Quality of Life
名著「国家の品格」(新潮新書)を書かれた御茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦さんは、「小学生から英語を学ぶ必要はない」とおっしゃっています。小学校ではむしろ国語(つまり日本語教育)に集中すべきであるというのが持論です。
圧倒的な迫力で、正論を吐かれるものですから、夢見心地で同意しそうになりますが、先生のプロフィールを見て、びっくりし、正気に戻ります。
先生の本業は数学者。東大で数学を学び、理学博士になり、ミシガン大学で数学の研究をし、コロンビア大学で助教授になり、ケンブリッジ大学で研究と教育に従事し、帰国してお茶の水女子大学で教鞭をとりながら、日本を代表するエッセイストになりました。
また、サッカーがうまくて、青い目の女の子にもってまくっていた(過去形)とご本人がおしゃっています。
このような人を本物のエリート(Elite)というのでしょうね。
私たち凡人の参考になりません。
少し冷静になって、私を取り巻く英語教育の現場に戻りましょう。
2020年に小学3年生からの英語教育必須化がスタートしました。その成果が出るのは、10年後、20年後でしょう。今、ここで、この決定の是非を問うても意味がありません。
今大切なことは、この決定をどうやって子どもの人生設計のプラスにするかを考えること。
そのためのプランを作って、実行することです。
受験で人生を突破しようと考えれば、英語という「重荷」を幼い子供が背負いこむことになります。自分が好きなこと得意なことを見つけて、それを糧に人生を設計しようと考えれば、英語という「便利な武器」がひとつ増えたと思うことができます。
クイズをひとつ。
日本代表のゴールキーパー川島永嗣選手は何か国語話せるでしょうか?
正解は7か国語。日本語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、オランダ語だそうです。
サッカーに夢中な子が、将来ヨーロッパのチームで活躍したいと夢を描いています。その子の耳元でささやきます。「それなら英語ぐらい話せなきゃ」。この瞬間、受験のために無理してやっていた英会話レッスンが、大好きな部活(サッカー)と一体化します。
私は「英語はコミュニケーションツール」と思っています。ですから、英語を使って何をやるかが問題なのです。「あなたの夢のそばに、いつも英語がある」と、子どもたちに話しています。
話は少し横道にそれます。
先日たまたま世界自殺率ランキング(2019年WHO調査)を見る機会があり、ショックを受けました。日本は世界で7番目。G7(Group of Seven=先進7か国)の中でトップ。自殺率は国民の幸福度を知る指標だといわれています。
日本人に生まれて、そんなに不幸なのでしょうか。
私の友人には日本を知っている外国人がたくさんいます。彼らにこの自殺ランキングの話をすると、皆ビックリします。
四季のある美しい自然に恵まれ、世界中のおいしい食べ物が手軽に味わえ、清潔で、治安が良く、便利で快適で・・・就職率も「1」以上。
「甘ったれるんじゃないよ。これ以上何を望んでるの?」と怒り出す友人もいるぐらいです。
しかし、子どもたちと英語レッスンしていると、現実に驚くほど多く子どもが不気味な「閉塞感」の中に漂っていることがわかります。自分の回りの小さなコミュニティの中で自分の居場所が確保できないといった苦しみでしょうか?
それが「引きこもり」や「不登校者」というカタチになって増え続けているようです。
私は子どもたちをこの「閉塞感」から解放したいと願い、英語レッスンをしています。ですから、私の決めセリフは「地球は丸いよ、大きいよ」です。
英語を身につけることは、このことを実感することだと考えています。
「跳びだせ!世界へ」です。
さて、本題に戻ります。「ELFえいごの寺子屋」です。
ELFとは、English as a Lingua Franca=「世界共通語としての英語」の略。それを寺子屋のコンセプトで教えようというのが趣旨です。寺子屋で教える「読み・書き・そろばん」はすぐに生活に役立つ道具でした。
英語をすぐに生活に役立つ「道具」にしようと考えています。
それ故、私は以下の三つのポイントに集中します。
1.【英語嫌いをつくらない】
2.【英語の学びから世界は広い、自分可能性が無限にあるという学びをつくる】
3.【自分に自信を持てる子を育てる】
果てのない、私の目標です。