倒産前でM&Aを検討する際の留意点【才藤 投稿】
会社の経営状態が悪化してくると社会保険や税金の未納や滞納は珍しいことではありません。
むしろ多いケースといえるでしょう。
今回は社会保険の未納について少し触れてみたいと思います。
経営者Aさんと専門家Bさんの会話をご覧ください。
Aさん(経営者): こんにちは、Bさん。私の知人の会社が倒産してしまったんですが、倒産した場合、社会保険料の未納についてどうなるんでしょうか?
Bさん(専門家): こんにちは、Aさん。倒産による社会保険料の未納について説明しますね。まず、雇用保険についてですが、半年以上加入手続きがされていて、天引きされていれば、事業主が納付していなくても影響はありません。失業保険などは直ちに支給されることになります。
Aさん: なるほど。でも、所轄機関に説明しなければならないこともあるんですか?
Bさん: はい、そうですね。所轄機関の公共職業安定所(ハローワーク)に説明しなければならない可能性もあるので、控除されている給与明細を保管しておくことが必要です。
Aさん: それでは、厚生年金はどうなるんでしょう?
Bさん: 厚生年金も同様で、加入期間に未納期間は発生しないようです。ただし、年金の支給までには時間がかかるため、控除されている給与明細を保管しておく必要があります。
Aさん: なるほど。では健康保険はどうなんでしょう?
Bさん: 健康保険も同様のようです。要するに、加入手続きがされていて、控除されていれば、事業主が納入していなくても納入されているとみなされます。ただし、納付のエビデンス(給与明細など)は保管しておかなければなりません。
Aさん: なるほど、覚えておきます。ありがとうございました。
Bさん: どういたしまして。もしの会社が倒産した場合、今までは会社が社員の代わりになって手続きをしてくれていたのですが、その会社がなくなるわけです。そうなると倒産後の手続きはそれぞれ自分で行わないといけなくなる点にも留意してくださいね。
会社というユニットがなくなるのでそこで働いている従業員は社員という肩書から一個人となるため、厚生年金→国民年金へ、協会けんぽ(中小零細企業向け)などに加入している健康保険→国民健康保険への切り替えが必要となる点にも留意が必要です。