」が中心となっており、「湿毒困脾閉肺、気機の昇降失司」という状態。よって中医学的病位は脾と肺で、病性は湿毒の鬱閉。「湿毒」が新型コロナウイルス関連肺炎の要である。発病初期は、紅舌で、舌苔が薄く黄ばみ、湿毒挟熱である。中期は、湿毒化熱、陽明に入り、腑気不通、肺は瘀血/痺証となる。末期は、熱深厥深で、閉/脱証となる。
見立てのポイント
病状の進行度で早期、中期、末期に分かれる。それぞれの特徴的ポイントは以下の通り。
早期:湿毒困脾阻肺または湿毒挟熱、疲れと食欲不振、喉の渇き、乾いた咳、微熱または熱無し。淡紅舌または紅舌、濡/緩脈。
中期:湿毒化熱滞腑閉肺。舌は赤紫または暗い紅色、舌苔の黄ばみ、便秘、胸の苦しさと喘息、顔色が紫がかり、発熱は高い場合と低い場合がある。
後期:内閉外脱。よく感染性合併症を起こす、高熱、意識朦朧や失神、胸部腹部の灼熱感、手足逆冷、多臓器不全。紫紅舌、攣縮、舌苔が乾燥し黄褐色、弦/滑脈。
続きは・・・
斉文升主任は武漢の最前線での奮闘に深く関わり、自ら現場の中医学臨床情報を入手しています。新型コロナウイルス関連肺炎に対しまだまだ深い認識をお持ちですので、今後も更新します。どうぞご注目ください。
(上述文章は中国側パートナの了解を得て、コロナウィルスに関する知識普及のため転載させていただきます)