会社員のまま起業準備を始めたい人が陥る「情報収集の罠」とは? 起業支援25年のプロが明かす、リスクゼロで始める起業準備の新常識

新井一

新井一

テーマ:起業

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

――新井さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、「いつか起業したい」と思いながら、なかなか一歩を踏み出せない会社員の方が多いと聞きます。この状況について、どう思われますか?

新井:よろしくお願いします。そうですね、実は99%の人が年末になっても同じ状態なんですよ。厳しい言い方かもしれませんが、これが現実です。でも、焦る必要はまったくありません。ただ、思考と行動の方向を変えないと、永遠に同じ場所にいることになってしまいます。

――それは耳が痛いですね。でも、なぜそんなに多くの人が動けないのでしょうか?

新井:理由はいくつかありますが、会社を辞めるリスク、失敗への不安、何から手をつければいいのか分からない、そして時間がないという思い込み。でもね、本音を言えば「面倒くさい」「疲れた」「今度でいいか」という気持ちが根底にあるんです。そんな自分に苦しくなって、蓋をしてホッとする。この繰り返しなんですよ。

――確かに、そういう心理はありそうです。でも、それって本当に本人のせいなんでしょうか?

新井:いい質問ですね。実は違うんです。そもそも間違った情報を集めているから、動けなくなっているんです。

起業に興味を持った人が最初に犯すミスとは?

――間違った情報、ですか? 具体的にはどういうことでしょう?

新井:多くの人がやってしまうのが、余計な情報を集めすぎることなんです。断片的な情報を集めて、さらに混乱する。意味のない質問をして、高すぎるハードルを自分に課す。そして「もう少し勉強してから」と言い出すんです。

――ああ、よく聞く言葉ですね……。

新井:でもね、会社員という安定した立場を活かせば、リスクを抑えて1日15~30分の準備を進めればいいだけなんです。これが真実です。会社員だからこそできる起業準備の方法があるんですよ。

会社員が動けない本当の理由

――会社員ならではの障壁というのは、どんなものがあるんでしょうか?

新井:たくさんありますよ。スキルや知識への不安、完璧主義の傾向、「まだ早い」という思い込み、お金を失う恐怖、時間を無駄にする嫌悪、自己否定、他人と比べてしまう癖、周囲の意見、そして時間がないという思い込み。

――かなりありますね……。

新井:そうなんです。そして厄介なのが、不安だから情報収集する、でも行動しない、だからまた不安が増すという悪循環に陥ることなんです。この負のスパイラルから抜け出すには、思考を変える必要があります。

思考を変える7つのヒント

ヒント1:動きながら学ぶ

――思考を変えるとは、具体的にどういうことでしょうか?

新井:まず1つ目は「動きながら学ぶ」ということです。80%の実践知が鍵なんです。事前準備は20%でいい。どうせ修正するのだから、完璧を目指さなくていいんですよ。

――でも、準備不足で失敗したら怖くないですか?

新井:それが思い込みなんです。実際にやってみると、思ったほど大きな失敗はできないものなんですよ。

ヒント2:借り入れをしない

新井:2つ目は「借り入れをしない」こと。ただし、これは「お金を使わない」という意味ではありません。情報や環境には投資すべきです。でも、借金はしない。これが会社員流の起業準備の鉄則です。

ヒント3:時間はなくて当たり前

――時間がないというのは、やはり会社員の大きな悩みですよね。

新井:そうですね。でもね、時間はなくて当たり前なんです。だから、時間の要らないビジネスを選べばいいんです。発想を逆転させることが大切なんですよ。

ヒント4:労働者からの脱却

新井:4つ目は、時間、お金、意識、人脈の優先順位を変えることです。

  • 「自分でやる」から時間が掛かる→スキルは集め、買うもの
  • 「貯金」から「事業/自分への投資」へ
  • 「目の前の快楽や痛み」から「3年後の未来」へ
  • 「会社の同僚」「友達」から「事業者仲間」へ

新井:スキルは身に付けるものではなく、集めて買うものなんです。チーム戦で生き残る。ドラえもんではなく、のび太を目指すんですよ。

――のび太を目指す、というのは面白い表現ですね!

ヒント5:労働者マインドを捨てる

新井:5つ目は、労働者マインドを捨てることです。「まず全体像を教えてほしい」「やっていいですか?」「正解を示してください」こういう思考をやめる。自分でゴールを決めて、どうすればできるか? と自分に問いかける。AIに質問するだけでもいいんです。

――確かに、会社員は正解を求めがちですよね。

新井:そうなんです。でも、言わされる目標は無意味なんです。起業準備は「30分後にできること」から始めればいいんですよ。

ヒント6:失敗への過度な恐れからの脱却

新井:6つ目は、失敗への過度な恐れから脱却することです。どうせ大した失敗はできないから、ゲームだと思って楽しめばいい。徹底的にサボる! 嫌なことはしない! これが知恵を出すコツなんです。

――えっ、サボるんですか?

新井:はい(笑)。99%は順調に動いているんです。うまくいっていないことは1%程度。主張を通す、競争に勝つ、傷つかぬように身を守る必要もない。人から何を言われても、笑顔でいられる自分でいればいいんです。

ヒント7:まず動くための小さなコツ

――最後のヒントは何でしょうか?

新井:7つ目は、30分掛からない作業から始めることです。SNSのフォロー、資料請求、本を注文する。こんな小さなことでいいんです。

アイデアはすでにある

――でも、起業したくても「アイデアがない」という人も多いのでは?

新井:「アイデアがない」と思う人は多いですが、起業ネタはすでにあるんです。スキル、経験、教育、人脈、地縁、家業、容姿など。自分で考えない! と決めることが大切です。

――自分で考えないんですか?

新井:そうです。AIリサーチを活用する、真似る、広告や本、ポータルサイト、ネットショップを見る。そして、素人に聞かない! お金を払う人がいるか、つまり需要があるかだけ注意すればいいんです。

――なるほど。でも、どこから学べばいいのでしょうか?

新井:まずは書籍で基礎を体系的に学んでほしいですね。それだけで景色がまったく変わります。バラバラに情報を集めても何にもなりません。体系的な知識が、行動を後押ししてくれるんです。

今日から動き出すために

――最後に、読者の方へメッセージをいただけますか?

新井:忙しい、面倒くさい、ついつい先送り。これが起業準備が進まない原因です。でも、それは仕方ないことなんです。大切なのは、完璧を目指さず、小さく始めること。会社員という立場を活かして、リスクを最小限に抑えながら、1日15~30分でいいから動き出すこと。さあ、今日から動きましょう! 明日からじゃなくて、今日からです。

――新井さん、今日はありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。

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新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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