相続対策の基本(5) 相続財産としての不動産の評価(1)
弊社は「不動産に強いFP事務所」としてお客様からご相談をお受けしています。
ご相談の中で多いのは
・ 住宅取得を検討するための資金計画
・ 相続に係るご相談
・ 家計改善のご相談
などです。
今回は「お子様がいない方」へのアドバイスです。
お子様がいない方の相続
相続の相談、というとある程度お年を召された方や、その子にあたる方からの相談が多いです。
先日も、お子様がいないおばさまが急に亡くなり、何から手を付けてよいかわからない、という方から相談がありました。
遺言書があればもっとシンプルだったのに…というケースです。
相続は必ずすべての人に発生します。
そして、相続が発生した時には亡くなられた方の財産(負債がある場合も)を残された人に引き継ぐことになります。
民法上「法定相続分」が定められており、遺言書がない場合には原則としてこれに従うことになります。
もちろん、全ての相続人で協議した結果、法定相続割合とは異なる配分にすることも可能です。
配偶者はいつでも相続人
配偶者がいる場合、配偶者はいつでも相続人になります。
配偶者とお子様がいる場合、被相続人(亡くなられた人)の財産は配偶者と子で半分ずつになります。
お子様が2人いる場合にはお子様分を2人で分ける(一人1/4ずつ)ことになります。
お子様がいない場合
ではお子様がいない場合にはどうなるでしょう。
子供がいない場合には自分の親が相続人になります。
配偶者と親がいる場合、配偶者に2/3、被相続人の親に1/3というのが法定相続分です。
自分が死んだときには、自分の嫁さんと自分の親とで自分の資産をどう分けるか話し合わなければいけなくなります。
仮に自分の両親と自分の配偶者の仲が悪かったとしたら、、、もめそうです。
ご両親もすでに他界されている場合
さらに、お子様がおらず、既にご両親が他界されている場合はどうでしょう。
ご兄弟がいれば相続人になります。
配偶者3/4、兄弟1/4(複数いる場合にはこの分を人数で分ける)となります。
自分の配偶者と兄弟姉妹の仲が悪いというケースは珍しくありません。
その場合にはもめることは必至です。
しかも相続財産がほとんど自宅の不動産だった場合、分割が難しいのも悩ましいところです。
兄弟には「遺留分」はない
一方、兄弟には「遺留分」がありません。
遺留分というのはあまりに偏った配分になっている場合に少なくとも遺留分は確保できる制度です。
よく事例でお父様が「財産をすべて愛人に遺贈する」と遺言されるケースなどがあります。
あり得ないとは言い切れませんがレアケースでしょう。
ところが、お子様がいない場合で兄弟がいる場合にはこの「遺留分」の使い方がポイントになります。
兄弟間での無用ないさかいを避けるためには遺言書が有効です。
兄弟には遺留分は無いからです。
お子様がおらず、ご両親すでに他界されている場合、遺言書に「財産はすべて妻に相続させる」と書いておく。
そうすれば、ご兄弟と配偶者の間での遺産分割協議を行う必要はなく、配偶者に引き継ぐことが可能になります。
まとめ
「立つ鳥跡を濁さず」と言います。
「相続対策」は以前にもお伝えしている通り「相続税対策」とは違います。
円満に次の世代へ資産を引き継ぐことが「相続対策」の最も重要なポイントです。
相続はいつか必ず発生します。
すぐに必要ではないと思っていても「その時」はいつ来るかわかりません。
遺言書は何度でも書き換えが可能です。
最も新しいものが有効となります。
特にお子様がいない方には「立つ鳥跡を濁さず」を実践するためにも「遺言書」を書いておくことをお勧めします。