美容ジムという新たなジャンルを確立。 3%ではなく、97%の市場を切り拓く「ヒトリウエルネスの内装デザイン」vol.02

小林賢太

小林賢太

テーマ:店舗事例

ジワジワと認知を高め、着実に店舗を伸ばしている新しいジャンルのジムをご存じでしょうか?

ジムと言えどマシーンは最小限。女性がヒトリになり、「頑張らなくても続けられる」をコンセプトに女性専用の美容もできるジムがあります。その名も「ヒトリウェルネス」。バチェラー4代目の黄皓さんが代表を務めるミラーフィット株式会社が手がける事業になります。

今回は、ヒトリウエルネスの1店舗目にあたる八王子店の内装へのこだわりをお届けしたいと思います。初めての業態、初めての出店。Vol.01に引き続き、コンペで勝ち進んだ私達のご提案の一部をご紹介したいと思います。


ミラーフィットブースの入口には誤入室防止のランプを設置

個室でヨガに集中している時、扉をノックされたり、扉を開けようとされたりしたりしたらどうでしょうか?日常から離れて「ヒトリになる」為の時間なのに残念な気持ちになると思います。

その残念な気持ちを解決する為に、ミラーフィットブースへの入口扉には誤入室防止のランプが配置されています。このランプは会員様が入室すると点灯するようになっていて、予約したミラーフィットブースに間違えて入室してしまう事を防いでいます。

そして、そのランプにもこだわりが。レセップライトと言う裸電球を設置するためのソケットに大きめの電球を取り付ける事で、円形状に並ぶブース扉の上に裸電球が並ぶようになっています(この裸電球、結構評判が良いです)。この事で、ヒトリの時間を邪魔しない為の誤入室防止という照明の機能と、ただ設置するだけではなくそれがブランドらしさにつながる事を両立しています。


デバイスの欠点を解消する大きな鏡


当初より、体の変化を確認できたり運動のポーズが合っているかの確認の為に、大きな鏡を設置する事をご提案していましたが、ミラーフィットブースに入るとそこには大きな鏡と共に、壁に設置された鏡に埋め込まれたミラーフィットデバイスが現れます。デバイスだけだと運動中に鏡から体が見切れたり、やはりジムなので鏡で全身を確認できると言うのは必要という事で、この案は採用される事となります。

当初は鏡を壁に貼り、その前にデバイスを置くというシンプルなものでしたが、計画が進むにつれてその鏡をカスタマイズしてデバイスと一体化させる事で、デバイスのインターフェイスが拡張され、ヒトリウエルネスに入会しなければ体験する事のできない特別感を感じてもらう事はできないか?という考えに至りました。この鏡は展開が進むにつれてバージョンアップを重ねる事となりますが、どこも真似できない特徴を作り出す事に成功しています。



女性の顔がキレイに見える照明計画


フィットネスやリラクゼーション、エステなど、個室を作る業態は、個室の中の照明計画に気を使います。リラクゼーションやエステは、上を向いた時に眩しく無いように頭の上には照明を設置しなかったり、施術を受けている時に明るすぎないように調光スイッチや照明の配置計画を検討したりします。ミラーフィットブースも同様に、美容ジムならではの照明計画は何か?と言う事を検討しています。前例がない業態なので、試行錯誤を繰り返しましたが、ここでも特別感を演出できる事を狙っています。

ブースでは鏡に向かいながら運動をする為、自分の顔が必ず写ります。この時に女性の顔が綺麗に見え、テンションが上がる光はどんなものかを検討する事となりました。男性は、上からの光で筋肉の陰影がハッキリと出る事でテンションが上がると言われますが、良く、広告やSNSでも見る光景ですね。では、女性はどんな光が良いのでしょうか?

照明メーカーと共に研究をした結果、前からの光で均質に顔を照らす事で綺麗に鏡に映る事がわかりました。分かりやすいところではハリウッドミラーとかがそうですね。同時に、光の色も白系の色よりも暖色系の色の方が、鏡に肌の色を綺麗に写せる事がわかりました。

ミラーフィットブースでは、大きな鏡を壁から浮かし、その隙間に間接照明を設置する事で、肌を綺麗に見せるという機能的な解決をしています。同時に、この方法は間接照明という柔らかい光を生み出し、癒しの効果も発揮します。気分を高めたい時は強めの光を、ヨガなどで落ち着きたい時は弱めの光を、と言った感じで調光スイッチによって光の強弱を選択して頂き、その時の気分で会員様に自由にカスタマイズしてもらう事が可能です。新しい業態だからこそ、ヒトリウエルネス特有の照明計画に辿り着く事ができています。



最後に


機能を充実させたり内装を充実させたり、その両輪を考えながらどうやって展開するかは業種・業態などで違うでしょう。内装デザインはコストに直結しますが、手を抜くと差別化要因が乏しくなり、永続的な運営が難しくなる事もあります。機能を求めるかデザインを求めるか、その両方か?何が正解という事は業態によっても違うと思いますが、デザインによってアイコン化し、強いブランドを作るという方法もあります。伸びる事業には理由があります。その理由は一つでは無いですが、コンテンツの充実と共に、事業を丁寧に解釈してデザインを組み立てる事で、内装も含めてブランド化されて行くのです。

今回は、美容ジムという新しい業態の内装デザインについてご紹介しました。これからも計画のあるヒトリウエルネスは、更にバージョンアップして皆様にサービスを提供し続ける事でしょう。デザインがその一助になれば幸いです。


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Mybestpro Members

小林賢太
専門家

小林賢太(店舗内装デザイン、ブランディング)

株式会社小林商店

店舗内装デザイン及びブランディングを手掛け、ブランドイメージの構築を支援。「多店舗展開をする為の強いブランドを作りたい」「数店舗目は自力で出したがこれ以上の展開は任せたい」といった相談に対応します。

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