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電気代高騰と脱炭素等、太陽光発電をはじめとする再エネ導入の様々な目的もあり世界的に太陽光発電システムの設置量が増えてきています。世界同様に日本でも太陽光発電システムの導入や活用に意欲的な自治体・企業が増えてきている事から、住宅や工場・倉庫の屋根等へ太陽光発電システムの設置についての検討が進んできているようです。
一方で実際に消防庁や資源エネルギー庁のガイドラインや各種指針の内容を確認する事なく、太陽光発電システムに関する火災等に対して不安をあおるような情報も日本では散見されているようです。
今回のコラムでは、太陽光発電設備に関する消火活動に関して最も有名な東京消防庁のガイドラインをメインに、関連する情報も合わせてご紹介いたします。
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東京消防庁による太陽光発電設備に係る防火安全対策の検討結果の太陽光発電と火災・消防活動に関連する第5章、第6章、第7章と「太陽光発電設備に係る防火安全対策の指導基準について」、
下記をご参照ください。
1. 「太陽光発電設備に係る防火安全対策の検討結果」の報告書
・第1章 検討の目的
・第2章 太陽光発電設備の概要
・第3章 太陽光発電設備の現状
・第4章 太陽光発電設備に掛かる課題
・第5章 PVモジュール熱焼実験
第5章 第4節 まとめ
今回の実験結果より、他所の火災からの加熱を受けたPVモジュールの燃焼性状は以下のようにまと
められる。
いずれの燃焼性状もPVモジュールの可燃物量の少なさにより特徴づけられていることから、今回実験を行ったPVモジュールの可燃物の条件の範囲(単位面積1m²当たりの可燃物量が2000g以下)であれば、上記の燃焼性状を有することを確認した。
なお、落下・滴下する燃焼物への対応は別途考慮する必要があると考えられる。
・第6章 消防活動時の感電危険
・第7章 太陽光発電設備に係る防火対安全対策
本章 第2節の 「3 消防活動の安全を確保した活動施設への設置方法」、「5 消防活動の安全を確保したPVモジュールの配置」に記載の内容は下記のとおりです。
3 消防活動の安全を確保した活動施設への設置方法
消防活動の安全を確保するためには、活動施設の周辺にPVモジュールが設けられていないことが望ましい。やむを得ず活動施設の周辺へ設置する際には、感電しないための保護装置等が必要である。
消防活動時の安全を確保するためのPVモジュールの設置方法は、以下のとおりである。
(1) 非常用進入口及び屋外階段
ア PVモジュールは原則、設置しない。ただし、十分な強度を持つ建材一体型又は金属枠で保護さ
れている等PVモジュールを破損するおそれが無い場合は、設置が可能である。
イ 接触のおそれがある範囲(施設の周囲約50cm)には、直流配線等を敷設しない。ただし、金属
管等で保護し、破損のおそれが無い場合は、設置が可能である。
(2) 非常用進入口(代替開口部)
窓にPVモジュール(窓材型)を使用しない。
5 消防活動の安全を確保したPVモジュールの配置
建築物を、消防法等の規制がかかる住宅・長屋以外(以下「住宅等以外」という。)の防火対象物と住宅・長屋に分けて検討を行った。
住宅等以外の防火対象物は、PVモジュールの設置面積が概ね300㎡以上の大規模屋根と、それ未満の屋根の2つに分類した。300㎡で区分した理由は、以下のとおりである。
東京消防庁の消防隊員が使用しているガンタイプノズルの最大水平放水射程距離は約24mである。すべてのPVモジュールに放水が届く最大のアレイ面積の目安は、24mを対角線とする正方形の面積が想定され、概ね300m²となる。
(1) 住宅等以外の防火対象物
消防活動の安全を確保するための設置方法を要する屋根は、一般的な傾斜屋根であり、屋上及び陸屋根等で、「メンテナンス用通路」が設けられる等、消防隊員が「滑落のおそれがない屋根」は対象から除く。
「メンテナンス用通路」とは、屋根上においてPVモジュール又はその他の設備のメンテナンス等のために設けられた通路を指し、PVモジュールに容易に接近できるなど、消防活動のための通路(PVモジュールを設けない部分で、放水、ホース延長、資器材搬送等の消防活動に使用できる部分。
