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植毛方法 FUEについて

林光輝

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テーマ:自毛植毛

 FUE(Follicular Unit Extraction)は、自毛植毛手術の一つであり、後頭部の毛包を、機械を使って一つずつくり抜いて株を作製し、移植する方法です。
 眉毛、ヒゲや傷痕、頭部の比較的狭い範囲への移植など、どちらかと言えば少量のドナー株の植毛に向いています。また、頭皮が硬くて可動性が少ない方や、以前のFUT縫合痕を修正したい場合にもFUEが適しています。
 以下にFUEのメリット・デメリットや手術の流れを説明いたします。なお個々のプロセスや詳細などは医療機関によって異なる場合がありますので、カウンセリングなどの際に確認をしておく必要があります。

FUEのメリット

■傷跡が目立ちにくい

 FUEでは、後頭部から毛包を一つずつくり抜いてドナー株を作成します。くり抜いた部分は毛根が無くなるため、傷跡は1mm前後のサイズの白い斑点のようになります。ただしよほど髪の毛を短くしない限りはこの斑点は外からは見えません。
 ドナーエリアに線状の傷跡が残るFUTに比べると、ひとつひとつの傷痕が小さく、目立ち難いというメリットがあります。FUTに比べて、後頭部の髪の毛をより短くすることが出来ます(くり抜いた株数によりますが、髪の長さを1cmくらいまで短くしても傷痕が目立たないことが多いです)。

■頭皮が硬く可動性が少ない方でも可能

 FUTでは、ドナーエリアから頭皮を切除して縫合する必要があるため、頭皮が硬い方だとあまり株が採取できないことがあります。一方FUEでは個々の毛包を取得するため、縫合の必要がなく、ドナーエリアの採取範囲を散らす事によって頭皮が硬い方でも株を採取することが可能な場合があります。

■手術後の回復期間が比較的短い

 FUE手術では、1つ1つの傷口が小さいため、手術後の回復期間が比較的短いことが多いです。通常、数日から数週間で通常の日常活動に戻ることができます。

FUE手術のデメリット

■バリカン幅が広い

 一般的にFUEでドナー採取する範囲は髪をバリカンで短く刈る必要があります。FUEでは採取した部分の髪の密度が下がるため、広い範囲から少しずつ株を採取する必要がありますが、その分バリカンを入れる面積が広くなります。
 なお、クリニックによっては髪にバリカンを入れずにFUEを行うところもありますが、費用がその分高くなる傾向にあるようなので、確認しておきましょう。

■手術時間が長い

 FUEでは、株数によっては手術時間がFUTよりも長くなることがあります。また大規模な植毛の場合、複数回に分けて行う手術が必要となることもあります。

■くり抜きすぎてしまうと後頭部の髪の密度が下がる

 くり抜いた部分は髪の密度が下がります。そのためあまり多くの株数を採取してしまうと、後頭部のドナーエリアの髪の密度が不自然に低くなってしまい、頭皮が透けて見えてしまう可能性があります。

■生涯で採取可能な株数が少ない

 FUEでは上述の通り、ドナー採取した範囲は髪の密度が下がってしまうため、見た目の違和感が出ることなく採取できるのはドナーエリアにある毛根の10-25%程度と言われています。良質なドナー株が採取出来る範囲は意外と狭いため、生涯で採取可能な株数は2-3000株程度と、FUTと比べると少なくなります。

■費用はFUTより高額

 一般的にFUEの費用は、FUTに比べると高額になる傾向があります。
(自毛植毛は自由診療であるためクリニック毎に手術費用は異なります。詳細は各クリニックにご確認ください)

FUE

FUE手術の手順

FUE手術の手順は以下の通りです。

【1】ドナーエリアの準備

 FUEでは、後頭部のドナーエリアを局部麻酔し、個々の毛包を取得しやすくするために、採取エリアをバリカンで刈ります。(刈らない方法も選択肢として採用しているクリニックもあります)

【2】ドナー株の採取

 特別なFUE手術用器具を使用して、ドナーエリアから個々の毛包を取り出します。この器具は、微細なパンチ(直径0.6〜1.0mm程度の鋭利な筒状の刃物)を使用し、毛包を傷つけずに取得します。パンチの直径が小さいほど傷痕は小さくなりますが、毛包を傷つけてしまう確率は上がってしまい、ドナー株の有効取得率は下がる傾向にあります。

【3】植毛場所の準備

 植毛する部分を消毒、局所麻酔し、小さな切開孔(ラインスリット)を作ります。ラインスリットの位置や角度、深度は、自然な髪の成長を再現するために慎重に行われます。

【4】株の移植

 切り分けた株を医師の指示に従い植毛場所のラインスリットへ移植していきます。どの場所にどのような株をどうやって入れ込んでいくのか、担当者の経験や技量が問われます。一般的には主に看護師が担当する事が多いプロセスです。

【5】最終チェックと術後説明

 手術後、ドナーエリアと植毛部を優しく洗浄して傷口をきれいに保ち、最終チェックをおこないます。移植部及び移植毛の状態を医師がチェックし、ドナー採取部に包帯を巻いて手術は終了です。最後に医師と看護師から副作用や痛みを緩和する薬の飲み方の説明、移植したドナー株にダメージを与えないための生活面での注意点、洗髪方法などをご案内して終了となります。日帰り手術で入院の必要はありません。

以上がFUE(Follicular Unit Extraction)のメリット・デメリットや手順となります。

■まとめ

FUEは一般的に、比較的少量の株を必要とする場合や、狭い範囲の改善に適した手術方法です。なお、一つ一つの傷痕は小さく目立ち難いが、全く傷痕がないわけではなく、くり抜いた数の傷は残るという特徴を知っておいていただく必要がございます。
また、自毛植毛はチーム医療であり、効果的なFUEを実現する為には、経験のある医師だけではなく、実績のある看護師も必要となります。
前回のコラムでも書きましたが、FUEとFUT、どちらが優れた術式であるかは一概には言えません。それぞれメリット・デメリットがありますので、患者様自身のニーズに合わせて術式選択していく必要があります。
繰り返しになりますが、カウンセリング時によく相談して、自身に最も適した術式を選ぶことが肝要と思います。可能であれば、複数の医療機関にて相談をして、それぞれの植毛方法のメリット・デメリット・注意点などを説明してもらい、自身の希望や予算、現在の髪の状態を考慮しながら、自身の状況に最も適した植毛手術の方法を決定していくことが重要となります。

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林光輝
専門家

林光輝(医師)

紀尾井町クリニック

医師として精神科の診療経験を持ち、25年以上にわたり自毛植毛の先駆的存在として薄毛対策に携わる。心理的なケアに配慮しつつ、熟達したチーム医療による植毛技術で違和感ない自然な仕上がりを目指す。

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