小規模零細事業の経営理論:持続と適切な規模について【才藤投稿】
倒産のリスクを適切に評価するためには、経営状態の自己判断ができることが重要です。そもそも多くの経営者は、自社の財務状態や資金繰り状態を正確に把握していないことが大半です。現実と向き合うのは辛いことではありますが、倒産のリスクを知るためには、まず会社がどういう状態にあるかを知ることが最優先となります。
以下は、経営状態の自己診断において重要な3つのポイントになります。
A.債務超過かどうか
B.当面の資金状態
C.事業の将来性
それぞれのポイントについて解説していきます。
A:債務超過(Debt Overhang)かどうか
債務超過は、会社の負債が資産を上回っている状態を指します。具体的には、決算書(試算表)の「資産の部」が「負債の部」を下回っているかどうかを確認します。実際、相談に来られるほとんどの方が「負債の部」が大きくなってしまっているのですが、その差が大きければ危険ということが注目するべきポイントです。
さらに、負債の中で借入比率が高い場合も注意が必要です。長期借入や短期借入が多いと、利息負担も増加します。経営者はこれらの指標を適切にモニタリングし、債務超過を回避するための戦略を検討するべきです。
債務超過は会社運営の持続可能性に影響を及ぼす重要な要因であり、適切な対策を講じることが経営者に求められます。
B. 当面の資金状態
言い換えると、資金不足(Liquidity Shortfall)について正確に把握する必要があります。
資金不足とは、企業が支払いに必要な資金を十分に確保できない状態を指します。当目安として、三か月先の支払資金に不安がある場合、危険度が高まります。さらに、二か月先ではさらに危険で、一か月先では破綻を覚悟しなければなりません。
資金調達に不安がある場合、調達先が金融機関であればまだしも、経営者の財産を担保にすることは避けるべきです。適切な資金調達戦略を検討し、近い将来の支払いに備えることが重要です。
C.事業の将来性
事業の将来性は、言わば将来不安とも言えるでしょう。
将来不安は、会社または事業が持続可能かどうかについて影響を及ぼす重要な要因です。以下のポイントをおさえましょう。
・業界の将来性の評価:
例えば、同業者との情報交換などを通じて、業界として将来性に不安があるかどうかを客観的に確認します。業界のトレンドや市場の変化を把握することが重要です。
・自社の実績の比較:
自社の売上げ利益が業界の下降推移よりも悪い場合、注意が必要です。業界全体が失速している状況で、自社がそれ以上に投資している場合は危険です。
・戦略的な判断:
将来不安を軽減するために、戦略的な判断を行う必要があります。新たな市場への進出や商品・サービスの改善など、将来性を高める施策を検討しましょう。
経営者はこれらの要因を継続的にモニタリングし、適切な対策を講じることで、将来不安を最小限に抑えることが求められます。
〇総括
ここでは基準値を数値化するなどの厳密な判断基準を示すのではなく、抽象的な表現ではありますが気をつけるべきポイントをわかりやすく解説しました。しかし、これらポイントについて現状を把握してどうなのか判断をするためには決算書、B/S、P/Lなどを見ることなしでは出来ない事です。経営状態が悪くなると決算書を見るのも現実と向き合うのも嫌になるものです。 私も経験上そういう時期がありましたので理解は出来ます。しかし、問題を先送りにしても何も改善も解決もしません。この機会に是非、会社の健康診断という位置づけで自己診断をしてみて下さい。1つでも当てはまるようであれば状況が悪化する前に早目の処置をすることが肝心です。
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