以下「消防活動用通路」という。)とほぼ同様の機能を有するものであれば、幅、間隔等は問わないものとする。また、「滑落のおそれがない屋根」とは転落防止用の壁または柵が設けられている屋根を指す。
消防活動時の安全を確保したPVモジュールの屋根上の配置方法は、以下のとおりである。
ア 大規模屋根(PVモジュールの設置面積が概ね300m²以上)
1.幅員概ね1mの消防活動用通路を配置する。なお、当該通路部分にケーブルラック等を敷設する
場合、蓋又はブリッジ等によりその上が歩行可能なものについては、幅員に含むものとする。
2. 消防活動用通路は、はしご車等からの寄り付きなど消防隊のアクセスを考慮し、配置する。
3.消防活動用通路は、全てのPVモジュールとの距離が、24m(ガンタイプノズル最大水平放水射
程距離(ノズル元圧0.5MPa、放水量110L/分)以内となるよう配置する(図7-5参照)。
イ 規模屋根以外
消防活動に配慮し、屋根周辺部等に消防活動の安全確保に有効なスペース(PVモジュールを設けない部分。以下「活動用スペース」という。)を務めて確保する。(図7-6参照)。
ただし、建物開口部(窓等)及びPVモジュールを設置していない北側屋根等からPVモジュールへ接近できる箇所は、活動スペースを要しない。
(2) 住宅等
ア 屋根置き型
一般的に、住宅等の屋根は、建築基準法に基づく風荷重に対する耐力に関する基準(図7-7参照)又は各メーカーが定めるメンテナンス等のための自主基準(表7-2参照)により、屋根外周に一定の空きスペースが確保される場合が多い。
空きスペースは、消防活動の安全にも寄与することから、努めてこれらの確保に配慮した設計及び施工を呼び掛ける必要がある。
なお、建物開口部(窓等)及びPVモジュールを設置していない北側屋根等からPVモジュールへ接近できる場合は、必ずしも空きスペースを設ける必要はない。
イ 屋根建材型
屋根建材型では、屋根全面をPVモジュールとすることができる(図7-8参照)。現在、より多くの発電量を求めて、屋根全面をPVモジュールとする住宅等が増加している。こうした住宅等の屋根に、消防活動の安全に有効な空きスペースを確保することは困難である。そのため、消防隊員が屋根上で安全に活動ができるよう、空きスペース以外の安全対策が望まれる。
第8章 まとめ及び今後の課題
2. 太陽光発電設備に係る防火安全対策の指導基準
平成26年(2014年)7月14日に東京消防庁予防課が発表しました「太陽光発電設備に係る防火安全対策の指導基準」の概要と詳細は下記のとおりです。
平成25年度、東京消防庁では、外部有識者を交えた太陽光発電設備に係る防火安全対策検討部会を設置し、設備を設置する建物に必要な防火安全対策をとりまとめました。
これを踏まえ、今般、消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一に掲げる防火対象物に、太陽光発電設備を設置する場合の指導基準を策定し、平成26年10月1日より運用を開始する事としました。指導基準の概要は、以下のとおりです。
なお、指導基準の細部は、東京消防庁のホームページ(http://www.tfd.metro.tokyo.jp)に掲載しています。
(1) 消防隊員が活用する施設周囲への設置抑制(図1参照)
屋外階段、非常用の進入口、代替開口部及びその周囲概ね50㎝の範囲には、PVモジュール、
直流配線等を設置しないこと。
(2) PVモジュールの屋根への設置方法(図2参照)
大規模に設置する場合、消防活動用通路を全てのPVモジュールとの距離が、24m以内となるよう
設置すること。
(3) 消防法令上の規制場所へのPVモジュールの設置(図3参照)
一定の条件を満足するPVモジュールは、屋上設備の周囲で消防法令上、建築設備等を設置でき
ない規制場所に設置出来る。
(4) 防火対象物に求める感電防止対策(図4参照)
消防活動における、消防隊員の感電危険を低減するために、表示等を行うこと。
・資料1 概要(太陽光発電設備に係る防火安全対策の指導基準
本内容の指導基準はこちらよりダウンロード可能です。
・資料2 太陽光発電設備に係る防火安全対策の指導基準
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