助成金にデメリットはある?活用にあたり注意すべきこと
社会情勢や労働環境の変化など、その時々の最適な状態に合わせ制度も移り変わるのが助成金。
今日本では終身雇用の崩壊が叫ばれ、多様な働き方が注目を浴びる中で、働き方改革等で、雇用環境にも変化が起きています。
少子高齢化に伴い労働人口が減少し、実際に採用・人材確保で苦労されているお話をよく耳にします。
人材が以前に比べて思うように採用できなくなった今、取り組むべきは「社員の職業能力の開発、定着率増加、生産性向上」です。
今回ご案内する、「人材開発支援助成金」はこれらの取り組みに対して支給される助成金です。
「社員が自分のキャリアを考える機会を設ける」
「社員が自分で能力開発に取り組むことを推奨する制度を設ける」
これらの取り組みにより、一人一人の社員が成長していくことで、モチベーションアップ、離職率低下などの効果が見込めます。
また、これらの制度は既存社員だけでなく、これから採用活動を行うにあたっても、立派な企業のアピールポイントとなることでしょう。
人材の多様化が進む日本にとって、「社員を大切にする」という姿勢は今どの企業にも求められています。
2017年4月にも新たに制度、名称が変わった助成金。
それが人材開発支援助成金です。
以前はキャリア形成促進助成金と呼ばれていたこの助成金、どこが変わったのでしょう?
人材開発支援助成金の概要、目的
では、改めて新たに始まった人材開発支援助成金についてご説明します。
人材開発支援助成金とは、職業訓練などを行う事業主に対し、その訓練にかかる経費や訓練中の従業員の賃金を助成し、従業員のキャリア形成を効果的に促進していくものです。
助成金の支給対象となるのは、「一般訓練コース」と労働生産性の向上等、訓練効果が高い内容について助成する「特定訓練コース」。そして定期的にキャリアコンサルティングを実施するセルフ・キャリアドック制度や教育訓練休暇等制度を導入し、実施した場合に助成する「キャリア形成支援制度導入コース」、技能検定合格報奨金制度、社内検定制度、業界検定制度を導入し、実施した場合に助成する「職業能力検定制度導入コース」の4つからなります。
キャリア形成促進助成金からの変更点
キャリア形成促進助成金からの一番の変更点は、それまで16の訓練と制度に分かれていたものを統廃合したことです。これにより、教育訓練、職業能力評価制度は廃止となり、新たに労働生産性の向上に直結する訓練などが加わっています。
もうひとつの大きな変更点は、生産性要件が加わったことです。生産性要件とは簡単にいえば2017年3月の段階で、3年前の決算の数字の生産性より、直近の決算の数字の生産性が6%高いと要件を満たすことをいい、この要件を満たすことができれば通常47.5万円の助成金額が60万円に引き上げられます。
また特定訓練コース、もしくは一般訓練コースの要件を満たす全ての訓練が助成対象となったのも大きな変更点のひとつです。これまでよりも助成対象が広くなったことで、より多くの中小企業がこの制度を利用できるようになりました。
まさにその名の通り、人材開発・社員のキャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練の実施や人材育成制度を導入し、社員に適用させた事業主に対して助成する制度です。
人を社員を大事にすればこそ、いい人材が集まってきます。
これらの制度・コースを導入・採用し、企業の人材育成と社員の職業能力開発のために、ぜひご活用ください。
お問い合わせ・ご相談お待ちしています。
社会保険労務士
竹内誠一