メタバースとAIの未来について考察
近年、顔認証技術をはじめとする画像認証AIは飛躍的な進化を遂げており、弊社でも積極的に画像認証AIの実証実験にとりくんでいます。
スマートフォンでのロック解除や決済など、私たちの生活にも馴染みつつある一方、その進化は「Web上の画像から簡単に個人を特定できるようになるのでは」という新たな懸念を生み出しています。
今回は、進化する画像認証AIがもたらす危険性と、個人としてできる防衛策について考察してみました。
危険性1:プライバシーの侵害
これまで匿名性を保てていたWeb上の写真や動画から、個人が特定され、実名や住所、勤務先などの個人情報が紐づけられる危険性があります。SNSへの顔写真投稿はもちろんのこと、旅先で撮影された写真に偶然写り込んだ顔からも、個人が特定される可能性も否定できません。
実際に顔写真を複数枚準備するだけで、その人の写真が掲載されているWebページを全て検索できるというサービスもリリースされています。
このようなサービスを使った事例を考えてみましょう。
Instagramに自身の写真を複数枚投稿していているAさんがいたとします。
観光客等がfacebookに公開している写真にAさんが偶然写り込んでしまっていたとすると、
こういった映り込み写真を複数枚Web上から見つけることで、Aさんの行動範囲や住所は絞られてしまうでしょう。
さらに、Aさんと二人で写った同窓会の写真を友人がX(旧Twitter)に投稿していて、別の同級生は卒業学校の情報をfacebookで公開していたとすれば、Aさんの卒業学校は特定されてしまいます。
危険性2:なりすましや機密情報へのアクセス
顔写真から個人を特定するだけでなく、その人の行動や交友関係などの情報を収集し、なりすましや詐欺などに悪用される可能性も考えられるでしょう。
先程は住所や卒業学校の情報を例としていましたが、会社関連の情報も収集されてしまえば、なりすましの被害だけでなく、会社の重要な情報が流出してしまう可能性も高くなります。
企業規模に関わらず、最新のAIの動向を知り、対応策を講じておくことが機密情報の保護に繋がるのではないでしょうか。
危険性3:監視社会の到来
街中の監視カメラの映像や、SNSに投稿された写真・動画から、個人の行動が常に追跡されるような監視社会が到来する可能性も危惧されています。
これは、プライバシーの侵害だけでなく、個人の自由を著しく制限することに繋がるわけですが、監視カメラの情報に第三者がアクセスできないようにセキュリティが担保されているため、それほど心配することはないかと思います。
ただし、監視カメラを管理している会社のモラル(プライバシーポリシー)がしっかりと定められ運用されているという前提は重要です。
個人でできる防衛策
進化する画像認証AIの脅威から身を守るためには、個人レベルでの対策が最も重要だと考えています。
次のような対策をとることで、プライバシーを保護できる可能性が高まります。
SNSへの顔写真投稿は慎重に
公開範囲を限定したり、顔の一部を隠したりするなど、プライバシー保護を意識した投稿を心がける。
プライバシー設定の確認
各SNSやサービスのプライバシー設定を見直し、位置情報の共有や顔認識機能の利用などを制限する。
画像認証AIのリスクについて学ぶ
画像認証AIの仕組みやリスク、倫理的な問題点などを理解し、適切な知識を身につける。
技術の進歩と倫理観のバランス
画像認証AIは、セキュリティの向上や利便性の向上など、多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。
その一方で、プライバシー侵害や情報流出の可能性など、解決すべき課題も多く発生してくるでしょう。
技術の進歩と倫理観のバランスを保ちながら、安全で安心できる社会を構築していくことが重要ではないかと考えています。
ご自身の顔写真からどれだけの情報が流出しているか、気になる方がいらっしゃればご相談ください。