【誰のために料理する?何のために料理する?】ある日の料理教室から

その日はスポンジをオレンジのシマシマ模様に焼いて、マンゴーの果肉をクリームと一緒に巻き込むロールケーキのレッスンでした。
レッスンが終わった後、山内さん(仮名・60代)は私のところに来ておっしゃいます。
「先生、私忘れられないお菓子があって、昔、務めてた会社の近くにブルックボンドティールームっていう喫茶店があってね、そこのマローネっていうケーキがホントに美味しくて大好きで、何度も通って食べてたの。
今はまだお菓子づくり下手だけど、上手になったらそのマローネを再現して孫(男の子)に食べさせてあげるのが夢なんです。」
詳しく聞くとそのマローネは、栗がゴロゴロ入ったクリームが巻かれていて、上にはモンブランクリームがかかっているロールケーキのようです。
「先生、そのクリームが本当に美味しくて特別なのだと思うんです。クリームの味ってメーカーさんが違うと違うものなのかしら?あの美味しさはどこのメーカーさんだったのかしら??」
私もつい微笑んでしまうほどの熱心さで質問されるので「今日のレッスンを応用すれば自分で作るのも不可能ではないですし、材料の選定も大事なので食べ比べとかされると良いですよ」と説明すると納得の表情。
他のお菓子のレッスンにも熱心に通われてみるみる上達されました。
こんな風に、だれにでも心に残る料理やお菓子があってずっと忘れられず、今はもうそのお店はなくなっているけれど、いつか自分で再現してみたいと思っているメニュー、あるのではないでしょうか?。(私にもあります!)
山内さんはその後レッスンに来られなくなって、ご自分のマローネをお孫さんに作られたかは定かではないのですが、
きっと何度も作って食べさせお孫さんの記憶に残り、そのお孫さんがオトナになったときに
「ばあちゃんがよく作ってくれたあの栗のケーキ、あれ美味しかったよね」と繰り返し話題に上がるような、
美味しい記憶のループが繋がっていたら良いな…そしてそのお手伝いをするのが私の仕事なんだと思い、今日もレッスンしています。
あなたにもそんなメニューがありますか?。



