「専門家」にはならずに…。
皆さん、こんにちは。
小池精米店・三代目、五ツ星お米マイスターの小池理雄(ただお)です。
少し前になりますが、昨年の12月に読売新聞オンラインに私が寄稿したコラムが掲載されました。
勝つコメ、負けるコメ…「ご当地米」戦国時代
内容の詳細につきましては上記URLに譲るとして、この記事を執筆して再確認できたのは、
「自分の想像以上に、お米ブームが押し寄せてきている」
ということです。
お米は私たちの命をつなぐ大切な食糧。
それは今でも変わりません。
ところが今では溢れるほどの食糧があり、特にお米に頼らずとも私たちは生きていけます。
そうなると、単に「美味しいお米」だけでは消費者の皆さんは手を延ばさないのです。
ではどのような付加価値をつけるのか…。
お米ブームに見える諸々の動きは、実は販売側が試行錯誤している「付加価値の見せ方」の諸々の動きに通じるのでは?と思えます。
私は、以前は「生産者や産地の情報」を羅列しておけばいい。
そのように思っていました。
しかし、単に生産者の顔写真を載せるだけでは、単にその地域の紹介をしただけでは、実は差別化にはなっていないのです。
そう、誰もが考えることなのです。
もっと根本を申し上げると
「お米は美味しいのは当たり前」
になっているのです。
そう、もはや味だけでは差別化できません。
私は、生産者や産地情報以外に次のような情報も必要だと思っています。
・農薬の使用状況
・栽培における一工夫
・ジャケット
・コンセプト…人や社会、環境や地球に優しく 配慮しているか
・小分け
・品種の物語
・どのような味なのか
・どのような料理に合うのか
・玄米、分つき米
・感情移入
もちろん、いっぺんに出すのではなく多少の強弱は必要ですが、このようになるべく多くの切り口を掲げ、いかにお客様の
「心のフック」
に引っかかるかというのが大事なのです。
こういった話はお米に限った話ではないと思いますが、前述しましたようにお米は命をつなぐ食糧であるため、もともとそういった売り方が
不要
な商材でした。
そのため、こういった話が新鮮に映るのです。
先日、ある記者会見に同席しました。
ある会社さんが、非常に高値のお米を販売する…と言う話でした。
何でも、キロ11,000円するとか…。
ここまでくるともはや食糧ではないので、私個人としては好きにはなれませんが、しかしここまでの付加価値がお米に求められている…逆を言えば
「そこまでしなければお米が売れない時代になっている」
…という証左にほかなりません。
コラムにも書きましたが、お米は実は古くて新しい商材です。
これから色々な売り方を考えなくてはいけません。
そういった意味では、非常に面白い業界だとも言えます。
お米の動きに、是非とも注目してみて下さい。