「起業したいけどやりたいことがない」はむしろチャンス! 起業18代表が明かす会社員のための逆転発想術
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
起業のハードルが下がった令和の新時代
――新井さん、起業18フォーラムを通じて多くの会社員の起業をサポートされていますが、最近の起業トレンドをどのように感じていらっしゃいますか?
新井一さん(以下、新井):本当に起業のハードルが下がったと感じています。特にデジタルツールの普及で、初期投資を抑えながら事業を始められるようになりました。昔は店舗を構えたり、大きな設備投資が必要でしたが、今はパソコン1台あれば様々なビジネスが可能ですからね。
――確かに、オンラインビジネスが身近になりましたね。会社員が起業を考える理由も変わってきているのでしょうか?
新井:そうですね。以前は「会社が嫌だから独立したい」という理由が多かったのですが、最近は「将来への備え」として起業を考える方が増えています。終身雇用制度の変化や、年金制度への不安もあって、複数の収入源を持ちたいという現実的な判断をされる方が多いんです。
「いきなり独立」は時代遅れ!? 会社員のまま始める起業術
――新井さんが提唱される「会社員のまま起業」というアプローチについて教えてください。
新井:いきなり会社を辞めて起業するのは、実はリスクが高すぎるんです。安定した収入がある状態で小さく事業を始めて、軌道に乗ってから本格的に移行する。これが令和時代の賢い起業法だと思います。
――具体的には、どのようなステップで進めるのがよいのでしょうか?
新井:まずは月5万円を目標に。次に10万円、そして30万円と段階的に収入を増やしていく。この30万円というのが1つの分岐点なんです。月30万円が安定的に入ってくるようになれば、独立を検討する土台ができたと言えるでしょう。
失敗しない起業アイデアの見つけ方
――起業アイデアで悩む方も多いと思いますが、どのようにアドバイスされていますか?
新井:「何か特別なアイデアを」と考えすぎる必要はないんです。むしろ、ご自身の経験やスキルを活かせる分野から始めるのがベスト。営業経験があれば営業代行、経理経験があれば記帳代行、といった具合に。
――なるほど。でも「自分には特別なスキルがない」と感じる方もいらっしゃるのでは?
新井:そんなことはありません! 例えば、子育て経験も立派なスキルです。同じ悩みを持つママ向けのサービスができるかもしれませんし、趣味で続けていることも事業化できる可能性があります。重要なのは、身近な困りごとに目を向けることなんです。
成功する起業家の「3つの習慣」
――これまで多くの起業家を見てこられた中で、成功する人の共通点はありますか?
新井:3つありますね。1つ目は「小さく始める習慣」。大風呂敷を広げずに、まずは手の届く範囲から。2つ目は「継続する習慣」。最初は思うような結果が出なくても、コツコツ続けることで道が開けます。
――3つ目は何でしょうか?
新井:「学び続ける習慣」です。起業すると分からないことが次々と出てきます。でも、それを「自分には向いていない」と諦めるのではなく、「今は知らないだけ」と考えて学び続ける。この姿勢が成功と失敗を分けるんです。
時間管理のコツと家族の理解
――会社員として働きながら事業を進めるとなると、時間管理が大変そうですが。
新井:確かに時間は限られていますが、効率を意識すれば十分可能です。朝の1時間、昼休み、通勤時間、そして夜の2時間程度でも、集中して取り組めば相当な進歩ができます。
――家族の理解を得るのも重要ですよね?
新井:とても大切なポイントです。最初から「将来のために」という抽象的な話ではなく、具体的な目標と期限を示すことが重要。「まずは3カ月で月3万円を目指す」といった明確な計画を共有すると、家族も応援してくれやすくなります。
デジタル時代の集客戦略
――最近はSNSやウェブを活用した集客が主流ですが、どのように取り組むべきでしょうか?
新井:まずは1つのプラットフォームに集中することをお勧めします。Instagram、X、YouTube、ブログなど、すべてに手を出すと中途半端になってしまいます。ご自身の得意分野や事業内容に合ったプラットフォームを選んで、そこで確実に成果を出す。
――プラットフォーム選びのコツはありますか?
新井:文章が得意ならブログやnote、話すのが得意ならYouTube、写真のセンスがあるならInstagram。自分の強みを活かせるプラットフォームを選ぶのが成功の秘訣です。無理に苦手な分野で勝負する必要はありません。
よくある失敗パターンと対策
――逆に、失敗してしまう方の共通点はありますか?
新井:一番多いのは「完璧主義になりすぎること」ですね。すべての準備が整ってから始めようとすると、結局何も始められません。60点でもいいからまずはスタートして、走りながら改善していく姿勢が大切です。
――他にはどのような失敗パターンがありますか?
新井:「すぐに結果を求めすぎること」も危険です。起業は短距離走ではなく長距離走。最初の数カ月で結果が出なくても、それは当然のことなんです。最低でも半年から1年は継続する覚悟で取り組んでいただきたいですね。
これからの起業環境と新井さんの展望
――今後、起業環境はどのように変化していくとお考えですか?
新井:ますます個人が活躍しやすい時代になると思います。AIやオートメーション技術の発達で、少ない人数でも大きな事業ができるようになる。一方で、人と人とのつながりや信頼関係の価値は、むしろ高まっていくでしょう。
――最後に、これから起業を考えている会社員の皆さんへメッセージをお願いします。
新井:「いつか起業したい」ではなく、「今から準備を始める」という意識を持ってください。小さな一歩でも構いません。まずは副業レベルから始めて、着実にスキルと実績を積み重ねていく。その積み重ねが、必ず大きな成果につながります。
――本日はありがとうございました。
新井:こちらこそ、ありがとうございました。皆さんの起業が成功することを心から願っています。
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。
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