【よくある質問】 倒産したら保険はどうなるのか?【才藤 投稿】
【実録】手元に資金があるうちに閉じる勇気。0になってからでは遅すぎる理由。
「倒産=一文無し」という誤解が周囲を不幸にする現実。
内藤明亜事務所の才藤です。
ある経営者(仮にTさんとします)のご相談を受けた後のことです。
内藤から、いつになく厳しい声で「お前のブログは生真面目すぎる。教科書を読ませるために経営者はうちに来るんじゃないんだ」と一喝されました。
経営危機の渦中にいる方が求めているのは、綺麗な理論ではなく「今、この地獄からどうやって生還するか」という生々しい事実です。
ですから、今日はあえて「綺麗事」を抜きにしてお話しします。
1.倒産とは「一文無し」になることではない
多くの経営者が陥る最大の誤解、それは「倒産とは、すべての金を使い果たし、にっちもさっちもいかなくなった時に選ぶ、人生の終着駅だ」という思い込みです。
先日ご相談に来られたTさんも、まさにその一人でした。
建設業を営む彼の会社には、まだ手元に1000万円ほどのキャッシュが残っていました。しかし、受注の見込みは立たず、毎月の固定費でその資金は確実に削られています。
Tさんの弟さんは「この1000万円をつぎ込めば、あと数ヶ月は粘れる。その間に奇跡が起きるかもしれない」と言い、Tさんは「いや、もう潮時ではないか」と悩み、板挟みになっていました。
ここでわたしたちがお伝えしたのは、「その1000万円が『ゼロ』になってからでは、我々はあなたを救うことができなくなる」という冷徹な事実です。
2.「ゼロ」になるまで粘るのが、一番の無責任
「最後まであきらめないのが経営者の美学だ」という言葉があります。
しかし、資金繰りの現場を30年以上見てきた内藤に言わせれば、それは美学でも何でもありません。ただの「現実逃避」です。
資金が底をつくまで粘るとどうなるか。
⑴再起のための軍資金がなくなる: 破産手続きにも費用がかかります。生活を立て直すための「自由財産(法律で認められた手元に残せる現金)」すら確保できなくなります。
⑵周囲をより深く傷つける: 最後まで粘るということは、払えないとわかっている外注費を発生させ、返せないとわかっている借入を増やす行為です。
⑶家族を守れなくなる: 精神的に追い詰められ、最悪の場合、過去の事例にあるように「命」で責任を取ろうとする。そんな悲劇を我々は何度も見てきました。
手元に1000万円ある今の状態なら、**「戦略的な幕引き」**が可能です。
取引先への誠実な支払い、従業員の再就職支援、そして何より、あなた自身とご家族が明日から食べていくための「再起資金」を、法的な枠組みの中で正当に確保することができるのです。
3.「計画的」という言葉を恐れないでほしい
「計画倒産」と聞くと、何か犯罪的な響きを感じるかもしれません。
しかし、我々が提唱するのは、債権者を騙すことではなく、**「被害を最小限に抑え、全員が次のステップへ進むための出口戦略」**です。
打ち合わせの中で内藤はよく言います。「120万円残せるかどうかが、その後の人生を分けるんだ」と。
現金99万円と、予備の20万円程度。これがあるだけで、経営者は「敗残兵」ではなく「次の事業を構想するチャレンジャー」として再出発できます。
Tさんのケースでも、不動産への執着や「まだいける」という淡い期待を捨て、この1000万円を「沈む船を維持するため」ではなく「救命ボートを出すため」に使う決断ができるかどうかが、勝負の分かれ目でした。
4.100点満点の準備を待っていたら、資金は消える
内藤からは、私自身の仕事の進め方についても「60点でいいから、スピードを上げろ」と叩き込まれています。これは経営再建も同じです。
「もう少し状況を整理してから」「弟と完全に意見が一致してから」
そうやって足踏みしている間に、手元の1000万円は800万になり、500万になり……気づいた時には、ボートを出す燃料さえ残っていません。
もし、今あなたの通帳にいくばくかの数字が残っているのなら、今すぐその数字を「守る」ための相談をしてください。
「ゼロになったら終わり」ではありません。「ゼロになる前に止める」ことが、経営者としての最後の、そして最大の責任なのです。
わたしたちは、あなたが誰かに「潰された」と言い訳をするのではなく、自らハンドルを握って「わたしがここで幕を引く」と決断する姿をサポートしたい。
その決断の先にしか、本当の再起はないからです。



