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他国では戦争が起こっている中での、我が国の終戦記念日
1945年に第二次世界大戦(太平洋戦争)が終戦して以降、朝鮮戦争、湾岸戦争、フォークランド紛争、911をはじめとした群発テロなど、戦争や紛争が収まったことはありませんでした。
そして、今年はロシアによるウクライナへの侵攻・・・さすがに各国も学習効果によって、いきなり世界大戦へと突入することはないものの、逆に事態を長引かせ、罪もない人々が次々に犠牲になっています。
TVや新聞の報道では、とりあえず東欧よりも遠くに位置する日本が(今のところ)安全であり、平和な世の中が来ますようにとの❝他人事❞のような論調が目立ちます。
例年掲載分・・・玉音放送で語られたこと
このような時代だからこそ、77年前の・・・ある意味で「原点」に立ち返り、戦争の愚かさと核兵器の悲惨さを見つめ直し、あらためて世界に発信するとともに、次世代に伝えていくべきです。
以下、玉音放送の一部を紐解きながら、平和の意味と日本が発信すべきメッセージについて考えます。(昨年までのコピー部分が多いのですが、毎年思い出そうという主旨をご理解ください。)
『加之敵は新に残虐なる爆彈を使用して頻(しきり)に無辜を殺傷し惨害の及ふ所
眞に測るへからさるに至る
而(しか)も尚交戰を継続せむか終に我か民族の滅亡を招來するのみならす
延て人類の文明をも破却すへし』
『敵は新たに残虐な爆弾を使用して、罪のない人たちを殺傷し、その痛ましい被害は計り知れない。
このまま戦争を続ければ、最後には我が民族が滅亡するだけでなく、人類の文明をも破滅させてしまうだろう。』
もちろん、「終戦の詔勅」の第一の目的は国民に対して「終戦(敗戦)」を伝えることですが、英訳されて連合国側にも放送された事実をとらえて、第二の目的は「連合国ひいては世界へのメッセージ」であったと個人的には考えたいのです。
連合国側は「日本がポツダム宣言を受け入れ無条件降伏した」とのみ受け取ったでしょうが、日本は最後の力を振り絞って「核兵器という悪魔を生み出した連合国への抗議と、核戦争を行なってはならないという強い示唆を与えた」と解釈したいのです。
以上、天皇の戦争責任問題も絡んで、異論反論が多々あることも承知しています。しかし、他の分野でも強いメッセージを世界に向けて発することをなかなかしない大人しい日本人としては、このようなメッセージが80年近く前に出されたことを誇りに思うべきですし、これをきっかけに平和のなんたるかを世界に問いかけるキッカケにしても良いのではないでしょうか。
これまでにMOUが考えてきたこと
このブログの前身である「雑記帳」や「ココログ」の頃から、核兵器や戦争については、何度も記事を掲載してきました。
この難しい時代とどのように向き合っていくべきか、私なりの考えや経験談を書いてきましたので、ご興味がございましたら、ぜひご覧ください。
【ココログ】
2018年8月15日
過去の世界大戦を彷彿とさせる世界情勢を憂う・・・
2018年8月9日
核兵器をめぐって、各国の思惑が錯綜していて危険です。
2018年8月6日
原爆の日に、長崎で、ペップトーク研修を実施しています。
2017年8月15日
いまこそ戦争の愚かさと核兵器の悲惨さを発信すべき時です!
2017年8月9日
核兵器の廃絶に向けて論点が複雑化し、夢が遠のきました。
2017年8月6日
核兵器の危機は、すでに記憶から現実に移っています!
2016年8月15日
今年も玉音放送の内容を振り返り、平和の尊さを噛みしめたい。
2016年8月9日
雰囲気に流されず、ゴリ押しに抗うべき時です。
2016年8月6日
平和という衣の下から、核兵器という鎧が見えはじめました・・・
2016年5月27日
オバマ大統領が広島を訪問、歴史が動き始めます。
2015年8 月9日
長崎への原爆投下の日・・・無関心、諦め、言いなりは罪です!
