開業届の書き方って意外と簡単!副業している人向け【2021年最新版】

新井一

新井一

テーマ:起業

会社員をしながら副業をしようとしたときに、開業届を出すかどうかで悩んでしまうかもしれません。

副業から得た所得(年間20万円を超えたかどうか)にもよりますが、確定申告をする必要がある場合には、開業届を出していた方がメリットが大きいことがあります。

開業届の提出は、少し面倒に感じてしまうかもしれませんが、実は簡単に書けてしまうので難しく考える必要はありません。

こちらのコラムでは、副業をしている人に向けて「開業届の書き方」や「提出のメリット・デメリット」などを中心に解説していきます。


開業届とは?


税務署

新しく事業を始める時に届け出る書類で、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届書」といいます。事務所の新設や移転、廃業の時にも提出が必要です。


副業をしていたら開業届を出すべき?


税務署

副業の場合、以下を考えて開業届を出すかどうかを判断しましょう。

→ 事業で金額の大小にかかわらず継続的収入を得ているかどうか?
→ 今後、実体のある事業として取り組むのか?

どちらかに該当する場合、事業開始から1ヵ月後までに開業届を提出します。提出しないからといって法律で罰せられることはありませんが、どちらかに該当する場合には、提出は義務になります。

尚、お給料(給与所得)を貰うアルバイトや、単発の雑所得が発生しているような副業の場合、開業届は提出不要です。


開業届を提出したら控えを残す


税務署

領収書は保管している方も多いと思いますが、開業届の控えも大切な書類となりますので、きちんと保管しておきましょう。開業をして融資を受ける場合や、事業用の口座を作る際にも必要になりますし、事業を行っている証として控えの提出を求められる場面はたくさんあります。紛失しないように気を付けましょう。

控えは開業届の作成場所によって変わってきます。通常、税務署や市役所で作ることが多いですが、その場合は、複写式になっている控えを渡される場合が殆どです。今はインターネットでも簡単に手続きができるので、国税庁やfreeeなどのオンラインツールを使えば、控えは自動的に作られます。


コロナ禍では税務署や市区町村役場には行かずインターネットで


起業

会社員として働いている場合、平日に税務署にへ行くのは中々大変なことです。また、今はコロナ禍。人との接触をなるべく避けることが求められる中、多くの人が出入りする役所に行くのはちょっと・・・と思う方も多いと思います。

今は、開業届は自宅のパソコンで作成することができます。国税庁のホームページからダウンロードをしても良いですし、もっと簡単に作りたいなら、開業freeeが便利です。料金も掛かりませんし、初心者でも簡単にできる仕様になっています。どの書類が必要かわからなくても案内がついていますし、青色申告承認申請書や青色専業者給与に関する届出書も、自動で作成されます。

初心者にとても優しいツールですので、ぜひ利用してみましょう。


開業届を出したら何が得なの?(副業の場合のメリット)


税務署

開業届を出さなくても良いなら出したくない、面倒な手間はかけたくないと考えている方も多いでしょう。副業なのですから、手軽に、わからないことはやりたくない、そんな気持ちになるのもよくわかります。また、会社にバレるリスクがあるのでは、、そんな心配も出てきます。

まず、開業届を出すこと自体が、副業が会社にバレる直接の原因になることはありません。赤字で確定申告をしたり、住民税を特別徴収で申告してしまった場合あや、滅多にないことですが、自治体で何らかのミスが発生して会社に連絡がいってしまった場合などにバレてしまうことがあり得ます。

それでも、副業が順調に回り出しているのでしたら、開業届を提出して事業所得の確定(青色)申告をするメリットは大きいです。(開業届を出していなくても事業所得で青色申告をすれば同じことですが・・・)たとえばこのようなメリットがあります。

・【メリット1】青色申告をすると最大で65万円も控除がある

青色申告承認申請書を提出することで、青色申告ができるようになります。青色申告には多数のメリットがあり、その中でも大きいのは青色申告による控除で、最大で65万円もの控除をしてもらえます。納税額に大きく影響してきますので、利益がでているのでしたら絶対に欲しい特典です。開業届はもちろん、青色申告承認申請書も書類の書き方自体は難しくありません。提出しておきましょう。

ひとつ注意点があり、今まではどの方法で申告をしても最大で65万円の控除となっていましたが、令和2年からは55万円の控除となり10万円も少なくなってしまいます。最大の65万円の控除を受けたい場合、e-Taxによる電子申告をするか、電子帳簿保存を行わないといけなくなりました。

