自分自身のモチベーションが下がったとき、経営者が取るべき行動は?

小本紀子

小本紀子

テーマ:経営者の悩みと心のケア

経営者たるもの、常に高いモチベーションを持って仕事に取り組むべきといった考えのかたは多いかもしれません。しかし経営者も人間である以上、さまざまな理由でモチベーションを高く維持することが困難な場合もあるでしょう。そこで重要なことはモチベーションが下がったときにどうするべきかです。今回は経営者自身のモチベーションが下がったときに取るべき行動についてご紹介します。

経営者のモチベーション維持が難しい2つの理由

モチベーションが下がってしまう要因とはどういったものが多いのでしょう。そもそもモチベーションの低下は内因的要素と外因的要素の大きく2つに分けられます。内的要因とは自分の実力不足やケガ、病気などによるものです。これに対し外的要因とは、景気の悪さや取引先との関係、会社内の人間関係などによるものです。

モチベーションが下がる理由に経営者と従業員に大きな差があるわけではありません。経営者と従業員どちらも内的要因、外的要因どちらの理由によってもモチベーションが低下する可能性はあります。ただしモチベーションの維持が難しいのは圧倒的に経営者だと言えます。なぜ従業員より経営者のほうがモチベーションの維持が難しいか。それにはいくつかの理由があります。

1. 相談するべき相手がいない
一般的に従業員の場合、上司や同僚など周りに相談する相手が多いため、モチベーションが下がったときでも、克服までそれほど時間がかかりません。これに対し経営者は会社内に相談する相手がいない場合が多く、一旦モチベーションが下がると克服するのにも時間がかかります。

2. 辞めるという選択肢を取りづらい
従業員のモチベーションが下がった場合、最悪の場合、従業員には会社を辞めるという選択肢があります。環境や仕事が変われば新たなモチベーションがアップするため、良い悪いは別としても克服方法の一つではあります。しかし経営者はモチベーションが下がったからといって簡単に仕事を辞めるわけにはいきません。

周りに相談するべき相手がいない。自分が仕事を辞めることで、従業員や会社全体に迷惑をかけることになる。もちろんこれが全てではありませんが、こうした背景もあり、経営者がモチベーションを維持していくことは従業員に比べ困難であるといえます。

間違ったモチベーションアップの方法をとると状況をさらに悪化させる

モチベーションが低下した時、多くの経営者はそれを克服するため、お酒を飲む、新たな趣味を持とうとする、これまで以上に仕事に没頭する、周りに当たり散らすなどさまざまな行動に出ます。しかしそのほとんどは効果がないばかりか、逆に状況をさらに悪化させることにつながってしまうことが多いようです。

特に中小企業においては、経営者のモチベーション一つで会社自体が大きく揺らいでしまうことも珍しくありません。それほどまでに経営者のモチベーション維持は、会社にとって重要な問題であり、少しでも早く克服しなければ、多くの従業員に迷惑をかけることにもなってしまうのです。

心のケアとモチベーションアップの関係

上述したように、経営者がモチベーション低下してしまう理由はさまざまですが、一般的には従業員に比べ、外的要因が多い傾向があります。経営者は会社では最も上位の立場にいる以上、社内での人間関係に悩むといったことはあまりないでしょう。しかし景気低迷からの経営問題、取引先、同業者との関係悪化など、自分ではどうしようもできない理由が多いようです。そしてその中でも経営的な問題からモチベーション低下を起こすことが少なくありません。

経営的な問題から引き起こされるモチベーション低下は、景気が良くなる、また自社の経営が良化すれば克服が可能です。しかし実は経営的な問題をよくよく分析していくと、経営者の心に内包する問題に由来するケースがほとんどです。

その心とはいわゆる潜在意識を指します。価値観の刷り込みや日々の体験などが蓄積して形成される潜在意識は、心の95%を占めると言われています。つまり仕事でもプライベートでも問題が生じたときは潜在意識にヒントがあると考えればまず間違いないのです。それほどまでに経営者の心のケアとモチベーションアップは密接な関係にあり、経営者のモチベーション低下を克服するには、どういった理由であれ心のケアをすることが重要です。

自分自身の心をケアするために専門家の力を活用する

経営者は経営のプロですが、心のケアのプロではありません。そのためモチベーションを無理やり上げようとして、お酒、趣味、仕事などにのめり込んだとしても、それがモチベーションアップにつながる可能性は高くないし、アップしたとしても持続性がありません。
ではどうするべきか、それは専門家に相談することです。

モチベーションが低下し、心が曇っている状態ではなかなか自分一人でその曇りを取り払うことはできません。そういった時こそ、一旦、スピードを緩め、専門家に相談することで、心の曇りを取り払ってもらえば、自然とモチベーションもアップするのです。

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小本紀子
専門家

小本紀子(公認心理師)

紀凛株式会社

経営上の課題、トラブル、悩み。カウンセリングによって経営者自身の心と向き合い考えグセ・行動グセを分析。心のモチベーションを回復させて創造力・問題解決力を引き出し、ビジネスの成長を支える。

小本紀子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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