倒産とは?倒産処理の選択肢とメリット・デメリットについて紹介【才藤 投稿】
はじめに
まず、冒頭で申し上げておきます。この話題は常に関心が高いという当事務所としては不本意なデータがあります。そこで、今回は正しく理解と認識をしてもらうことで放置逃亡という選択は絶対にしてはいけないということを伝えることを趣旨としています。
くどいようですが、絶対にお勧めしません!
本稿では、放置逃亡の意味やその背後にある理由、そして時効との関係について探ってみましょう。
〇放置逃亡とは?
〇なぜ放置逃亡を考えるのか?
〇時効と債権者からの請求の関係について
〇経済的再生と再起について
〇放置逃亡とは?
放置逃亡とは、企業や個人が経済的に破綻し、債務を返済できない状態に陥り、つまり倒産状態になった際、文字通り債務を放置したまま逃げ出すことを指します。個人や企業が経済的に困難な状況に直面し、債務を返済できない場合、放置逃亡を選択することがあります。しかし、この選択肢には重大なリスクが伴います。
そのリスクは下記のようなことが想定されますので説明していきます。
1.倒産処理の義務はないが影響を受ける: 法的には経営者は倒産処理をしなればならないという義務はありません。しかし、債務を残すということは、“約束が守れない”という事実が残ることになり、そして放置した債務から影響を受けます。債権者からの取り立てを無視することは難しいのが現実です。
2.住民票の移動制限: 放置逃亡して、住民票を移しても債権者は新住所を知ることが出来るため、そもそも住民票の移動は出来なくなります。これにより、就職や入学、転校、健康保険への加入、行政サービスの受け取り、免許証の更新などに影響が出ます。詳しく例を挙げると、
・新住所での身分証明書がなくなる:
住民票を移動させないと、新しい住所での身分証明書(運転免許証など)が取得できなくなります。
・新住所での選挙権が行使できない:
住民票を移動させないと、新しい住所での選挙の投票ができなくなります。
・勤務先に迷惑をかける:
住民票の移動を怠ると、勤務先に対して正確な住所を提供できなくなります。
・公的な通知が来なくなる:
新住所での公的な通知(税金、選挙、福祉サービスなど)が前の住所に送られる可能性があります。
・新しい自治体で一部のサービスを受けられない:
住民票を移動させないと、新しい自治体で一部のサービス(国民健康保険、年金、児童手当など)を受けられなくなります。生活保護受給にも影響ができることにも留意が必要です。
・通学しているお子さんがいる場合は転校手続きの際にも市町村が変わると必要になります。仮に他の家族だけ異動したとしても債権者には分かることで、本人は債権者からの請求を逃れるために他の住所に家族と離れて身を潜めて暮らすなど、つらい環境に追い込まれることが想像できます。
3.心理的ストレスと生活の崩壊: 放置逃亡は心理的ストレスを引き起こし、家族や友人との関係、仕事上の人間関係を崩壊させる可能性があります。
〇なぜ放置逃亡を考えるのか?
放置逃亡を考える人々は、さまざまな理由から逃げ出すことを選択します。以下に、放置逃亡を考える前に考慮すべきポイントをいくつか示します。
1.経済的困難: 倒産や経済的危機に直面している場合、債務を返済することが難しいと感じることで債務と向き合うことから逃げてしまい、思考停止状態となり冷静な経営判断ができなくなり、誤った方向に進んでしまうでしょう。私共のような第3者から見ると実はまだやりようがある場合が多いです。相談に来られる依頼人の多くは資金繰りに追われどうしたらいいのか分からない状態で相談に来ます。実際の経営危機の現場で見えてくることとして、どうやら経済的困難とは主観的視点と客観的視点では違う見え方、捉え方に相当な乖離があるのではないかと感じます。
つまり、逃げ出すほど経済的困難に陥っていないが当事者は陥っていると感じているということです。現状を冷静に把握して自覚しないか限りは前には進みません。
2.精神的負担: 債務を抱えていることは精神的にも負担となります。放置逃亡は、この負担から逃れる方法として選ばれることがあります。しかし、一時的には負担が軽減されるだけで時間の経過と共に避けてきた現実が追いかけて来ます。例えとしてはどうかと思いますが、麻薬と同じような作用ではないかと見ています。
時効と債権者からの請求の関係について
放置逃亡を選択する場合、時効までの期間に債権者から請求を受ける可能性があります。一般的な時効期間は次の通りです。
•債権債務 (金銭の貸し借りなど): 5年
•判決を取った場合: 10年
時効が訪れると、債務の返済義務はなくなります。しかし、逃亡せずに債権者と折り合いをつけることで、経済的実害を回避できます。
〇経済的再生と再起
放置逃亡を選択する代わりに、債権者と折り合いをつけることで再生の道を模索することもあります。しかし、この道はまさに先の見えない“いばらの道”ではないでしょうか。事業家として再起再生を目指す場合、現実と向き合い、決断して破産処理を行い、債務のない状態で再スタートすることも経営者としての使命だと認識するべきでしょう。
以上、放置逃亡は絶対にお勧めできない選択肢であり、債務問題に直面した際には自分たちで判断するのではなくまずは相談されることをおすすめします。
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