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クーリング・オフ 意外と知られていない重要ポイントQ&A その3

2021年6月10日

テーマ:くらしのお役立ち知識

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 消費者問題

(その2からのつづき)

【Q9 クーリング・オフの通知を出せば、何も言わなくとも業者から代金が返ってきますか?】
A9 実務上は、業者に連絡して返金や返品、原状回復の方法などの打ち合わせが必要です。

クーリング・オフが成立すると、法的には契約が解除され、事業者には返金と原状回復の義務が発生します。もちろん、消費者にも返品の義務が発生しますが、返金・返品にかかる費用は事業者負担です。
但し、いつ、どのように返品・返金処理を事業者が行うのかについては、通知を発信した時点で、事業者としっかり打ち合わせすることが大切です。

なお、事業者が口座振込での返金を希望した場合、自分の金融機関口座番号を教えることになります。相手があまり信頼できないような事業者の場合、悪用されるリスクを伴いますので、注意が必要です。その場合は、普段使っていない口座や、知られても良い口座を教えましょう。

既に契約書などに住所を記入していて相手に知られている場合は、現金書留での返金を交渉する方法もあります。クレジットカードの一回払いで代金を支払っている場合は、契約先の事業者に、いつまでにカード会社へ赤伝処理するのかを確認し、カード会社にもその事を連絡してください。自分でも、カード請求のマイナスが起きたかを確認しましょう。

なお、現金振込の手数料や書留の送料も事業者負担です。仮に事業者が「それは消費者の負担だ」と主張した場合、クーリング・オフ妨害や虚偽説明にあたる可能性があります。相手の話すことに不安や疑問を感じたら、必ず消費生活センターに相談してください。


【Q10 訪問販売で契約した教材が届き、宅配便の梱包を開けてしまいました。クーリング・オフできる?】
A10 はい。できます。

訪問販売のクーリング・オフは、「契約の無条件解除」です。開封しても、教材に文字を書き込んだとしてもクーリング・オフは可能です。但し、健康食品や化粧品・洗剤、コンドームなど、使用すると価値が無くなると法律で決められているものについては、対象外になります。

なお、クーリング・オフとは異なりますが、通信販売などで「開封済みは返品不可」と取引条件に記載されている場合が良くあります。この「開封済み」とは、商品自体の包装を開けた場合という意味です。宅配便の段ボールや袋は、開けないと中身を確認できませんので「開封済み」にはなりません。


【Q11 クーリング・オフするって業者に電話したら、通知は送らないでいいと言われました。本当に送らなくてもいいの?】
A11 いいえ。それでも書面で通知してください。

一部の専門家の間では、口頭で通知してもクーリング・オフが有効になるとの意見があります。しかし、法律の条文には書面で通知すると書かれています。「言った・言わない」のトラブルを避ける為にも、必ず書面で通知しましょう。


【Q12 クーリング・オフの通知は、ハガキと内容証明郵便のどっちがいいの?】
A12 基本はハガキで十分です。

クーリング・オフは、たとえ事業者が「受け取っていない」と主張しても、クーリング・オフ期間内に発信したことが証明できれば行使したことになります。相手に届いたかどうかは関係ありません。その為、ハガキで作成し、[必ず送る前に両面コピーして控えを保存]し、郵便局の窓口に行って、発送日を証明してくれる「特定記録郵便」で出せば事足ります。

但し、相手に返金先の口座番号などを通知と一緒に知らせる場合は、ハガキだと口座番号が丸見えになってしまいます。便箋・封筒を使い、控えを保存した上で、特定記録郵便や簡易書留で送ります。
また、後々何か問題が起きる可能性があるような相手に送る場合には、まれに内容証明郵便を使う場合もあります。どの方法が良いかについて悩む場合は、消費生活センターに相談しましょう。

特定記録郵便も簡易書留も内容証明郵便も、必ず郵便局で追跡番号が記載されている受付控えを渡されます。発送した証拠なので、通知のコピーにホッチキス止めするなどして、時効になるまでの5年間は必ず保管してください。

なお、クーリング・オフ期間が過ぎたとしても、契約条件や勧誘内容に問題がある場合には、別の法律や制度を使ったり、お互いに和解したりして解約・返品・返金ができる場合も多々あります。あきらめずに、最寄りの消費生活センターへ相談してください。

<参考 クーリング・オフ通知ハガキの記入例>
[表面]


・株式会社や合同会社などの法人格は、( )で略さずにきちんと書きます。
・代表者の役職名や個人名は書きません。「代表者 様」にします。

[裏面]


・契約年月日:契約書に記載されている日付です。書面が無い場合は、契約合意した日です。
・商品役務名:役務とはサービスの意味。契約書に記載されている商品名やサービス名を記入します。書面が無い場合は、自分が何の契約をしたのか、その内容を書きます。
・契約金額:基本的には、税金や手数料も含んだ総額です。
・販売会社名:自分が契約した相手方当事者の会社名です。株式会社などの法人格は( )で略さずに、正確に書きます。
・「つきましては、~お引き取りください。」までの内容は、返品や返金の有無など、その時の状況に合わせて調整してください。
・自分の住所氏名の上の日付は、[この通知を書いた日ではなく、郵便局に出す日]です。


【Q13 気が付いたらクーリング・オフ期間が過ぎていました。もう解約できない?】
A13 別の方法で可能な場合もあります。

解約=クーリング・オフではないので、期間が過ぎたとしても、契約条件や勧誘内容に問題がある場合には、別の法制度や互いの合意によって解約・返品返金ができる場合も多々あります。あきらめずに、最寄りの消費生活センターへ相談してください。


クーリング・オフと一口に言っても、実はいろんなケースと対処方法があります。また、契約書が法定書面として正しいかどうかなどは、なかなか判断が付かないこともあります。
「クーリング・オフしたい」と思ったら、あまり自己判断はせずに、迷わずお近くの消費生活センター、又は消費者ホットライン 局番なし188に相談してください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

池見浩

消費者の権利と責任を社会に確立する消費生活のアドバイザー

池見浩(消費者考動研究所)

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