相続不動産の注目すべき最高裁判決!!
2月11日付の日経新聞に最高裁の取材から相続人不在で国庫に帰属する遺産が2023年度
に1,015億円に達したという記事が掲載されました。
相続人不在で国庫に入る遺産は、調査開始した2013年度の約336億円からここ10年間で
約3倍に上昇したのです。
過去の新聞報道でも2019年1月の毎日新聞に2017年度に国庫に入った遺産が約525億円
で初めて500億円を突破したことや2023年1月の朝日新聞でも相続人なき遺産が2021年度
で過去最高の647億円が国庫に帰属したとする記事が掲載されています。
国庫に帰属する遺産が年間で1,000億円を超えたことに驚いた方も多いと思いますが、今後
も配偶者や子供のいない単身の高齢者は年々増加していくことから国庫に入る遺産も増え続
けるのは間違いないことでしょう。
おりしも今年は2025年問題で1947年から1949年生まれの団塊の世代が75歳以上となり
国民の4人に1人が後期高齢者となることから医療や介護の需要が急増して社会保障制度や
医療・介護体制に深刻な影響を及ぼすとされる社会問題を抱えています。
厚生労働省の人口動態統計調査の年次推移で最新の2023年のデータによると出生数は72万7,277人で前年の77万759人より4万3,482人減少し、出生率は6.0で前年の6.3より低下し
て平成28年以降は毎年減少しています。
また、2023年の死亡数は157万5,936人で、前年の156万9,050人より6,886人増加し、
死亡率は13.0で前年比12,9より上昇していますが、特筆すべきは75歳以上の後期高齢者の
死亡数が昭和の後半から増加傾向にありましたが、平成24年以降は全死亡数の7割を超えて
いることです。
このデータの詳細については、厚生労働省の令和5年(2023年)人口動態総覧の年次推移を
ご覧ください。
令和5年(2023年)人口動態総覧の年次推移
相続人も遺言もない遺産は、利害関係者の申立てによって家庭裁判所が選任した「相続
財産管理人」が整理することになり、未払いの税金や公共料金等の清算をして相続人が本当
にいないかを確認することになりますが、身の回りの世話をしていた「特別縁故者」がいる
場合には、家庭裁判所の判断により財産分与が行われて残りの財産が国庫に入ることになり
ます。
そのため相続人のいない方が死後に自分の財産が国庫に入るのは困ると考えている場合に
は生前の対策をしておくのが賢明です。
生前に自分の面倒をみてくれた方へ財産分与することや福祉団体等への遺贈寄付を遺言に
遺すことでご自身の財産が国庫に帰属することにはなりませんので、このような対策をして
おくことをお勧めします。