売却を任せているのになぜ売れない?不動産会社による「囲い込み」の実態と確認方法

橋口裕貴

橋口裕貴

マンションや戸建ての売却を不動産会社に任せたものの、



「なかなか内見が入らない」
「数か月経っても売れない」
「結局、値下げの提案ばかりされる」



そんな経験をされている方もいらっしゃると思います。



もちろん、売れない理由の多くは

「価格」「物件の条件」「市況」などによるものです。



ただ、

不動産仲介の実務をしていると、

それ以外に確認しておきたいのが

「囲い込み」です。



最近ではルールも厳しくなり、

以前より対策は進んでいます。



それでも、売主様からは見えにくい形で、

実質的に他社から購入希望者を紹介しにくくしているケースはあります。



今回は、

不動産会社がなぜ囲い込みをするのか、

実際にどのような方法があるのかを、

不動産仲介の実務目線から解説します。



そもそも「囲い込み」とは?



不動産会社が売主様から売却を任された場合、

自社だけで買主を探す必要はありません。



不動産会社間の物件情報ネットワークである

「REINS(レインズ)」などを通じて、

他の不動産会社にも物件情報を共有し、

広く購入希望者を探すことができます。



たとえば、

売主様 → 不動産会社A ← 不動産会社B ← 買主様



という形です。



この場合、

A不動産は売主様から、

B不動産は買主様から、

それぞれ仲介手数料を受け取ります。



一方、A不動産が自社で買主様も見つければ、



売主様 → 不動産会社A ← 買主様



となり、A不動産は売主様・買主様の双方から仲介手数料を受け取れる可能性があります。



いわゆる「両手仲介」です。



両手仲介そのものが悪いわけではありません。



問題なのは、両手仲介にするために、

他社から購入希望者を紹介されることを意図的に妨げることです。



これが一般に「囲い込み」と呼ばれる行為です。



囲い込み① そもそもREINSに掲載しない



最も分かりやすい方法です。



専任媒介・専属専任媒介では、

宅建業者にREINSへの登録義務があります。



それにもかかわらずREINSへ登録せず、

自社だけで購入希望者を探せば、

他の不動産会社から物件を紹介される機会は大きく減ってしまいます。



当然ながら、

専任媒介・専属専任媒介で法定の登録義務があるにもかかわらず登録しないことは認められていません。



ただ、現在はREINSへの登録状況を売主様側でも確認できる仕組みが整備されているため、

このような単純な方法は以前より行いにくくなっています。

そこで問題になるのが、次の方法です。



囲い込み② REINSには掲載する。でも他社に紹介させない



REINSにはきちんと掲載する。

一見すると何も問題がないように見えます。



ところが、他社から

「購入を検討しているお客様がいるので内見したい」

と問い合わせが入った際に、

「現在商談中です」

「すでに申込みが入っています」

「売主様の都合で今は内見できません」

「日程を確認して折り返します」

などと回答し、

他社からの内見を事実上受け付けない方法です。



もちろん、本当に商談中の場合もありますし、

実際に売主様の都合で内見できないこともあります。



これらの回答があったからといって、

それだけで囲い込みと判断することはできません。



問題なのは、本当は紹介できる状態なのに、

他社からの購入希望者だけを意図的に断っているケースです。



売主様からするとREINSには掲載されているため、

「ちゃんと他の不動産会社にも情報が公開されている」

ように見えます。



しかし実際には、せっかく購入を検討している方が現れても、

売主様の知らないところで内見までたどり着いていない可能性があります。



これが囲い込みの非常に分かりにくいところです。



囲い込み③ 「一般媒介」を利用してREINSに掲載しない



もう一つ、売主様には少し分かりにくいケースがあります。



不動産の媒介契約には、

大きく分けて 「専属専任媒介」 「専任媒介」 「一般媒介」 があります。



専任媒介・専属専任媒介にはREINSへの法定登録義務がありますが、

一般媒介には法定の登録義務がありません。



そのため、契約形態を一般媒介とすることで、

REINSに掲載しないというケースがあります。



一般媒介そのものには当然何の問題もありません。



