もっと子育てが楽しくなる!ペアレントトレーニングとは?

金谷さおり

金谷さおり

テーマ:社会福祉士による発達相談


弊社が運営している事業所では、お子さまの発達特性に適したかかわり方を学ぶためのペアレントトレーニング(全6回)を毎年開催しています。

ペアレントトレーニングとは、1960年代にアメリカを中心に研究が始まりました。行動理論を背景にプログラムが構成されていて、グループワークを通してお子さまとのかかわり方について学び、それをご家庭で実践していくものです。ADHDの心理社会的治療としては最もエビデンスレベルが高く、日本でも厚生労働省から地域への普及が進められています。

私の住む地域にもペアレントトレーニングを実施している公的な支援機関が2ヶ所ほどありますが、平日の開催なのでお仕事を持たれている保護者さまが集まりづらいですとか、せっかく応募をしても希望者が多くて受講できないことがあるなど、ご家庭のニーズに合わせて学んでいただける環境が整っているとは言えません。そのため、弊社の事業所を利用しているご家庭にはなるべく参加の機会を提供できたらと思い、定期的に開催するようになりました。

日本版プログラムは、国立精神・神経医療研究センターのチームが日本の家族文化に合わせて改良したもの(精研式)にはじまり、現在はアレンジも含めていろいろなペアレントトレーニングのプログラムがあります。内容もADHDなどを抱えるお子さまの保護者向けに関係性の改善を重視したもの(精研式や奈良方式)や、知的障害や自閉スペクトラム症の抱える保護者向けに適応行動の獲得を重視したもの(肥前方式、鳥取大学式)など、それぞれ特徴があります。

そのため弊社では、さまざまな方式のペアレントトレーニングについて研究を重ねたうえで、厚生労働省が推進する「基本プラットフォーム」に基づいた内容を基盤としながらも、「この説明を加えると発達特性の理解が深まりそう」「よく保護者さまからいただく相談内容の事例があったら良さそう」といった、日頃私が相談援助のなかで感じている保護者さまの不安や疑問に対応する講義を加えた、ちょっとお得なペアレントトレーニングプログラムを提供しています。

プログラムは全6回(1回90分程度)で、3~6人ほどでグループワークを進めていきます(※グループ講義の予定が合わない方の場合は個別でも対応しています)。
「実践」を重視しているため次の講義までの期間は2週間ほど空けることが推奨されており、だいたい3ヶ月ほどで修了となる内容です。

≪ペアレントトレーニングのプログラム内容≫

第1回 子どもの行動観察と3つのタイプ分け
第2回 子どもの行動の仕組みを理解しよう① 行動が増える/減る仕組み
第3回 子どもの行動の仕組みを理解しよう② 行動には理由がある
第4回 環境調整とスペシャルタイム
第5回 子どもが達成しやすい指示を出そう
第6回 待ってからほめよう(上手な注目のはずし方)


毎回感じることですが、家事や仕事で忙しい毎日をお過ごしであるにもかかわらず、お子さまとのかかわりを学ぼうと、全6回もある講義に参加してくださる保護者さまたちは本当に素晴らしいと思います。講義では毎回宿題も出ますし、次の講義までの2週間で学んだことを実践し発表もしていただかなければいけません。それでも一生懸命取り組んできてくださいます。中にはご両親で学びたいと、お父さまとお母さまが交互に参加してくださるご家庭もあります。
ですから、一つでも多くお役に立てることをお伝えし、自信をもって子育てをしていただきたいと、私も一緒になって一生懸命頑張っています。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

金谷さおり
専門家

金谷さおり(社会福祉士、精神保健福祉士)

株式会社Interview Care

幅広い福祉のスキルと豊富な経験を基に、子どもの特性に適した発達支援を提供します。発達相談・発達検査を通して接し方や学習法をアドバイスし、子どもが自立して生きられる未来へとつなげていきます。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

子どもの発達特性に適した接し方や学習法を提案する専門家

金谷さおりプロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