2015年8月6 日
戦後最大の危機的状況である今こそ、考えるべきこと
2016年8 月9 日
日本の被爆について、真剣に考えてくれた外国人がいます。
2014年8月6日
核兵器・・・世の中が一歩前進することを願って止みません。
2013年8月6日
核の話・・・以前とは意味合いが異なっています。
【雑記帳】
2012年8月15日
核兵器廃絶と平和に向けて、日本が発信できるメッセージ
2012年8月6日
原子力の平和利用は、核兵器保有と同じ覚悟が必要です
2011年8月15日
核兵器の恐ろしさを世界に伝えるメッセージ
2011年8月6日
原子力をめぐる対立軸は、複雑化しています原子力をめぐる対立軸は、複雑化しています
2010年8月15日
遠い道程かも知れないけど・・・考えるべきこと
2010年8月10日
いきなりで恐縮ですが・・・核兵器廃絶のこと
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<玉音放送の全文>
朕(ちん)、深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非常の措置をもって時局を収拾せんと欲し、ここに忠良なるなんじ臣民に告ぐ。
朕は帝国政府をして米英支蘇(べいえいしそ)四国(しこく)に対し、その共同宣言を受諾する旨(むね)通告せしめたり。
そもそも帝国臣民の康寧(こうねい)を図り、万邦共栄の楽(たのしみ)をともにするは、皇祖皇宗(こうそこうそう)の遺範(いはん)にして朕の拳々(けんけん)おかざるところ。さきに米英二国に宣戦せるゆえんもまた、実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに出で、他国の主権を排し領土を侵すがごときは、もとより朕が志にあらず。
しかるに交戦すでに四歳(しさい)を閲(けみ)し、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励精、朕が一億衆庶の奉公、おのおの最善を尽くせるにかかわらず、戦局必ずしも好転せず、世界の大勢また我に利あらず。しかのみならず敵は新たに残虐なる爆弾を使用してしきりに無辜(むこ)を殺傷し、惨害の及ぶところ真(しん)にはかるべからざるに至る。しかもなお交戦を継続せんか、ついにわが民族の滅亡を招来するのみならず、ひいて人類の文明をも破却(はきゃく)すべし。
かくのごとくは朕、何をもってか億兆の赤子を保(ほ)し、皇祖皇宗の神霊に謝せんや。これ朕が帝国政府をして共同宣言に応じせしむるに至れるゆえんなり。
朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せざるを得ず。
帝国臣民にして戦陣に死し、職域に殉じ、非命にたおれたる者および、その遺族に思いを致せば、五内(ごだい)ために裂く。かつ戦傷を負ひ、災禍をこうむり、家業を失いたる者の厚生に至りては朕の深く軫念(しんねん)するところなり。
おもうに今後、帝国の受くべき苦難はもとより尋常にあらず。なんじ臣民の衷情(ちゅうじょう)も朕よくこれを知る。しかれども朕は時運のおもむくところ、堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す。
朕はここに国体を護持し得て、忠良なるなんじ臣民の赤誠(せきせい)に信倚(しんい)し、常になんじ臣民と共にあり。
もしそれ、情の激するところみだりに事端をしげくし、あるいは同胞排擠(はいせい)、互いに時局をみだり、ために大道を誤り、信義を世界に失ふがごときは朕最もこれを戒む。
よろしく挙国一家、子孫相(あい)伝え、かたく神州(しんしゅう)の不滅を信じ、任重くして道遠きをおもい、総力を将来の建設に傾け、道義を篤くし、志操(しそう)をかたくし、誓って国体の精華を発揚し、世界の進運に後れざらんことを期すべし。
なんじ臣民それよく朕が意を体(たい)せよ。
<現代語訳>
私は深く世界の大勢と日本の現状に鑑み、非常の措置をもって時局を収拾しようと思い、忠義で善良なあなた方臣民に告げる。
私は帝国政府に米国、英国、中国、ソ連の4カ国に対しその(ポツダム)宣言を受諾することを通告させた。
そもそも帝国臣民の安全を確保し世界の国々と共に栄え、喜びを共にすることは、天皇家の祖先から残された規範であり、私も深く心にとめ、そう努めてきた。
先に、米・英2カ国に宣戦を布告した理由もまた、帝国の自存と東亜の安定を願ってのものであって、他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりするようなことは、もちろん私の心志(意志)ではない。
しかしながら、戦闘状態はすでに4年を経て、わが陸海将兵の勇敢な戦闘や、官僚・公務員たちの励精、一億民衆の奉公は、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もわれわれにとって不利に働いている。
それだけでなく、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用して、罪のない人々を殺傷し、その被害ははかり知れない。それでもなお交戦を継続すれば、ついにわが民族の滅亡を招くだけでなく、それから引き続いて人類文明をも破壊することになってしまうだろう。
そのような事態になったとしたら、私はどうしてわが子ともいえる多くの国民を守り、皇祖皇宗の神霊に謝罪することができようか。これが私が政府に宣言に応じるようにさせた理由である。
私は帝国とともに終始、東亜の解放に協力してきた友好国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。
帝国臣民であり、戦場で没し、職場で殉職し、悲惨な最期を遂げた者、またその遺族のことを考えると内臓が引き裂かれる思いがする。さらに戦場で負傷し、戦禍に遭い、家や仕事を失った者の厚生については、私が深く心配するところである。
思うに、今後、帝国の受けるであろう苦難は尋常ではない。あなたたち臣民の本心も私はよく知っている。しかし、私はこれからの運命について堪え難いことを堪え、忍び難いことを忍んで将来の万世のために太平の世を切り開こうと願っている。
私は、ここにこうして国体(天皇を中心とする秩序)を護持して、忠良なあなた方臣民の偽りのない心を信じ、常にあなた方臣民と共にある。もし激情にかられてむやみに事をこじらせ、あるいは同胞同士が排斥し合って国家を混乱に陥らせて国家の方針を誤って世界から信用を失うようなことを私はもっとも戒めたい。
国を挙げて一つの家族のように、子孫ともどもかたく神国日本の不滅を信じ、道は遠く責任は重大であることを自覚し、総力を将来の建設のために傾け、道義心と志操(守って変えない志)をかたく持ち、日本の栄光を再び輝かせるよう、世界の動きに遅れないように期すべきだ。あなた方臣民は私のそのような意を体してほしい。
=2014/08/15付 西日本新聞朝刊=