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US Camp is Inspiring

小室千雪

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US Camp is Inspiring Life





桜が散り、ゴールデンウイークが近づくと、夏休みの準備をはじめます。夏休みの準備?
そうです。実は10年ほど前からアメリカNY州の北西部にあるSummer Campに
子どもたちを連れて行っています。そのためにあれやこれやの準備が必要になるのです。


Campの正式名はYMCA Camp ”ONYAHSA”(オンヤサ)。

120年の歴史を誇るYMCA公認Campです。“ONYAHSA”とは、かつてこの地域に在住して
いたネイティブアメリカンの挨拶語で、「コンニチハ」と「サヨウナラ」の両意をもつ
コトバだそうです。

従って、今年も月21日に“ONYAHSA”コンニチハと出かけて行き、8月11日”ONYAHASA”
サヨウナラと帰ってくる、3週間のSummer Campとなります。

参加できるのは、小学生(中・高学年)から高校生ぐらいの子どもたち。
NY州はもとより合衆国全州から、たくさんの子どもたちが集まって来ます。
これに日本(その他の外国)から毎年数名(時に十数名)加わります。

キャンプでの生活は「同年代の子どもたち6~7人+カウンセラー2名」が1チームとなり、
ひとつのキャビンで共同生活を送るようにプランされます。
日本人同士が同じキャビンに入れるのは最高2人まで。
さあ、24時間英語の生活がはじまります。

私は、このキャンプ生活で子どもたちがどう変化していくかニヤニヤしながら見ています。
私が主宰する「ELFえいごの寺子屋」の生徒以外に、外部からこのキャンプに自主参加した
初対面の子どもたちもいます。

最初は全員がパニック!早口の東海岸の英語が全く聞き取れないのです。
子どもたちのオドロキ、落胆、焦り・・・が手に取るようにわかります。
学校や会話教室で習った英語と全く別物。発音、スピード、リズム・・・
さあ、どうなるか?!

Campでは、午前午後各3コマ+日替わり選択のアクティビティ・プログラムを
行っています。チームで行うスポーツ(サッカー、バスケットボール、ホッケーなど)
個人で行うスポーツ(水泳、カヤック、カヌー、アーチェリーなど)、自然との触れ合い(釣り、森の探検など)、チャレンジ(フィールドアスレチックなど)、アート
(工作、美術、ゲームなど)です。
これに、日替わりの夜のアクティビティ(キャンプファイヤー、音楽会、寸劇、映画鑑賞、真夏のクリスマスなど)が加わり、非常に盛りだくさんな時間割になります。
これらは全員でやるもの、男女別でやるもの、年齢混合チームでやるものなど、
変化をつけてあります。

子どもはたくましい。個人差はもちろんありますが、毎日このアクティビティに参加する
ことで、このパニックを全員が克服します。
以下は私の観察したポイントです。

私の観察記録その①:年長組で、普段自分の英語力に自信を持っている子どもの
パニックがより深刻。

普段イタズラばかりしている教室ののんき屋さんが比較的軽症で、いつの間にか
周囲に溶け込んでいる。
これはコミュニケーションが「コトバ」だけで成り立っているのではないということの
証(あかし)です。
表情、身振り、手振りの大切さがよくわかります。
ちなみに「ELFえいごの寺子屋」のLesson 1は「相手の目を見なさい」です。
これが英会話習得のスタートです。

私の観察記録その②:チームスポーツが得意な子は溶け込むのが早い。

例えば、サッカーが上手な子がいました。彼はカバーに入るのが上手で、ボールを回すのが巧み、ここぞというときにシュートを打つ。たちまちチームの人気者。名前を覚えられ、
声を掛けられる存在になりました。 
英語は上手ではありませんが、仲間が身振り手振りでヘルプしてくれ、笑いの絶えない
Camp生活を送ることができました。
こういう現象はスポーツに限りません。折り紙上手で人気を博した子。
絵が上手で一目置かれた子などなど。

私はCampから帰ってくると記念動画をつくることにしています。
最初(2017年度版)はスナップ写真をつなぎ合わせたものでした。
カメラやiPhoneを持ち歩き、折々にパチリ、パチリと撮ったものを記念に差し上げようと
思っただけです。

しかし、毎年つくっているうちに、私の技術も上達しました。動画が断然増えました。
現場の音声を拾い、音楽やタイトルや字幕が入るようになりました。
フェードアウト、フェードインなどの簡単な編集技術が使えるようになりました。
もちろん、台本もなく、たまたま自分が居合わせた場所で写真または動画を撮るという
素人作業には変わりはありません。

しかし、少々困ったことが起きました。
もともと記念動画ですから、参加者全員ができるだけ平等に登場するという原則を
守っていたのですが、動画を多く使いだすとこれが案外難しい作業になりました。
動画を見ていると、いつも目立つ場所にいる子と、いつも目立たない場所にいる子に
分かれるのです。しかもこれは現在の英語力と必ずしも一致しません。

