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コラム

茶道のココロをグローバル教育に

2024年2月9日 公開 / 2024年2月12日更新

コラムカテゴリ:スクール・習い事

先日久しぶりに茶道のお稽古に行きました。

このところ仕事が忙しく、お稽古日にZoom会議が入ったりして欠席続きでした。
お点前のあれも忘れこれも忘れで、ひとり「置いてきぼり」の感じ。
正直きつかったです。
先生はそんな私の焦りを見抜かれていたようで、静かに優しく繰り返し、
私の苦手な作動を指導してくださいました。




また、突然お稽古に飛び込んできて未熟さをさらけ出す私の様子に、
いつも通りに接してくださる先輩方。
せっかく出来上がった「場の雰囲気やリズム」を私が壊している!と
気おくれしはじめた時、逆に先輩方が私のモチベーションが下がらないよう
細かい配慮をしてくださっている様子に気づき、嬉しくなりました。

後半は例のごとく。日本女性のおしとやかさをどこかに忘れてきた
いつもの私流の楽しいお点前。

先生は良く、茶道のお稽古はお点前5%、水屋での諸準備が95%、とおっしゃいます。

その日その時のお客さまの背景、嗜好、動向などを理解して、それに合わせて
屋で準備をすることの大切さを力説されます。

今日のテーマは? 季節感を出すための花や花入れ、そして掛け軸は? 
今日のお客様にふさわしい茶器は? お菓子は?等々。
そして、今日の天気は? たとえば、今は冬の炉の時期。
お湯を適切な温度まで温めるための炭の置き方まで細かく気を配る。

この奥の深さ、それを具体的にカタチにしていく業(ワザ)の見事さ。
私たち初心者にとってはまさに「神業」としか言いようがありません。




私はいつも茶道のお稽古をしているとき、ここに日本人特有の「おもてなし」の真骨頂が
あると感じています。

95%を準備にかける。相手を見つめ」、相手を知り、相手を心地よく包み込む準備です。
そこに「こび、へつらい」は無縁です。

そして、5%のお点前。ここには、「凛とした主張」があります。

茶道の幼稚園児である私が無謀承知で申し上げますが、
私は「お茶室に、コミュニケーションの出発点がある」と思っています。

お茶とお菓子を頂きながら、私は改めて「茶道のココロ」を学生たちのグローバル教育の
中に取り入れたいと思いました。

その理由は・・・
①コミュニケーションは、コトバだけでするものではないということ

一輪の椿の花にも、もてなす人(お茶会亭主)からの語り掛けがあります。
私が教える「えいごの寺子屋」では、英語はコミュニケーションツールだと繰り返し、
繰り返し言っています。
言いたいこと、伝えたいことがあれば、全身を使ってコミュニケーションしなさい、
と教えています。
身振り、手ぶり、目の表情、声のトーン・・・いわゆるボディランゲージ、これに
共通語の「えいご」という道具が加われば完璧でしょう。

「えいごの寺子屋」のレッスンは、「話す時は相手の目を見る」という習慣づけから
はじまります。

②相手をよく知り、理解することの大切さ

コミュニケーションの背景には、その国の伝統・歴史・文化がデンと居座っています。
言葉が通じても理解しあえない局面に出会った時、言葉はツールにすぎないと実感します。

昨今、日本でも外国でも異文化交流をベースにしたグローバル教育が喧伝されるようになりました。
それは、世界を舞台に活躍できる人材育成を目指すものです。

基本は世界共通語「えいご」の習得からはじまります。

  しかし、「英語の習得=人材完成」ではないのです。

もう一度、お茶室の先生のコトバに戻ります。
お点前5%。水屋での準備95%。

私はここでプレゼンテーション(Presentation)というコミュニケーションの
1形態を例にあげたいと思います。
プレゼンテーションはほぼ日本語化しており、
プレゼンとかプレテとかいう略語でビジネスの世界で使われています。

意味は、「表現、提示、紹介」ですが、ビジネスの場では、企画、アイデアなどの
商材を顧客に説明し売り込む手法技術を指します。

私はアメリカの大学を卒業後帰国し、外資系の企業に就職しました。
ビジネスの最前線で、数多くのプレゼンテーションを行いました。

ここで異文化のぶつかり合いを実体験したのです。アメリカ、デンマーク、
フィンランド、フランス、インド・・・

プレゼンテーションには説明、Q&A、説得、反論、分析、評価、視聴覚化など、
コミュニケーションのあらゆる要素が含まれており、ひとつひとつの局面で、
モノサシの違う異文化と衝突します。

私はプレゼンテーションに5%、そのための準備に95%を実体験したものです。
ですから、茶道の先生のコトバを少しは理解できるのです。

茶道とコミュニケーションを無理やり結び付けた感がありますが、
私の感じたことは以下のようになります。

子どもたちに英語を教えるようになって気がついたことがあります。

それは、
子どもたちが「なにごとにも無関心」、自分の価値観やライフスタイル
に閉じこもりがちだということです。

少子化で兄弟が少ないせいでしょうか、
ネット時代でひとり遊びが多いせいでしょうか。友達づくりが下手で、内弁慶
タイプが多いように思われます。

外国語を学ぶとき、これは大きな障害となります。
コミュニケーションを成立させるためには、自己主張するパワーと同時に
相手を思いやる優しさが必要だからです。

そのためには、相手をよく知ること。相手の国の文化・伝統に興味、関心を持つことが
大切です。外向きの日常。好奇心大歓迎です。
相手をよく知り、そのうえで相手を優しく包み込むコミュニケーション、これが理想です。


茶室に生ける1輪の椿。

私たち日本人は生まれながらにしてこの素晴らしいKnow-howを持っています。
眠っているDNAを呼び覚ますだけで、相手を思いやりながら
奥深いコミュニケーションができるのです。
世界共通語「えいご」という道具を駆使して、グローバルに活躍できる潜在能力を
みんながもっているのです。

私は、「えいご」を教えながら、同時にもっともっと
日本の伝統・文化を学ばなければならないと思っています。
日本人が日本の文化を背負って「えいご」をしゃべるから
パワーを発揮すると思っています。

茶道のココロをグローバルコミュニケーションの実践教育に結び付けられたら
きっとオモシロイ。

こんな気づきがあった週末でした。

この記事を書いたプロ

小室千雪

ELFえいごの寺子屋代表

小室千雪(株式会社team CK)

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