ハラール認証とは?取得費用・期間・流れを専門家が解説

伊藤健

伊藤健


「ハラール認証を取りたいのですが、何から手をつければいいのか分からなくて…」

私のところには、こうしたご相談がよく寄せられます。書類の山を前に立ち止まってしまう方、社内に専門知識を持つ人がいなくて困っている方、皆さん最初の一歩でつまずいていらっしゃるのです。

私は約40年にわたり、食品の検査やコンサルティングに携わってきました。その中でいま最も力を注いでいるのが、このハラール認証取得の支援です。これまで80社以上の認証取得に立ち会ってきましたが、企業の規模も業種も実にさまざまでした。今日は、その現場で私が日々感じていることを、できるだけ正直にお話ししたいと思います。

ハラール認証とは何か、まず整理します

ハラール認証とは、製品やサービスがイスラム法に沿っていることを第三者機関が証明する仕組みのことです。ムスリム(イスラム教徒)の方が安心して選べる目印になります。

対象は意外と広く、食品や飲料だけにとどまりません。食品添加物、医薬部外品、包装資材、飲食サービス、物流サービスまで含まれます。飲料用のキャップや包装フィルムも対象です。「うちは食品メーカーじゃないから関係ない」と思っていた方が、実は対象だったというケースは少なくありません。

食品の中でも、豚や豚由来の物質は一切使用できません。鶏肉・羊肉・牛肉といったお肉も、認証がなければイスラム諸国では販売できないのが現実です。世界で人口が伸びているのはイスラム圏の国々ですから、消費が拡大する市場へ商品を届けるには、この認証が欠かせない鍵になります。

認証取得の費用と期間、正直にお伝えします

費用のことは、皆さんがいちばん気にされる点です。ここはぼかさず、私の実務での目安を率直にお伝えします。

認証申請に必要なコンサルティング費用:50万円前後(税別)
認証費用:50万円前後(税別)
概算の総額:100万円~120万円(税別)


「思ったより幅があるな」と感じられたかもしれません。これは、商品の種類や工場の状況によって変わるためですが、農畜産物に関しては各自治体からの補助金が使える場合があります。費用面で迷っている方ほど、まずこの補助金の有無を一緒に確認することをおすすめしています。

期間については、認証申請の準備からおよそ3か月で申請書類を完成させ、認証組織に申請します。そこから取得までは平均して3~6か月ほど。つまり、ご相談から取得まで半年以上を見ておくと安心です。

「来月の展示会までに」というご希望には残念ながら間に合いません。早めに動き始めることが何より大切だと、私はいつもお伝えしています。

申請の流れと、私が現場で大切にしていること

実際の進め方も、よくご質問をいただくので順を追ってご説明します。まず直接お会いして、どんな商品・サービスで認証を希望されているのかをじっくりお聞きします。特殊な技術や手順に関わる場合は、面談の前に秘密保持契約を結びます。ここは企業の大切な情報をお預かりする以上、欠かせない手順です。

次に事前審査を申し込み、現在の商品に関する書類を準備していただきます。事前審査では、認証希望商品を生産する工場を実際に訪問し、書類と現場を確認します。そして認証取得に向けた問題点を洗い出し、改善方法をご提示します。

この訪問の際には、現場の担当者の方々に集まっていただき、ハラールに関するトレーニングを1時間半ほど行うのが私のやり方です。審査後30日間は質疑応答を随時お受けし、その後に社内で「認証を取得するか」をご判断いただきます。

私がこの仕事で大切にしているのは、コンサルティングとは医者と患者の関係に似ているということです。相互の信頼関係がすべてだと、40年やってきていまでも思っています。ご依頼者の希望を可能な限り実現するよう動きますが、必ず希望通りになるとは限りません。だからこそ、できることとできないことを正直に申し上げる、これが私のスタンスです。

実際、80社以上という実績の大半は、結果に満足してくださった企業様からのご紹介によるものです。当社の歩みは、フードテクニカル・ラボの食品衛生コンサルティングのページ(https://food-labo.jp/)でも詳しくご紹介しています。

認証取得がもたらす効果、実例から

「本当にそこまでの効果があるのか?」と半信半疑の方もいらっしゃいますが、その気持ちはよく分かります。そこで、私が立ち会ってきた現場の実例をいくつかお話しします。

ある機内食企業では、2015年頃にハラールキッチン認証を取得されました。それまで航空会社同士の協定による判定で、公式のハラール判定ではなかったのですが、その状況にいち早く気づいて公式のキッチン認証を取得した結果、関西空港の発着便でイスラム圏諸国のフラグシップ航空会社の機内食が一社に集中したのです。先手を打つことの大きさを、私はこの案件で改めて実感しました。

香料会社の例も印象に残っています。乳製品や飲料は、香料なしでは商品になりません。食品分野で認証を取得されたある香料会社では、その後の販売拡大に絶大な効果がありました。

機能性食品素材や化粧品素材でも同じで、欧米向けのサプリメント素材、アジア向けの化粧品素材で認証を取得し、引き合いが一気に増えた企業を私は何社も見てきました。

少し意外に思われるのが、化粧品の需要です。イスラム圏ではアイシャドーの利用が多く、原則1日5回の礼拝の前にはクレンジングで落とさなければなりません。落としては付け、付けては落とす。それだけで需要が広がっていくのです。

市場の背景を知ると、認証の意味が立体的に見えてくると思います。

なぜいま、輸出にハラール認証なのか?

私がこの仕事に最もやりがいを感じるのは、日本の食品がイスラム圏で支持される姿を目にした時です。国内では少子高齢化で需要の縮小が続いていますが、生産者は生産を止められません。鶏だけでも全国で約2億羽が飼育されています。若い世代が減っていく中、国内需要だけでは限界があるのが現実です。

だからこそ、イスラム圏への輸出は農畜産業を維持するための重要な鍵になると私は考えています。世界150か国以上に広がるムスリム市場、そして中央アジアや欧米のイスラム系移民市場まで視野に入れれば、日本の食が活躍できる余地はまだ大きく残されています。農家を支えるためにも、日本発のハラール食品を一つでも多く届けたい。それが私の願いです。

認証団体について一点、注意していただきたいことがあります。国内には認証団体が複数ありますが、マレーシア政府やインドネシア政府が公認している団体でなければ、公式なハラール認証としての効力を持ちません。自称の認証団体に申請しても意味がないのです。どこに申請すべきかという入口の判断こそ、専門家に相談する価値が大きい部分だと思っています。

まとめ

ハラール認証は、正しい入口の選び方と早めの準備さえ押さえれば、イスラム圏という巨大市場への確かな足がかりになるものだと、私は40年の現場から確信しています。

・ハラール認証を何から始めればよいか分からない方
・申請書類の作成でつまずいている食品企業の方
・イスラム圏への輸出で販路を広げたい生産者の方


株式会社フードテクニカル・ラボでは、自社設備による検査からハラール認証の申請支援まで一貫して対応しています。まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせは弊社公式サイトからどうぞ(https://food-labo.jp/)。

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伊藤健
専門家

伊藤健(ハラール認証コンサルタント)

株式会社フードテクニカル・ラボ

食品用の検査機器を複数所有し、微生物や異物に加え、豚の遺伝子やアルコールの痕跡なども調査。ハラール認証の申請書類作成も支援し、80社以上の認証取得を通じてイスラム圏への輸出を後押ししています。

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