海外での成功アイデアをもとに起業する方法はうまくいくか？
起業家インタビュー（聞き手：伊藤純子）
「SNSで売れない」の真実を語る
――新井さん、本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。多くの起業初心者がSNS集客で悩んでいる現状について、25年以上のご経験から率直なご意見をお聞かせください。
新井：こちらこそ、ありがとうございます。実は、起業18フォーラムでも同じような相談を日々受けているんです。「Instagram頑張ってるのに全然売れません」「Twitter（X）でフォロワー増やしても商品が売れないんです」という声が本当に多くて。
――やはり、そういった悩みは一般的なのですね。
新井：そうなんです。でも実は、SNSで売れないのは当然なんですよ。多くの方が勘違いしているのですが、SNSって本来「暇つぶし」の媒体なんです。
――暇つぶしの媒体、ですか？
新井：そうです。伊藤さんも経験あると思うのですが、InstagramやXを開くとき、明確に「何かを買いたい」と思って開いていますか？ むしろ「なんとなく時間を潰したい」「友達が何してるかな」という感覚で見ていませんか？
――確かに、そう言われると…SNSを見るときの心境と、Google検索するときの心境は全然違いますね。
新井：まさにそこなんです！ Google検索するときは明確に「何かを調べたい」「問題を解決したい」という購買意欲の高い状態なんです。この差は決定的ですよね。
購買意欲の根本的な違いを理解する
SNSと検索エンジンの心理状態の差
――その心理状態の違いについて、もう少し詳しく教えていただけますか？
新井：行動経済学の観点から見ても、とても興味深い現象なんです。SNSを利用している人は「システム1」という直感的で感情的な思考モードにあります。一方、検索エンジンを使う人は「システム2」という論理的で目的志向の思考モードなんです。
――具体的には、どういう違いが現れるのでしょうか？
新井：例えば、SNSで本やセミナーの紹介を見ても「いいね」で終わってしまう。でも、「Excel 使い方」「副業 始め方」とGoogle検索して情報を見つけた場合、実際に行動に移す確率は圧倒的に高いんです。
――なるほど。では、どうすれば効果的な集客ができるのでしょうか？
新井：答えは「検索される仕組み」を作ることです。お客様が困ったとき、知りたいことがあるとき、自然にあなたのコンテンツが見つかる状態を作る。これが本当の集客なんです。
YouTube が最強である3つの理由
――検索される仕組みの中でも、特にYouTubeを推奨されていますが、その理由を教えてください。
新井：YouTubeが最強な理由は3つあります。1つ目は「検索とバズが一体化」していること。GoogleでもYouTube内でも検索されますし、おすすめ動画として表示される可能性もある。
――確かに、Google検索結果にもYouTube動画がよく表示されますね。
新井：2つ目は「説明の分かりやすさ」です。Excelの使い方を学びたいとき、文章で説明されるより、実際に「カチッカチッ」と操作している動画の方が分かりやすいですよね？ マッサージ方法だって、写真より動画の方が圧倒的に理解しやすい。
――動画の持つ情報量の豊富さということですね。
新井：3つ目は「参入障壁の高さ」です。皆さん「動画撮影って大変そう」「編集とか無理」と思うじゃないですか。でも、だからこそライバルが少ないんです。
――みんなが避けるということは、チャンスでもあるということですね。
新井：まさにその通りです！ SNSで「買ってください」という投稿ばかりしている人たちを横目に、YouTubeで検索される仕組みを作る。これって、めちゃくちゃ有利だと思いませんか？
実践的なYouTube活用戦略
初心者でも始められる動画コンテンツ
――とはいえ、YouTube初心者にとってハードルが高く感じられるのも事実です。どこから始めればよいでしょうか？
新井：実は、凝った動画を作る必要はないんです。画面録画ソフトを使って、PowerPointのスライドを説明するだけでも十分価値のあるコンテンツになります。
――具体的には、どのようなテーマがおすすめでしょうか？
新井：会社員の方なら、日常業務で培った知識やスキルを活かせばいいんです。
- Excel の便利な関数の使い方
- プレゼン資料を見やすくするコツ
- 効率的なメール整理術
- 新人研修で教えている基本マナー
- 業界の基礎知識や用語解説
――普段当たり前にやっていることが、実はコンテンツになるということですね。
新井：そうなんです。あなたにとって「当たり前」のことが、誰かにとっては「知りたい情報」なんです。特に、AI にはできない「経験に基づいた体験談」や「実際にやってみた感想」は非常に価値が高いです。
