リスキリングの落とし穴とあるべき姿
思考を変えるのは難しい?
悩みごとの解消だったり、自分を変えるようなことに対して、
「思考を変えよう!」と諭すセミナーや書籍があります。
でもそれが誰でも簡単にできるなら苦労はしません。
ただそれらのセミナーに参加したり、本を読んだりする人は、何か課題や問題を抱えている人でしょうから、確かに思考を変えないと現状や未来が変わらないことも事実です。
ではどうすればよいのか?
そもそも、思考って何だという話ですね。
思考とはまぁ簡単に言ってしまえば「考え方」ですね。
ただ、その「考え方にもとづく考え」のことを指す場合もあるので、そこが実はポイントになります。
実は「考えを変える」ことは簡単です。
こういうふうに考えていることに対して、視点を変えてこう考えてみましょう、みたいな。
ネガティブなことが起こっても、それは次の成功のためのステップなのだ、それをカテにしよう、みたいな感じです。
それに対し「考え方を変える」にはパワーが必要です。
起こることはすべて必然ととらえ、すぐに次へどうつなげるかをいつも考える人、みたいな。
「考えを変える」は「動作」で、「考え方を変える」は「状態」がいつもそうであるように変えるということです。
考え方は、思考というより「思考習慣」と言った方が理解しやすいでしょうね。
習慣ですから、変わるの時間がかかります。付け焼刃で変えたとしても、生物のホメオシタシス機能が働いて、すぐに元にもどります。
マインドチェンジは「考えを変える」ことではなかった
これらに関連する言葉で「マインドチェンジ」がよく使われています。
でもこれは「考えを変える」と「考え方を変える」の両方を含んでいて、話し手や書き手によって、そのどちらかのことを指しているので注意が必要です。
英語的には、マインドとは「考え」のことで、「考え方」はマインドセットと言われます。
でも、マインドセットチェンジというと、ちょっと長いのでそれらのこともマインドチェンジと呼んでいるんだと思います。
ということで、セミナーや書籍で勧めているのは、実はマインドセットチェンジですね。まぁそれをマインドチェンジと呼んでいるということ自体はそれでよいのですが。
でです。
それらの言葉を使うと、マインドは変えるのは簡単だけど、マインドセットを変えるのは大変です。その上に、さらにマインドセットを「チェンジ」するという、これがまた大変なのです。
変えようとするものがマインドセットなのに、そうしようと考えるのもマインドセットです。なんかよくわからなくなりますが、要は、コンピュータで言うところのOSの入れ替えをOSの上で操作しようとしているようなものなのです。
それは難しそうですよね。
でも、それが必要な機会はほとんどありません。
新社会人になったときに学生気分のままでいるなと、新入社員教育で必ず言われますが、まさにその時くらいでしょうか。
ではそれ以外は? というと、
チェンジするのではなく、シフトするというのが現実的です。
マインドチェンジではなく「マインドシフト」を目指そう
マインドシフトは、これまでの何もかもを否定して新しいものに変えるのではなく、ステージアップするということです。OSでいうと、機能向上のバージョンアップのような感覚です。
ほどんどのものがOSの上で更新ができます。中には再起動が必要なものもありますが、それはまぁ一晩寝るくらいの感覚です。
では、ステージアップのための「マインドシフト」とは何か。
新しいステージでのマインドセットは大きく3つに分類されます。
一つは、これまで培った経験やノウハウ。
もう一つは、新しくインストールするもの。
そしてもう一つが、これまでの経験やノウハウの中で新しいステージでは使いものにならないので、アップデートしたもの。
つまり、これまでに培った経験やノウハウは、すべて使えないのではなく、そのまま活かせるものもあるけど、中には使えないものもある。そしてそのままでは使ってはいけないものがあるということです。それらは入れ替えないといけないのです。これがマインドシフトのキモです。
コンピュータで言えば、
これからも使えるこれまで使ってきたアプリ、
新しくインストールしたアプリ、
それにバージョンアップしないと使えないアプリ
があるということです。
このバージョンアップしないと使えないアプリが、そのあとうまくいくかどうかのキモなのです。
思考転換、思考改革、マインドシフトには
まずは、これらの分類というか線引きがとても重要となります。