つまりその子の普段の性格が正直に出るということ。

その子の普段の性格が正直に出るということ。
声が大きく自己主張の強い子と声が小さく引っ込み思案で人見知りする子の対照的な
行動様式です。

私の観察記録③:私は記念動画の制作を通して、子どもたちの性格を観察しました。
そしてわずか3週間ですが、時系列に追いかけて、子供たちの心に変化が
起こっていることを確信しました。


言葉の通じないところにポンと放り込まれる、そのインパクトの強さ。
そこは○✕で点数を競う場所ではなく、仲間と笑顔で遊び笑顔で食べる場所。
発音も文法も関係ない、とにかくコミュニケーションをし、サバイバルするパワーが
必要なところです。


参加した子供たちが得るもの

自立心の向上=自分に自信を持つ

親元を離れ、日本語の通じない外国での生活。
ホームシックと向き合い、感情をコントロールして、問題を自分の力で解決していく
《強いココロと行動力》が身につく。

特に人見知りして引きこもりがちな子どもは、このCamp生活の中で、今までの自分と
違う自分を発見し、性格が前向きに変わるキッカケのようなものを体感する。

集団生活の学習

コトバ、年齢、生活習慣・・・文化の異なる外国人との集団生活を通して、
共に生きる楽しさ・難しさを学び、サバイバルする術を知る。
特に「上げ膳据え膳」のひとりっ子にとって、親離れして、24時間楽しく競い合いあう
エキサイティングな生活を発見する。

英語コミュニケーション力のUP

同じキャビンの仲間たちと寝食を共にし、アクティビティに興じることによって、
教室の中では学べない生きた英語コミュニケーション力(サバイバル英語)が
自然な形で身につく。
この経験が今後の英語習得のダッシュ力となる。

自然とのふれあい

Campは森と湖に囲まれた豊かな自然の中にある。
都会化した日本(特に東京など大都会)では体験できない様々なスポーツ、
アクティビティが満喫できる。
湖でのカヌー&カヤック、水泳、釣り、森の中でのアスレチック、自然探索など。

異文化を学ぶ

アメリカの文化はもちろん、アメリカ以外の国(参加者やスタッフなど)からの
生きた異文化を学ぶ。

日本文化を考え、日本人であることの自覚

24時間英語の生活をしてみて、改めて自分か日本人であることを実感する。
日本の良さ、日本の悪さを考え、日本の伝統や文化に興味がわき、大きな気づきを得ます。

わずか3週間にすぎませんが、「なんで今までこんな細かいことにクヨクヨしていた
のだろう」と、ちょっぴり吹っ切れ、お土産に「勇気」を持ち帰ることもあるようです。


さて、今年のCampの準備は着々と進んでいます。

私の何よりの楽しみは、数年前にこのCampに参加し、それがきっかけとなり
NY州の高校に留学した二人の女の子と再会できることです。

彼女たちは留学が終わって、日本の元の高校に戻ります。
ちょうど夏休み期間に入りますので、彼女たちはボランティアでCampのスタッフとして
働き、一緒に日本へ帰ってくることにしました。2人の成績ですか?
最初の1、2か月はやはり英語の聞き取りに苦労したようです。
しかし、2人で励ましあって、それを見事に克服。今では成績優秀。
学校からもお墨付きをもらっています。

私も時々Zoomで話し合ったりしますが、その上達と日常生活の充実ぶりに
嬉しくなっています。
夏休み後2人共日本の高校生活に戻り、次のステップに進む、つまり大学受験を目指す
ことになります。
私の興味は留学前に描いていた漠然とした未来設計(希望校、希望専攻、将来の夢など)
がどのように変わったか?にあります。

二人は英語以外の教科(数学、国語、化学など)の遅れを心配していますが、
私は全く心配していません。
アメリカで身につけた集中力、ガンバリパワーを発揮すれば、問題は簡単に解決すると
思っています。

おわりに、Just an idea!

私は最近、留学が決まった学生たちに、このSummer Campへの参加を薦めています。
ご存知の様にアメリカの学校は9月が新学期。つまり入学式は9月です。
渡米していきなり入学式に出て授業に入るより、直前の夏休みに3週間Summer Campに参加して、1日24時間英語の生活を体験する。
この「慣らし運転」は、肉体的にも精神的にも留学生活のスタートを楽にしてくれます。

ネイティブ英語に触れて、自分の現在の英語力(聞く力、話す力)を知る。
慣れるに従って「何とかなるさ」という自信が芽生える。そのための3週間です。





 
最後に2023年度のSummer Campの手作り動画をご覧ください。
子供たちの生き生きとした表情の変化を見ていただければ嬉しいです。

https://youtu.be/Qp4oTGAOgwQ

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小室千雪
専門家

小室千雪(英語講師)

株式会社team CK

子どもの英語学習の「はじめの一歩」。将来、グローバルで活躍できるように文化・習慣なども含めて「世界共通語の英語」を指導する。また、全世代を対象にニーズに応じたマンツーマンのオンライン講習も開講中。

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