知らないまま従来のやり方で申告してしまうと損をしてしまうため、「e-Taxによる電子申告又は電子帳簿保存」は忘れないようにしておきましょう。

詳しくはこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。
令和2年分確定申告の変更点のポイントを教えてください

・【メリット2】事業用の銀行口座が作れる

個人名の口座をそのまま使用しても問題ありませんが、本格的に副業に取り組まれるのでしたら、屋号で銀行口座を作ると良いでしょう。今後、企業間取引をする際にも、屋号口座の方が何となくですが格好がつきます。

管理会計で経費をチェックする際にも、個人名義の銀行口座と事業用の銀行口座を分けることで、管理がし易くなります。注意点としては、利用するサービスなどによっては、屋号口座の使い勝手が悪い場合もありますので、個人名義の事業用口座も持っておきましょう。

尚、屋号の口座開設には開業届が必要になりますので、控えを大切に保管しておきましょう。

・【メリット3】赤字になっても繰り越せる

青色申告をしていれば、事業が赤字になったらその赤字を繰り越すことができます。開業届を出して青色申告も行っていれば、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得ならば、赤字を最長3年繰り越すことができるのです。

ですが、副業をしている会社員の場合、本業の会社からお給料を貰っています。そのお給料分以上の赤字がでることは稀でしょう。仮にお給料が400万円だとして、副業の事業所得の赤字が100万円だとすると、通算では300万円の所得(黒字)という計算になります。

黒字であっても、減額になる分、税金が安くなりますから、所得税は還付されて戻ってきたり、翌年の住民税が減額されたりします。ですが、その場合、会社の経理担当者には確実にバレてしまいます。

ちなみに、副業が雑所得と判断されれば、100万円の赤字を給与所得から差し引くことはできませんので、ご注意ください。

・【メリット4】家族と一緒に副業をした場合は支払った給料を経費にできる

副業を家族に手伝ってもらっている場合、家族に支払った給料を経費にすることができます。この特典を受けるには、青色専従者給与に関する届出を税務署に出す必要があります。ただし、お小遣いを渡して経費にしたり、家族を外注として取引することはできませんので、ご注意ください。

青色専従者給与に関する届出を受理してもらったら、15歳以上の家族に対する給料を経費にすることが可能です。自分だけでなく家族で取り組むビジネスの場合には、きちんと申請して活用しましょう。


もちろんデメリットも


税務署

・【デメリット1】毎年確定申告が必要になる

開業届を提出すると、事業所得で確定申告をすることになります。雑所得扱いだった副業が、いよいよ本格的に事業になるということです。

青色申告のメリットを享受するためには、複式簿記や帳簿の作成など必要な事務が増えますので、それも苦手な人にとってはデメリットとなります。ここは税理士さんや記帳代行の会社に任せて、自分は得意なことに集中したいところです。

また、赤字で申告をすると会社にばれてしまうリスクが大きくなりますので、注意が必要になります。そして、住民税の申告の際は必ず、「普通徴収(自分で納付する)」を選択しましょう。

・【デメリット2】扶養に入っている人は要注意!

誰かの扶養に入っていなければ問題ありませんが、扶養に入っている場合には注意が必要です。扶養の範囲をはみ出てしまうと税金が高くなるだけでなく、扶養している方も控除されなくなってしまいます。

開業届を出しても、扶養の範囲で仕事をすることは可能ですので、管理をしながら進めましょう。


開業届の詳しい書き方を知りたい!


パソコンを見る女性

ここからは開業届の項目について、実際にどのように記入するのかを説明していきます。

記入する際に迷ってしまったときには、ぜひ参考にしてみてください。


・税務署名の書き方

開業届には、提出先の税務署名を記入する必要がありますが、ネットからダウンロードして記入する際は、迷ってしまうかもしれません。

納税地を管轄する税務署の名前を書きますが、正式な名称がわからない場合には、国税庁のホームページで検索してみましょう。住所を入力すると管轄の税務署がわかります。

開業freeeを利用する際には、自動的に提出先税務署の住所や電話番号などを出してくれます。


・提出日と納税地の書き方

開業日は提出日を書くことが多いですが、それ以前から事業を行っている場合は、開業日から1ヶ月以内の日付を書きます。

すでに開業日から1ヶ月以上経ってしまっている場合、提出日から過去1ヶ月以内の日付を書くことが一般的です。

納税地は原則現住所になり、住民登録がない場合には国内の居住地を記入します。

電話番号を書く欄は、固定電話ではなく携帯電話でも大丈夫です。


・上記以外の住所地・事業所等、氏名・生年月日、個人番号の書き方

「上記以外の住所地・事業所等」については、自宅で副業をしていて店舗や事業所がない場合は、書く必要はありません。自宅以外にシェアオフィスなどを借りている場合、こちらに住所を書きましょう。