ブログという選択肢も忘れずに
――YouTubeが難しい場合、ブログという選択肢もありますよね？
新井：はい、もちろんです。ただし、今の時代、検索に引っかかるブログを書くには「SEOライティング」という特殊なスキルが必要になります。
――SEOライティングとは、具体的にはどのようなものでしょうか？
新井：簡単に言うと、1問1答形式で詳細なQ&Aを書くということです。以前は、「なんか長ったらしい記事ばっかり出てくるなぁ」って感じたと思います。残念ながら、ああいうものを書かなければいけなかったのですが、今は違います。AIで紹介される核心を突いた解決策が大切です。
――なるほど。傾向が変わっているのですね。
新井：はい。これを1年続ければ立派な集客装置になります。毎日少しずつでも、検索される記事を積み重ねていく。YouTubeよりも時間はかかりますが、確実性はありますね。
ファンを獲得するための秘訣
「人間」にファンがつく理由
――集客の仕組みを作った後、ファンを獲得するために大切なことは何でしょうか？
新井：これは非常に重要なポイントです。ファンって、誰につくと思いますか？
――う～ん、商品やサービス…ではなく、やはり「人」でしょうか？
新井：正解です！ ファンは多くの場合「人間」につくんです。どんなに面白いショート動画でも、人が出てこないコンテンツではファンになりにくい。感情移入してお金を使うところまでは行かないんですよね。
――顔出しが重要ということでしょうか？
新井：必ずしも顔出しである必要はありませんが、「人間性」を感じられることが大切です。声だけでも、文章だけでも、その人の考え方や価値観、体験談が伝わればファンはつきます。
最初の一歩を踏み出す勇気
――それでも「顔出しは恥ずかしい」「失敗したらどうしよう」と思ってしまう人も多いと思います。
新井：その気持ち、よく分かります。でも、考えてみてください。今の時代、完璧なコンテンツを求めている人って、実はそんなにいないんです。むしろ「等身大の体験談」や「失敗も含めたリアルな話」の方が信頼されます。
――失敗も含めて発信することで、かえって親近感を持ってもらえるということですね。
新井：まさにそうです。起業18フォーラムのメンバーさんでも、「失敗談」を発信した動画の方が再生数が多く、ファンが増えることがよくあります。完璧を目指さず、「今の自分ができることから始める」ことが重要なんです。
集客で悩まないための行動プラン
まず3カ月で取り組むべきこと
――具体的に、これから起業を目指す会社員の方は、どのようなステップで進めればよいでしょうか？
新井：まず3カ月間で基盤を作ることをおすすめします。最初の1カ月で発信するテーマを決め、2カ月目でコンテンツを10本作成、3カ月目で改善点を見つけて修正する。このサイクルです。
――テーマはどのように決めればよいでしょうか？
新井：3つの条件を満たすテーマがベストです。
- 自分が経験していること（体験談を語れる）
- 検索需要があること（GoogleキーワードプランナーやYouTube検索で確認）
- 継続して発信できること（ネタが尽きない分野）
6カ月後の理想的な状態
――6カ月間継続した場合、どのような状態になるのでしょうか？
新井：順調に進めば、月に数万円の収益が発生し始める時期です。YouTubeであれば、チャンネル登録者数1000人前後、月間再生時間4000時間を超えて収益化の条件をクリアする方も出てきます。
――その頃には、集客の悩みも解消されているということですね。
新井：そうですね。何より「自分でお客様を集められる」という自信がつきます。これは会社員にとって、非常に大きな心の支えになります。「いつでも独立できる」「リストラされても大丈夫」という安心感は、本当に人生を変えますから。
――最後に、これから集客の仕組み作りに挑戦される方へメッセージをお願いします。
新井：SNSの「いいね」を追いかけるのではなく、検索される仕組みを作る。これが本当の集客です。少しハードルは高いかもしれませんが、だからこそライバルが少なく、今始めれば大きなアドバンテージになります。
――新井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました！
新井：こちらこそ、ありがとうございました！
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援＆集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン（起業18フォーラム）の受講者は年間のべ1000人を超える。
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