タンザニア向け中古車輸出が急増。どんな車が買われているのか?|今週の中古車市場

吉田秀次

吉田秀次

テーマ:中古車輸出

中古車市場を見るうえで、今週私が注目している国があります。
タンザニアです。
2026年8月、日本からタンザニアへ輸出された中古車は16,920台。
前年同月比141.8%、前月比では146.1%となりました。
一方、輸出台数1位のロシアは18,024台。
その差は、わずか1,104台です。グーンニュース
中古車輸出というと、UAEやロシアを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし今、東アフリカ向けの動きもかなり気になります。
では、タンザニアではどんな日本車が求められているのでしょうか。
そして、その需要は日本の中古車オークションや、私たちが提示する査定価格にどう表れているのでしょうか。
今週はそこを観察してみたいと思います。

タンザニア向けは前月から46%増えた

まず注目したいのは、増え方です。
7月のタンザニア向け輸出は11,578台でした。それが8月には16,920台まで増えました。グーンニュース
単に「東アフリカ向け輸出が増えている」という話ではなく、1カ月でかなり大きく動いています。
もちろん、単月の数字だけで長期的なトレンドと判断することはできません。
船積み時期などによって月ごとの数字が振れる可能性もあります。
だからこそ、私はこの数字を見て「タンザニア向けの車が高くなる」と結論づけるのではなく、「では、日本のオークションでどんな買いが入っているのだろう」と考えます。
ニュースや統計は、答えではありません。
市場を観察するための仮説をつくる材料です。

タンザニアではどんな日本車が求められているのか

タンザニア向けの販売情報を見ると、興味深い車種が並びます。
現地向け中古車販売大手のBE FORWARDでは、タンザニアの売れ筋として、トヨタ・ハリアー、スバル・フォレスター、トヨタ・RAV4、ヴァンガード、IST、ノアなどが挙げられています。BE FORWARD: Japanese Used Cars for Sale
カテゴリー別でも、SUVではハリアー、RAV4、フォレスター。バンではハイエース、プロボックス、キャラバン。セダンではプレミオ、クラウン、アリオン。トラックではキャンターなどが掲載されています。BE FORWARD: Japanese Used Cars for Sale
ここを見ると、必ずしも高額なSUVだけではありません。
SUV、商用バン、コンパクト、セダン、トラックまでかなり幅があります。
つまり「タンザニア向けの車」という一つのカテゴリーがあるというより、現地での用途や価格、耐久性、整備性などによって複数の需要が存在すると考えたほうがよさそうです。

車種だけではなく「年式」と「距離」を見たい

そして、査定する側として私が特に気になるのが年式と走行距離です。
日本の中古車市場では一般的に、年式が古くなり、走行距離が伸びれば評価は下がっていきます。
特に10万kmを超えると、国内の商品車としては買い手が限られてくる車もあります。
ところが、海外市場まで含めると評価の仕方が変わることがあります。
例えば現在、タンザニア・ダルエスサラーム港向けとして販売されているプロボックスを見ると、2020年式・82,700kmの個体が確認できます。一方、2010年式・155,471kmのプロボックスワゴンもダルエスサラーム港在庫として掲載されています。
もちろん、これだけで「15万kmでもタンザニアなら高く売れる」とは言えません。
重要なのは、国内市場だけを見て「古い」「距離が多い」と判断してしまわないことです。
車種、年式、距離、排気量、状態。そして現地まで運んだときの総コスト。
それらを組み合わせた結果として、海外バイヤーが日本でいくらまで出せるのかが決まります。

同じ車種でも年式と距離をずらして見てみる

そこで明日のオークションでは、少し見方を変えてみようと思っています。
例えばRAV4。
5年落ち・5万km程度の車と、8年落ち・8万km程度の車、さらに年式が古く10万kmを超えた車では、応札の残り方に違いがあるのか。
フォレスターならどうか。
ハイエースなら、10万km、15万km、20万kmと距離が伸びても、どこまで買いが残るのか。
プロボックスやキャラバンなど商用車はどうか。
単純に落札価格だけを見るのではなく、「年式と距離が変わったとき、どこで買い手が減るのか」を見てみたいと思います。
ここが分かってくると、タンザニアをはじめとする東アフリカ需要が、日本の中古車価格のどの部分を支えているのかが少し見えてくるかもしれません。

タンザニアは「タンザニアだけ」の市場ではない

もう一つ重要なのが、ダルエスサラーム港の存在です。
タンザニアに入った車が、すべてタンザニア国内だけで使われるとは限りません。
ダルエスサラームは東アフリカの物流拠点の一つで、周辺の内陸国へ向かう物流の入口にもなっています。
実際、現地向け販売サービスでも、ダルエスサラームからタンザニア国内だけでなく、ザンビア、ジンバブエ、マラウイ、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ルワンダへの配送サービスが案内されています。BE FORWARD: Japanese Used Cars for Sale
そう考えると、「タンザニア向け16,920台」という数字も、単純にタンザニア国内の自動車需要だけを表しているとは限りません。
東アフリカ、さらに内陸部へ向かう入口として見る必要があります。
これは中古車の「輸出先」を考えるときに、とても重要な視点だと思います。

日本では評価されにくい車が、世界では必要とされているかもしれない

私が中古車輸出を見ていて面白いと思うのはここです。
日本では、年式が古い。
距離が多い。
国内では小売しにくい。
そう評価される車でも、世界に目を向けると別の用途があるかもしれません。
道路環境も違います。
車の使い方も違います。
求められる耐久性も違います。
修理環境や部品供給も違います。
日本国内での「商品価値」と、世界での「商品価値」は必ずしも同じではありません。
だから私は、特に低年式・多走行の車を査定するときほど、国内の相場だけで決めないようにしています。

明日のオークションで答え合わせしてみます

8月、タンザニア向け中古車輸出は16,920台まで増え、ロシアとの差はわずか1,104台になりました。
では、その増加は日本の中古車オークションのどこに現れているのでしょうか。
SUVなのか。
商用車なのか。
低年式車なのか。
多走行車なのか。
あるいは、私が想像しているほど分かりやすく価格には現れていないのか。
これは統計だけを見ていても分かりません。
数字を見て仮説を立てる。
そして、実際の市場を見る。
予想と違えば、なぜ違ったのかを考える。
明日はオークションに行く予定です。
今回は、いつも以上に「車種×年式×走行距離」を意識して、買い手の動きを見てみたいと思います。
そして、その結果をまた答え合わせしてみます。
市場を読み、人を知り、判断基準を届ける。
今週は、タンザニアから中古車市場を見てみます。

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吉田秀次
専門家

吉田秀次(車買取業)

有限会社ソーシャルキャピタル

車買取の現場と中古車市場を日々観察。査定額だけでなく、市場動向や売却タイミングを踏まえ、納得して車を売るための「判断基準」を提供します。

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