複数の不動産会社へ売却を依頼したい売主様にとっては、

一般媒介が適しているケースもあります。



注意したいのは、

売主様としては「この1社だけに売却を任せている」という認識なのに、

契約書上は一般媒介になっているケースです。



売主様が媒介契約の違いを十分理解したうえで

一般媒介を選択しているのであれば問題ありません。



一方で、 「専任と一般でREINSへの登録義務が違う」

という重要な違いを十分理解しないまま、

実質的には1社だけに売却を任せているのであれば、

一度販売状況を確認してみてもよいと思います。



なぜ「囲い込み」が売主様にとって問題なのか



囲い込みの最大の問題は、

本来購入してくれたかもしれない人との接点を失う可能性があること です。



仮に5,000万円で購入したい方を他社が見つけていたとしても、

その方が内見すらできなければ売主様には分かりません。



そして売却が決まらない状態が続けば、

「この価格では売れません」

「もう少し価格を下げましょう」

という話になってしまう可能性もあります。



もちろん、値下げ自体が悪いわけではありません。

市場価格より高ければ価格調整は必要です。



ただし、

「本当に価格が原因で売れないのか」

「そもそも十分な販売機会が確保されているのか」

は、分けて考える必要があります。



「高すぎる査定価格」にも注意



囲い込みとは別の問題ですが、

売却が長期化している物件でよくあるのが、

最初の販売価格が高すぎるケースです。



売主様からすれば、

当然できるだけ高く売りたいものです。



そのため、

A社「5,000万円です」

B社「5,200万円です」

C社「5,800万円で売れます」

と言われれば、C社にお願いしたくなる気持ちはよく分かります。



しかし、 「高い査定価格を提示してくれた会社=高く売ってくれる会社」ではありません。



媒介契約を獲得するために高めの査定価格を提示し、

売却をスタートしてから徐々に値下げを提案する、

ということも考えられます。



大切なのは査定価格そのものではなく、

「なぜその価格なのか」 という根拠です。



周辺の成約事例、現在販売されている競合物件、築年数、階数、向き、室内状況などを踏まえて、

査定価格の根拠を説明してもらうことをおすすめします。



売却中の方が確認しておきたいこと



すでに不動産会社へ売却を依頼していて、

「思ったより問い合わせが少ない」

「内見がほとんど入らない」

「長期間売れていない」

という場合は、価格を下げる前に一度、

媒介契約が「専任」「専属専任」「一般」のどれになっているか

REINSに登録されているかREINS上の登録内容・取引状況はどうなっているか

他社から問い合わせや内見希望がどの程度入っているか

それらに対して仲介会社がどのように対応しているか

現在の販売価格に客観的な根拠があるかを確認してみるとよいと思います。



売れないからといって、

必ずしも囲い込みが行われているわけではありません。



単純に価格が相場より高いこともありますし、

物件の条件やタイミングによることもあります。



ただ、売主様にとって重要なのは、

「売れないから値下げする」前に、

「適切な販売活動が行われているのか」を確認することです。



他社で売却中でもご相談いただけます



当社では、他社の不動産会社へ売却を依頼されている方からのご相談も承っています。

「数か月売りに出しているけど決まらない」

「この販売価格は本当に適正なのか知りたい」

「きちんと販売活動をしてもらえているのか不安」

といったご相談でも構いません。



必ずしも当社へ売却を切り替えていただく必要はありません。



現在の販売価格や販売状況を確認したうえで、

不動産仲介の実務目線から率直にお伝えします。



売却活動に少しでも疑問を感じている方は、

お気軽にご相談ください。

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橋口裕貴
専門家

橋口裕貴(不動産専門ファイナンシャル・プランナー)

株式会社日本FP不動産

ファイナンシャル・プランニングの知見を生かし、住宅購入や相続時の売却において、人生設計を踏まえた提案を実施。セカンドオピニオンとしても客観的な数字を示しながら、納得のいく選択につながるよう支援します。

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