なぜ害虫がつきやすい植物があるのだろうか?
うどんこ病
うどんこ病による病害
うどんこ病が発生すると、庭木では葉が白くなって見栄えが悪くなったり、植物の光合成が阻害されて枝の成長が奇形になって枝ぶりを悪くしたり、花や実の付きが少なくなるもしくは小さくなるなどの被害が出ます。
うどんこ病とは
うどんこ病は糸状菌と呼ばれるカビの一種(絶対寄生菌)が葉に付着する病気で、葉の表面や裏面が白くなります。
このカビは乾燥している所を好み、活動する気温は10~34℃の範囲、最も活動する気温は25℃のようです。
土壌や落葉に潜んでいるため、絶やすことは難しいと思います。
発生する時期は、主に5~6月、9~11月です。晩秋には粒状の黒色子嚢殻が多数できて越冬し、それが翌年の伝染源となります。
うどんこ病を根本的に防除する方法とは
一般的な防除方法としては「うどんこ病にかかった葉を切除して廃棄すること」や「薬剤散布でカビを殺菌すること」、「散水してカビを洗い流すこと」、「酢農薬を散布すること」、「葉を間引いて樹体内の風通しを良くすること」などがあります。軽度のうどんこ病ならこれらの処置で改善することがありますが、病原菌が土壌や落葉に潜んでいるので、再度うどんこ病が発生する可能性は高いです。
したがって、うどんこ病を防除するには、発生する根本的な原因を考える方が良さそうです。
根本的な原因として、病原菌は乾燥した所を好むことから「葉内の水分量が少ない」ためだと私は考えています。発生する主な時期は植物が成長する時期であることから、葉の光合成活動が高い時期、つまり葉から水分を蒸散する作用が活発な時期です。その時期に土壌へ保水されている水分量が少ないと葉へ十分な水分が供給されず、葉内の水分量が少なくなってうどんこ病を発症すると考えられます。真夏の暑い時期も水切れを起こしそうですが、植物(樹木)は真夏の高温時に成長を休止するので、水分の蒸散作用が低く、葉内の水分量は適度に保てているのかもしれません(病原菌が高温では活動できないという考えもあると思います)。
私の観察では、うどんこ病が発症している樹木は「過度な剪定により根が発達不良を起こしている」、「土壌表面がインターロッキング等で塞がれている」、「植えられている土壌の通気透水性が悪く、水分が土中へ浸透していない」、などの状態が見受けられます。
葉内の水分量を適度に保つためには、「土壌の保水性」、「根の生育」を良好にすることが大切です。
土壌の保水性を良好にするには、土壌をフカフカな状態にして保水能力を高め、土壌表面をマルチングして乾燥を防ぐ、などが挙げられます。人工的には土を耕し、ワラもしくはウッドチップを敷く方法があると思います。自然の力を借りる方法では、地域に生える山野草を植えて保水性を高めるのはいかがでしょうか。草の根は土をフカフカにする働きがあり、根はそのまま栄養分にもなります。そして、草の生えている所は乾燥しません。山野草をデザイン的に植栽して美しくし、持続的に土壌の保水性を保つ方法もあると思います。
根の生育を良好にするには、土壌の通気透水性を高めて根が成長できる範囲を拡大し、剪定の強度をなるべく軽くして剪定による根の枯死を防ぐことです。土壌の通気性を高めるには、「土壌改良で、樹木(庭木)を樹勢回復させる方法」を参考にしてください。剪定強度については、「雑木の庭をより美しくする剪定(手入れ)方法」を参考にしてください。雑木でなくても樹木の剪定の基本は概ね同じです。
根の生育が良くなれば、植物(樹木)の活力が高まり、病原菌を寄せ付けなくなります。
うどんこ病の防除方法のまとめ
1. 土壌の保水能力を高める(マルチング、山野草の植栽)
2. 根が成長できる範囲を拡大する(土壌改良)
3. 剪定による根の枯死を防ぐ(なるべく軽剪定で管理する)