進化する画像認証AI:顔写真だけで個人情報が流出?危険と防衛策を考察
DX化の波は日本だけではなく、世界中の都市に押し寄せています。
市民サービスの向上、経済活性化、持続可能な社会の実現など、その目的は様々ですが、テクノロジーを駆使して都市のあり方そのものを変革しようという気概が共通しています。
今回は、海外に見るDX先進都市の事例をいくつかご紹介し、日本の未来都市への歩み方を考察してみることにしました。
シンガポール:センサーとデータで織りなすスマート国家
国家戦略としてスマートネイション構想を掲げるシンガポールは、官民一体となってDXを推進しています。
IMD(国際経営開発研究所)の調査では、2024年時点で、アジアのスマートシティランキング1位、世界ランキングでは5位に位置しています。
街中に張り巡らされたセンサーネットワークから収集した膨大なデータを活用し、交通渋滞の緩和、インフラの効率的な運用、感染症対策など、様々な分野で成果を上げています。
具体的な事例
公共交通のオンデマンド化
乗車人数予測に基づいたバスの運行調整や、リアルタイムなバスの到着情報提供などの取り組みはすでに実施されており、現在日本でも実証実験を行っている自動運転については、2022年には実証実験を済ませていることも評価すべき点かと思います。
スマートゴミ箱
センサー搭載のスマートゴミ箱は、2020年代に入り、住宅街や公共施設への設置が進んでおり、ゴミの量をリアルタイムで把握することで、収集作業の効率化やコスト削減、環境負荷低減を実現しています。
最近では自動でゴミの分別もできるような実証実験にも成功しているといいます。
バルセロナ:市民参加型スマートシティ
バルセロナは、市民の声を反映しながらDXを進めることに力を入れています。市民が主体的に都市問題の解決に参画できるプラットフォームを構築し、収集したデータやアイデアを基に、行政サービスの向上や政策決定に活かしています。
具体的な事例
Decidim Barcelona
市民がオンラインで意見交換したり、政策提言をしたりできるプラットフォームです。
2016年から運用開始されており、バルセロナ市民は、提案・議論・投票などオンライン上でまちづくりに関する市政のプロセスに参加することが可能になっています。
また、Decidimにおける施策検討の経過や結果は一般に公開されており、市民がいつでも確認できるようになっています。
センティーロ
バルセロナの街中にセンサーを張り巡らし、あらゆる情報を「センティーロ」と呼ばれる統合システムに集約しています。
前述のシンガポールのように、センサー付きゴミ箱が重量などを検出してセンティーロに送信、必要なゴミ箱にのみ収集車が向かうことで、必要最小限の収集回数で済み収集車の走行距離も減少、排気ガスとコストを削減することができているそうです。
噴水の流量すらも気温や湿度を考慮して制御するためにデータはセンティーロに送られており、節水にも一役買っています。
センティーロのデータは官民が自由に利用できるようになっており、よりクリエイティブなサービスの想像も狙っていることも見受けられます。
コペンハーゲン:グリーンなDXで持続可能な都市へ
コペンハーゲンは、環境問題への意識の高さを背景に、持続可能な社会の実現を目指したDXを推進しています。
再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化など、環境負荷の低減と経済成長を両立させる取り組みが特徴です。
コペンハーゲンは2025年までに「世界最初のカーボン・ニュートラル(CO2の収支をゼロにする)を達成する首都」になることを目指しています。
具体的な事例
スマートグリッド
コペンハーゲンの特徴として、街のいたるところに設置されたセンサーを活用した交通のスマート化があげられます。
車よりも自転車の台数の方が多いため、朝夕には自転車の通勤ラッシュが生じるそうです。
そこで、交差点に設置されたセンサーが、自転車が5台程度同時に来た場合は、自転車の信号機の色を青にしておくという仕組みが採用されており、渋滞の緩和に一役買っています。
未来都市への歩み方
これらの例から、次のような共通点を上げることができ、DX化は都市のあり方を根本的に変革する力を持っていると言えるでしょう。
明確なビジョンと戦略: 都市としての目指す姿を明確化し、戦略的にDXを推進する
官民連携: 行政、企業、市民がそれぞれの強みを活かし、連携して取り組む
データの利活用: 収集したデータを分析し、都市問題の解決やサービス向上に活かす
市民参加: 市民の声を反映し、参画を促すことで、より良い都市づくりを目指す
海外の事例を参考に、日本独自の未来都市像を描き、実現に向けて歩みを進めていくことが重要とう意見も多く聞かれます。
しかしながら、地方自治体でDX推進担当者の方からお話を伺うと、実際にはいくつもの壁が存在するとのこと。
実際にスマートシティ化がうまくいっている地域もあればそうでない地域もあり、二極化が進んでいるようにも思えてなりません。