「氏名・生年月日」は、もちろん自分のものを書き、そのうちなくなるかもしれませんが、ハンコを押す欄には認印かシャチハタを押します。実印は不要です。

個人番号というのはマイナンバーのことです。


・職業、屋号、届出の区分の書き方

複数の副業をしている場合、職業欄には最も収入の高いものを記入するようにします。もし大差がなく選べない場合には、並べて記入しても問題ありません。

自分の職業をどのように記入して良いのかわからない場合、日本標準職業分類を確認します。職業によって個人事業税のの支払額の計算が変わってきますので、この欄は税務署にとっても重要な箇所となります。

「屋号」もしっかりと考えて決めましょう。個人名ではなく会社名を名乗ると信用なども付きますので、屋号があると便利です。屋号は決めなくてはならないものではありませんし、確定申告の際に新しい屋号を入力して後から変えたりすることも自由ですので、決められない場合には空欄にしておいても大丈夫です。

区分を選ぶときには、開業新規開業の場合は「開業」にのみ○をつけます。事業を引き継いだ場合には、住所、氏名を記入します。


・所得の種類、開業・廃業等日、開業・廃業に伴う届出書の提出の有無の書き方

所得の種類に関しては、普通の副業の場合には、事業所得を選べば問題ありません。

一応決まりとして、開業してから1ヶ月以内に開業届を出さなければいけないということになっていますので、過去1ヶ月のどこかの日付を選びます。

個人事業主の場合、決算は12月末になるため、12月に入ってから開業した場合には、この1ヶ月分の確定申告をしなければなりませんのでお忘れなく。

青色申告承認申請書は必ず開業届と一緒に出し、青色申告のメリットを受けられるようにしておきましょう。今は白色申告にしていても、まったくメリットがありません。


・事業の概要、給与等の支払いの状況、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無の書き方

事業の概要の欄では、収益を得ている事業の内容を具体的に書き、どんな仕事をしているのかわかるようにします。同じ飲食店でもハンバーグ屋、カレー屋、居酒屋と様々あるように、この欄では少し細かく記入します。

副業を、家族や知人など誰か従業員を雇っている場合には、この欄に記入が必要です。給与の定めでは、日給や月給と記入し、税額に関しては雇っている全員が月給8万円以下の場合は無、誰か1人でも8万円を超えていれば有を選びます。

この給与を経費にしたい場合は青色申告が必要なのと、給与を支払うことが開業届を出した後に決まったときには、給与支払事務所開設届出書が後から必要となります。

もし従業員を雇い給与を支払う場合は、源泉徴収が必要です。源泉所得税の納期の特例というものを使うと便利ですので、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書も税務署に出すようにしましょう。


・給与支払を開始する年月日と関与税理士の書き方

副業の場合には関係ないことが多いと思いますが、お給料を支払う場合は、支払いをする前月までに開業届を提出しましょう。間に合わない場合、従業員に対して給与を支払った翌月に所得税の納付が必要となります。

関与税理士の欄はすでに顧問税理士がいて、開業届を税理士が作成してくれたという場合は署名や押印をしてもらいますが、自分で書く方も多いでしょう。その場合は空欄でも問題なく受理されるため、そのまま提出して大丈夫です。


・用紙を提出するタイミング

失業保険を受けている場合は、開業届を出してしまうと、その時点で仕事を始めたという扱いになります。失業保険は貰えなくなりますので、注意しましょう。ビジネスからの収入がないとしても、失業保険は関係ないので0円になってしまいます。


・税務署に行って開業届を出す場合の持ち物

必ず持っていくものとしては、個人事業の開業届出・廃業届出書、マイナンバー、免許証などの本人確認書類、印鑑、メリットとして大きい青色申告承認申請書も提出しましょう。

その他、所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書や、青色専従者給与に関する届出書など、当てはまる方は持参しましょう。

昼間の営業時間に行けない場合、時間外収納箱を利用したり、郵送でも受け付けています。


まとめ


パソコン操作する女性

開業届はお役所への提出書類ということで、経験がないと難しく感じてしまうこともありますが、やってみると意外に簡単です。

独立のメリットを享受するためにも、青色申告控除は必要です。準備が整ったら手続きしましょう。

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新井一
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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。「会社員のまま起業する」方法を伝授するプロ。

新井一プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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