太陽光発電容量増加と温暖化対策への目標容量不足
本記事は弊社ウェブサイトに2023年2月1日付けで掲載されたコラムの転載となります。
再生可能エネルギーの普及のため、日本のみならず各国でも支援制度を整えて再生可能エネルギー導入が促進されています。一例として、米国は2035年までに電力網を脱炭素化し2050年までにネットゼロ排出の経済を達成する、という目標を掲げてます。今回は米国の取組事例として、米国エネルギー省が2023年1月18日に発表した地域社会向け支援プログラムについてご紹介致します。
(換算について)
原文レポートの米国ドル表記の部分は、2023年1月の米ドル日本円為替レートの1ドル=130.00円、で換算した日本円を併記しております。
出典元: 米国エネルギー省
DOE Launches New $50 Million Program to Help Communities Meet Their Clean Energy Goals | Department of Energy
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米国エネルギー省、地域社会のクリーンエネルギー目標達成を支援する 5,000 万ドル(約65億円)の新プログラムを開始
「クリーンエネルギーを地域社会に」プログラムは、地域のリーダーと米国エネルギー省の国立研究所を結びつけ、地域社会がクリーンエネルギーの未来に移行するのを支援します。
ワシントンD.C.発– 米国エネルギー省(DOE)は本日、信頼性が高く、手頃な価格で、公平で、地域の優先事項を反映したクリーンエネルギーシステムへの移行を支援するため、最高5,000万ドル(約65億円)の新しい支援プログラムを開始しました。「クリーンエネルギーを地域社会に: 原文名称 Clean Energy to Communities」プログラム(C2C)は、地方自治体、電力会社、地域団体などを、米国エネルギー省の世界クラスの国立研究所で開発された革新的なモデリングおよびテストツールと結び付け、クリーンエネルギーの目標や野心を現実にするものです。地域社会のクリーンエネルギー目標達成を支援することにより、この新しいプログラムは、すべての地域社会がクリーンエネルギーの未来から公衆衛生とコスト削減のメリットを引き出すことを確実にするというバイデン大統領の継続的なコミットメントを反映し、2035年までに電力網を脱炭素化し2050年までにネットゼロ排出の経済を達成するというバイデン大統領の目標を支援します。
米国エネルギー省のジェニファー・M・グランホルム長官は、「C2Cは、地方の小さなコミュニティから広大な都市部まで、あらゆる地域団体が21世紀のエネルギーシステムを構築するために必要なツールや科学技術の専門知識を利用できるよう支援しています。」と述べております。「この素晴らしいプログラムは、地域社会が自らのエネルギー需要について十分な情報を得た上で意思決定を行い、信頼性が高く手頃なクリーンエネルギーをアメリカ全土で利用できるようにするためのものです。」
C2Cは、再生可能エネルギー、電力網、モビリティ、ビルディングの各分野のコミュニティに対して、統合的な技術支援を提供しています。このプログラムは、クリーンエネルギー経済への移行において、地域団体が独自の関心とニーズに応えるために必要な支援の種類と量を提供することを目的としています。C2Cの詳細なパートナーシップには、プログラムへの参加を支援するための資金も含まれます。
C2Cは、3つのレベルの技術支援を提供しています。
・詳細な技術提携: 地方自治体、電力会社、地域団体の組織から選ばれた4~5チームが目標を達成したり、特定の課題を克服したりするのを支援するための直接資金と、クロス・セクターモデル化、分析、検証を提供する複数年のパートナーシップです。
・ピア・ラーニング・コホート(協働学習グループ):地方自治体、電力会社、または地域団体の組織からなる小グループで、約 6 ヶ月間定期的に会合を持ち、協力的な環境の中で互いの専門家から学び、あらかじめ決められたクリーンエネルギーに関するプログラム提案、行動計画、戦略、またはベストプラクティスを開発します。グループには、合計で約100の地域団体が含まれます。
・専門家とのマッチング: 最大200の地域団体に対して、1人または複数の技術専門家による短期的な支援(40~60時間)を提供し、近い将来のクリーンエネルギーに関する問題や課題の解決を支援します。
C2Cは、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が主導・管理し、パシフィック・ノースウエスト国立研究所、アルゴンヌ国立研究所、ローレンス・バークレー国立研究所、オークリッジ国立研究所が追加で支援を行っています。NRELのAdvanced Research on Integrated Energy Systemsプラットフォーム等、これらの研究所の専門知識や能力を活用する事で、地域のリーダーが、風力タービン、コントローラー、充電ステーションなど、実際のクリーンエネルギー・インフラや機器と地域の仮想モデルの相互作用を確認でき、将来の投資リスクを軽減するのに役立ちます。C2Cは、米国エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)から資金提供を受けています。
C2Cは、NRELのロサンゼルス100%再生可能エネルギー調査を基に開発されました。
この調査は2045年までに再生可能エネルギー100%を達成するというロサンゼルス市の目標に至る道筋と、その道筋がロサンゼルス市に住み、働く人々に与える影響を関係者が理解できるように、様々なシナリオを評価したものになります。この調査では、2045年までに信頼性の高い再生可能エネルギー100%の電力を供給するというロサンゼルス市の目標を達成することは可能であり、健康や気候に大きな恩恵をもたらすことがわかりました。
エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)、Clean Energy to Communitiesプログラム(C2C)についての詳細、技術支援の申請方法などは各サイトをご覧下さい。
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本ニュースの後半に記載があるとおり、大都市のロサンゼルスも2045年までに再生可能エネルギー100%が達成可能という調査結果が出ております。このNRELの「ロサンゼルス100%再生可能エネルギー調査」のレポートは、下記リンクよりダウンロードが可能です。
https://www.nrel.gov/docs/fy21osti/79444-ES.pdf
日本の各大都市で再生可能エネルギー100%達成まで何年かかるのか、あるいは2045年までに再生可能エネルギー比率が何%になるのか、興味深いところです。
謝辞: 出典元の米国エネルギー省、国立再生可能エネルギー研究所のウェブサイトには有益な再生可能エネルギーに関するレポートがあり、今回も大変参考となりました事、この場をお借りして御礼申し上げます。
出典元: 米国エネルギー省:
https://www.energy.gov/articles/doe-launches-new-50-million-program-help-communities-meet-their-clean-energy-goals