自己破産した後の生活はどうなる?【才藤 投稿】

内藤明亜

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テーマ:小規模零細企業の経営者の周辺

もしも、会社が倒産して破産したら心配されるのはその後の生活がどうなるのかが漠然していて不安ではないでしょうか?

今回は、経営者が倒産してその後どうなったのか事例をいくつか紹介します。
リセット
業種:製造業 
年商:2億前後
年齢:50代前半
債務:金融機関1億5千万、買掛・外注費など8,000万、社会保険200万、税金500万
Xデー:2017年11月(手続き完了2018年12月)
債権処理方法:自己破産(法人と個人)
最初の数年は建設業関連の会社へ転職してノウハウの下積み期間を経て、
現在は一般住宅の車庫やカーポートからガーデニングなどの工事請負業に転身して3年経過。純利益もしっかり確保、売上より利益率に注力した安定した経営を実践している。
法人化するかどうか検討中であるが、従業員を増員する予定はない。身の丈にあった事業規模を心掛けいる。クレジットカードも所有できるようになったので信用情報も回復した。自宅は協力者の名義に変更して住み続けていてるが、数年後に買い戻す予定です。

業種:小売業(ECサイトでの家電の通信販売)
年商:9000万前後
年齢:30代後半
債務:金融機関8000万、クレジットカード200万、
Xデー:2021年9月(手続き完了2022年5月)
債権処理方法:自己破産(法人と個人)
破産手続き開始決定後からまもなくYouTuberとして活動の準備を始め、免責決定後から間もなく配信を本格的に始動して3ヶ月後には収益化に成功。順調に進んでいたチャンネルがある日突然閉鎖されるというトラブルがあって、一からの再出発という苦難を乗り越えてより多くの収益まで回復することに成功。現在の収入は既に以前より上回り順調に収益を伸ばしている。自宅はもともと賃貸で引越しはせず、そのまま住み続けています。
予知倒産、早期の的確な判断が功を奏し1年程で再起を実現しました。

業種:印刷業
年商:1億8000万前後
年齢:60代後半
債務:金融機関1憶2000万、買掛1500万
Xデー:2020年3月(手続き完了2022年12月)
債権処理方法:自己破産→特定調停(法人と個人)
決算書上にある会社資産価格(簿価)と市場実勢価格と良い意味で乖離があった。
大型の中古印刷機が国内向けではなく新興国へ輸出する前提で査定すると高額になったため債務超過がほぼ解消できる額まで達した。そのため破産申し立て準備から方向転換して特定調停で進めることになった。債権額が縮小されてこともあってか主な債権者の金融機関の同意もあったため連帯保証人は外れ、無事に債務処理を完了。
法人と個人の自己破産を回避することに成功した。
現在は地域新聞の出版を個人で請負いながら不自由のない生活を家族と過ごせるぐらいの収入は守ることが出来た。
以前に比べて自由な時間が出来たこともあり少しずつ老後モードを穏やかに迎えつつあります。

(まとめ)
どの事例にも共通している問題点:
①コロナの影響を受けて経営状態が悪化、ダメージのリカバリーが出来ていない
②ゼロゼロ融資の借入額が大きく、元金支払いが不可能
③物価高、人件費高と人材不足などが重なり売上と利益が共に減少している
④それぞれの産業全体が停滞し将来的には大手企業しか生き残れない構造
⑤数年前からうすうす倒産が避けられないことを予知していた

紹介した事例では比較的、早目の相談が功を奏し従業員の給与や主要な取引先にあまり迷惑を掛けることなくXデーを迎えることが出来ました。Xデーの直前になるとほとんどの経営者は経験したことがない緊張を覚えるたが、事前に計画的に準備したおかげでXデー以後は特に何か騒動名になるようなこともなく、静かに倒産後の処理を粛々と進めることが出来たと聞きます。経験して分かることですが、Xデーを境に代理人の弁護士が債権者対応の矢面に立つので実際は想像していたのと違いほとんど何も起こらないので中には拍子抜けした経営者もいたりします。倒産の実態は経験しないと分からないことが多く、大きな理由して考えられるのは民事裁判や刑事裁判のように広聴の機会もなければ、判例が紹介されることがないからです。
紹介した事例の経営者は当初からわたしたちの助言を受入れ、前向きな姿勢で議論、終始協力的だったことが良いかたちで倒産処理を終えることが出来たと振り返ります。
まずはわたしたちのような経験者に聞く、それも早目に相談するという判断をすることが解決への第一歩です。

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内藤明亜
専門家

内藤明亜(経営コンサルタント)

内藤明亜事務所

30年間で1000人以上の経営者の経営危機の相談に対応した実績。自らの倒産経験を活かし、経営者の苦悩や困難に寄り添い、倒産後の人生まで見据えた対応が可能。倒産処理に精通した弁護士の知り合いも多い。

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